クラシックCD聴き比べ ~ Classic CD Memos ~

クラシック音楽のCDを中心に演奏者への敬意を込めて、つたないメモを書いています。

ベルリオーズ 幻想交響曲 マルケヴィッチ(61)

2014.01.23 (Thu)
幻想マルケヴィッチラムルー
マルケヴィッチ/ラムルー管弦楽団(61、DG)は痩せ男の狂気。
マルケヴィッチの残された音源からの経験では音を融合させるというより、
分離してそれぞれのパーツに主張させる手法をとる。この幻想もそうだ。
マッシブな迫力はないが目をぎらつかせた狂人がいる。
特に前半2楽章と終楽章が独特。
ベルリンの旧盤の方がオケが上だが、より個性的なのはラムルーを得たこちら。

録音はパリ・ザル・デ・ラ・ミュチュアリテでのセッション。
ステレオ初期だけにDレンジや量感がほどほどでスリム。残響も多くない。
当方所有はオリジナルス盤だがリマスターはヒスは一定抑え込みながらも
生々しさを残しているので演奏の特徴をよく伝える。

第1楽章は小節単位で執拗に表情がつく。
これがベートーヴェンならとんでもない、ということだが曲は幻想。
粘着気質の若者の中毒症状をよくあらわしている。
楽器の主役交代が頻繁に生じる。
盛り上がりのラッパの音は貧弱なのに無理している感。
これはラムルーの当時の音なのだろう。

第2楽章の冒頭の弦の表情を聴いただけで
独自のアクセント(スコアにはない)が効果的。
そわそわ感が出る。ワルツが情念と渾然一体になっているところが面白い。
弦が急速に展開するところでのギュッと絞る様な音は録音の古さにもよるが
その貧相さが味になっている。

第3楽章はあまりいじっていない。オケの力量がそのままでて、素朴な感じ。

第4楽章はティンパニの軽めの音が印象的。全体の音が軽い。
楽器の分離がしっかりしているのでチューバのビリビリ音もよく聴こえ効果的。
ただし、大太鼓は奥に引っ込む。
ミュンシュなどと違って熱狂的になっておらず怜悧で最後は瞬殺。

終楽章は分裂症状が出ている。場面ごとでテンポが変わるが、概して遅く11分。
鐘はゴーン系でなくチーン系で痩せていてこの演奏にあっている。
怒りの日のチューバなど苦しげで良い。
このオケ自体適度に荒れてささくれていて、
それぞれのフレーズがぎくしゃくしながら進む。
うねうねと地獄の苦しみが伝わる。
最近の洗練された演奏に比べると恐ろしく原初的な迫力。
ミュンシュが「熱狂」ならばこの演奏は「狂」。

14:15  6:08  15:58  4:48  11:03  計 52:12
演奏  狂   録音 85点

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