クラシックCD聴き比べ ~ Classic CD Memos ~

クラシック音楽のCDを中心に演奏者への敬意を込めて、つたないメモを書いています。

プロコフィエフ 交響曲第5番 セル(59)

2013.07.02 (Tue)
プロコセル5
セル/クリーヴランド管弦楽団(59、SONY)はセルの美学に貫かれる。
爽快で引き締まった中にすっと差し込む情感。
一糸乱れぬオケは恐ろしさを感じるほど。
以前は冷徹すぎるとも思ったが、
よく聴かないとわからないセル特有のロマン的表現に
気付き始めると俄然面白い。保有盤最速演奏だが、中身は濃い。

録音はオハイオ・クリーヴランドのセヴェランスホールで。
ステレオ初期でヒスは残るが低域からしっかりと安定した録音。
ホールも十分大きくスケール感もある。

第1楽章は快速なテンポで音楽がギュッとしまった感触。
しなやかな筋肉運動。
速いインテンポの中に苦み走った抒情。これぞセル。
ただ速いだけの紋きりでないのだ。
終結はテンポを落としブラス群が胸板の厚さを誇り、弦が優しく受け止める。
なんという男のロマン。

第2楽章も速い。その中で単調にならないように繊細なコントロールが続く。
まったくもってプロの演奏だ。スピードのギアチェンジも見事というほかない。

第3楽章は所々に出没するロマンに耳を奪われる。
これは本当に集中して聴かないと聴き逃す。
大芝居ではなく淡々としながら一瞬微笑んだり、可愛かったりするのだ。

終楽章はそっけなく始まる。しかし弦も木管も綺麗に歌っている。
素晴らしいテクニックと合奏能力。
そして驚くのは7:05のクラリネットの最終音をぐっと溜める大胆な遊び。
聴いたことがない!
それが終わると不連続的にスピードをチェンジ。猛烈に加速。
ラストのスピードでは最速級。オケが命がけで突進している。
終結の数小節で有無を言わさぬ更なるアッチェレランド!!
最後が決まった時、思わず快哉を叫びたくなる。

セルの演奏を聴くとほかの演奏がすべてあまちゃんに聴こえる。
これはチャイコフスキーの「悲愴」におけるムラヴィンスキーの
DG盤のような立ち位置だ。

10:29  7:39  11:35  9:04   計 38:47
演奏  S  録音 85点

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