クラシックCD聴き比べ ~ Classic CD Memos ~

クラシック音楽のCDを中心に演奏者への敬意を込めて、つたないメモを書いています。

プロコフィエフ 交響曲第3番 アバド(69)

2013.08.05 (Mon)
アバドプロコ13LP  プロコアバド13
アバド/ロンドン交響楽団(69、DECCA)は意欲的。
録音活動開始したての当時35歳のアバドがなぜマイナーな珍曲を録音したのだろう。
イタリアの後輩シャイーもムーティもこの曲に執心している。
オペラ「炎の天使」から素材をとったこの曲はイタリア人の心に響くのか?
抑えきれない衝動、どうしようもないパワーに共感するのか?

私も昔、周囲も自らも破壊させるようなこの曲にはまったものだった。
そして最初に聴いていたのがこのアバド盤だった。
演奏はいま聴いても熱いものを感じる。
この不安感、不安定感は演出なのかアバドの未熟さによる揺れなのか。
しかし、それが結果的にこの曲の本質をえぐりだしているように思える。

録音はオペラ歌手の養成学校だった(63年から77年)ロンドン・オペラ・センター
(現在は映画館)での録音。珍しい場所。
広い音場ではないがデッカが近接したなまなましい音を捉えている。
打楽器が最強音で入る場面はややテープが飽和する面も。

第1楽章はトータル時間でみると普通のテンポのようだが、
前半はうねる様に遅く後半はアグレッシブになる。
最初の鐘の音と低域のパンチは流石。
しかしその後は苦しそうな呻きを上げながら進行していく。
テンポは上がりそうで上がらないずれた感じを持たせるが、7:50から小太鼓の導きで
どんどん速くなる。不安定なテンポ感。
そして10分過ぎからは金管やパーカッションが野蛮なフォルテを駆使。

第2楽章は丹念に不穏な空気を描く。細部のスコアの読みがなかなか鋭い。

第3楽章はしなやかな少し硬いが弾力のある音楽。
リズムをきっちり合わせるべく汗を飛ばすアバドが目に浮かぶ。
アクセントは強固で鋭い。

終楽章冒頭よりロンドン響の荒くれた感がいい雰囲気を出す。
埋もれがちな弦にヒステリックな表情をつけ強奏させる。
その後の濃厚な世界。これはもう「炎の天使」の世界だ。
レナータが追われ焼かれる。
後年の洗練されたアバドからは信じられない絶叫で終わる。

こんな演奏がDECCAにあったものだから、全集をDECCAで作ったウェラーも
この曲ではバーバリスティックに行ったのではないか。

13:16  7:33  7:39  6:17   計 34:45
演奏  A+   録音 87点

コメント


管理者のみに表示

トラックバック