クラシックCD聴き比べ ~ Classic CD Memos ~

クラシック音楽のCDを中心に演奏者への敬意を込めて、つたないメモを書いています。

プロコフィエフ ロメオとジュリエット(抜粋) サロネン(86)

2014.04.04 (Fri)
ロメオサロネン
サロネン/ベルリンフィル(86、SONY)はとろけそう。
サロネンがデビュー当初28歳で客演したベルリンフィルとの唯一の録音。
同時期のニールセンなどはどちらかというとクール一点張りで快速演奏が多かった。
しかしこれはメロウの極み。ベルリンフィルのゴージャスなサウンドと相まって
たっぷりしたテンポでソフトでリッチな音楽。

録音はベルリン・フィルハーモニーでのセッション。
量感を取り入れながらも混濁させず膨らみすぎずベンツのような立派感。

曲目は下記の通り全曲からの抜粋で基本的に物語順だが手はくわえられている。
1 大公の宣言
2 間奏曲
3 舞踏会の準備
4 少女ジュリエット
5 客人たちの登場
6 仮面
7 騎士たちの踊り
8 バルコニーの情景
9 ロメオとバリアシオン
10 ロメオとジュリエットの愛の踊り
11 フォーク・ダンス
12 マンドリンを手にした踊り
13 タイボールトとマーキュシオの決闘
14 ロメオはマーキュシオの死の報復を誓う
15 第二幕終結
16 ロメオとジュリエットの別れ
17 朝のセレナード
18 ジュリエットの葬式
19 ジュリエットの死

導入は「大公の宣言」で始まる。ストーリーの順番から言うとおかしいが、
これから物語が始まりますよ、ということだ。
「ツァラトゥストラはかく語りき」の冒頭と同様の効果を持つ。
じっくりとしたテンポでベルリンの威力を見せ付ける。
余裕があるので煩くならない。
続く「間奏曲」のゆったりした表情を聴いた瞬間この演奏の方向性が見えた。
優しくしかしクールに肌を撫でる独自の音響。ソフトタッチで耽美的。
テンポは遅いが粘着しない。
感情にも溺れないのでプロコフィエフらしさが失われない。
たとえば、7の「騎士たちの踊り」はグロテスクにならず上品な威厳を醸し出す。
また、大音響が鎮まった後のフルートソロの歌わせ方の絶美なこと。鳥肌が立つ。
続く「バルコニーの情景」などはトロトロだ。
抒情的な場面はじっくり聴かせるが13「タイボルトの決闘」の場面などは軽くすいすいと
運んでしまう。この演奏がこの曲の劇的な部分よりも密やかな部分を大事にしているのだ。
「マーキュシオの死」の15連発も重くしない。
18「ジュリエットの葬式」の場面など泣き叫ばず繊細に運ぶのは指揮者のセンス。

上品、エレガント、ノーブル・・・そんな言葉が浮かんでくる演奏。
刺激を求めると裏切られるが、贅沢な気持ちにさせてくれる。
天下のベルリンフィルを操り、力任せにならず自分の目指す音楽を成し遂げた
若干28歳の指揮者の才能には驚く。

計 55:16
演奏 贅A+   録音 92点

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