クラシックCD聴き比べ ~ Classic CD Memos ~

クラシック音楽のCDを中心に演奏者への敬意を込めて、つたないメモを書いています。

ベルリオーズ 幻想交響曲 ラトル(08)

2014.02.07 (Fri)
幻想ラトル
ラトル/ベルリンフィル(08、EMI)は意外なほど端正。
全編美しくかつ注意が払われている。熱狂を誘うことをあえて避け、
古典的佇まいのなかにこの曲の多様性をさりげなく提示。
最初は物足りなかったが、古楽器演奏がでてきて行きつくところまでいった
この曲の演奏を、再度洗いなおした感がある。非常に理性の勝った演奏だ。

録音はイエス・キリスト教会でのセッション。
聴き始めていやに透明感ある音だと思ったらフィルハーモニーでなくこちらだった。
不思議なことにバレンボイム(84)やレヴァイン(90)がベルリンフィルと
録音した時もフィルハーモニーではなくこの場所だった。
やはりこの繊細かつダイナミックな曲を録音するにはこの教会の方が
いいと判断したのだろう、かと思いきや録音の一か月前にフィルハーモニーが
火事になっていたので使えなかったのだ。ともかくEMIとしてはかなり良い録音。
ただ、ひんやりした溶けあい具合はいいのだが、分離はDGなどに劣る。

第1楽章は綺麗な音を振りまきながらもベルリンの卓越した合奏力で力強さも表出。
嵐のような怒涛さはないがしっかりうねる。流しているのではなく非常に丹念だ。

第2楽章も綺麗さとともに意志が横溢する。コルネットパートはほんのり控え目。
ハープは左から。正統的で姑息でないのがいい。

第3楽章はこれまたひたすら美しい。これはイエス・キリスト教会の冷気が効いている。
耽美的にすぎるかも。木管などベルリンの巧さは相変わらずだが個性という意味では
往年の名手のようにはいかない。

第4楽章は冒頭のティンパニが奥まっていて残念。力みは全くなく折り目正しい。
金管はこれほどがならない吹き方は珍しい。
テンポは落ち着いているうえにリピートするので7:11かけている。
従って刺激を期待すると裏切られる。終結もアッチェレなく打楽器も優しい叩き方。
これはもう確信犯である。自分はこの楽章を能天気にやらないぞ、という意志。

終楽章も丁寧。各楽器が誤魔化さずにしっかりと鳴る。ある意味分析的。
鐘の音も強調しない。怒りの日も脅かさない。なんと端正な演奏だ。
終結に至るまで分解しながら余裕を見せる。
全曲聴き終えてなるほどな、と感心するのだが・・・。

15:38  6:26  16:09   7:11   9:58    計 55:22
演奏  端A   録音 92点

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