クラシックCD聴き比べ ~ Classic CD Memos ~

クラシック音楽のCDを中心に演奏者への敬意を込めて、つたないメモを書いています。

ブリテン ヴァイオリン協奏曲 ヤンセン(09)

2013.03.19 (Tue)
ヤンセンブリテンvn
ヤンセン/P・ヤルヴィ/ロンドン交響楽団(09、DECCA)は
この曲もここまで来たか、という印象。

このCDのカップリングはなんとベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲!
それだけでも驚きだが余白に収録したという感じではなく、
こちらの方の存在感が明らかに大きい。
このコンビは何を言いたいのか。
もはやブリテンのこの曲の方が現代人にアピールすることを証明してしまった。
ヤンセンはこの曲が得意で各地で演奏しているが、このセッションはライブばり。
ジャケットのヤンセンの鋭いまなざしも演奏を表す。
パーヴォ・ヤルヴィも一緒に燃えている。
この二人はこの曲の成立動機である戦争に対する苛立ちを強く意識している。

録音はアビーロードスタジオ1。もちろんDECCAだからEMIのような
不具合はないが、打楽器・低弦にもう一歩の締まりがあるとよかった。
しかし、熱気は十分伝える。

第1楽章からヤンセン、ヤルヴィの表現意欲が炸裂。
積極果敢に仕掛けるハンセンを指揮者は支えるだけでなく増幅させる。
おかげでこの曲がさらに巨大になったような印象を受ける。
一つ一つのパッセージの息遣いがただ事でない。
深く抉るような音楽に聴き手は金縛りにあう。
か細い心の震えというより、怒りの音楽。

第2楽章もこれでもかという激しさを見せる。アップテンポで襲いかかる。
実演のような激しさ。オケも熱演で嵐のよう。
カデンツァは白眉。ハンセンの情念が息遣いからも伝わる。

終楽章も慟哭の音楽。パッサカリアは情熱的で多彩な表情。
張りつめた表情は最後の最後で安息の世界に入る。この落差が大きい。
それにしてもヴァイオリンの安定感は抜群。ゆえに説得力が尋常でない。
この演奏を聴いて、ロストロポーヴィッチとバーンスタインによる
ブロッホの「シェロモ」の凄演を思い出した。

9:31  8:35  14:29  計 32:35
演奏  燃A+   録音 92点

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