クラシックCD聴き比べ ~ Classic CD Memos ~

クラシック音楽のCDを中心に演奏者への敬意を込めて、つたないメモを書いています。

ベルリオーズ 幻想交響曲 マゼール(77)

2014.01.14 (Tue)
幻想マゼール77
マゼール/クリーヴランド管弦楽団(77、SONY)はマゼールらしい効果が随所に。
この5年後のテラーク盤は仕掛けはなくなり古典的力感で統一したのに対し
こちらはこの曲を解剖し積極的で多彩な表現が満載。
短期間でマゼールが変貌するのを目の当たりにできる。

録音はマソニックオーディトリウムで潤いのある音。
82年盤はセヴェランスホールだがこちらの方が響き成分が強い。
なお、アナログ期なのでヒスは若干あり。

第1楽章は82年盤と長さは同じだが夢は遅く情熱は速く、で、
たまたま楽章全体の長さが一致。表情はかなり違う。
82年盤はぽきぽき進むのに、こちらは伸ばすところは伸ばしロマン派交響曲的な作り。
情熱の部分に入るとテンポはどんどん加速し狂ったようになぎ倒しながら進む。
息づまるような性急さ。唖然とするオケの巧さ。

第2楽章のハープを両翼に置いてステレオ効果を強調。
コルネットもしっかり入る。
早いテンポで動感が強く颯爽と吹き抜けるが、各所で効果を狙う。

第3楽章はホールトーンがあるのでこちらの盤の方が広い荒涼とした野原を
イメージ出来る。各フレーズの硬軟を使い分け強弱も落差が大きい。
この長い楽章も飽きさせないようにしている。
雷鳴も時間をかけてティンパニをロールさせ恐怖を演出。

第4楽章は粒立ちのいい2台のティンパニにも遠近を持たせる。
速いテンポで音楽を追い込む。得意の溜めを作らず一気に行く。
ピッコロを追加し尖った音にする。

終楽章へは切れ目なく続く。テンポは保有盤最速レヴェル。
残響が収まらないうちに次にフレーズを始める。焦燥感。
鐘がチューブラベル。またも唖然とするクリーヴランドの音。
軍隊の速攻が続く。終盤の追い込みは恐ろしい。
無差別空爆のような容赦ないうちこみが続く。全てを破壊して終わり。
これはかなり刺激的。これぞマゼール。
今世紀に入ってのマゼールの幻想はもう少し大らか演奏になっている。
この盤の癖のあるパンチは捨てがたい。

12:54  5:57  16:49  4:04  9:03   計 48:47
演奏  A+   録音 89点

コメント

二つの幻想交響曲
はじめまして、ばけぺんと申します。私のブログにお越しいただきましてありがとうございます。私も時々拝見させていただいてます。

マゼールの幻想、記事で触れられているとおり、二つの演奏がずいぶん違いますね。テラーク盤は録音が良いものの、私は圧倒的に旧録の方が好みです。表面的にはすっきり洗練されているのに随所でマゼールらしい灰汁の強さがあって、この曲の演奏の中で忘れられない一枚だと思います。

ばけべんさん、こんんちは。
私はマゼールの幻想をテラーク盤で先に聴きいまいちだと
思っていたのですがSONY盤を聴いて見直したクチです。
マゼールは毀誉褒貶が激しくなかなか掴みづらい指揮者ですね。
天才過ぎて凡人にはわからない変化の仕方をします。
彼の1950年代であれば殺気だった幻想が聴けたでしょうね。

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