クラシックCD聴き比べ ~ Classic CD Memos ~

クラシック音楽のCDを中心に演奏者への敬意を込めて、つたないメモを書いています。

ステンハンマル 交響曲第1番 N・ヤルヴィ(93)

2013.01.30 (Wed)
ヤルヴィステンハンマル新
N・ヤルヴィ/エーテボリ交響楽団(93、DG)は相変わらず素晴らしい。
この曲はこのコンビの新旧盤しか聴いたことがない。
どちらも解釈上の相違はないが新盤のほうが終楽章で2分ほど速い。
旧盤は復活初演の新鮮な雰囲気とライブの高揚があったが、
こちらはより確信に満ちた音楽。
しかしどうしてこの曲にほかの演奏がないのかさっぱりわからない。
多分この曲の初演後、シベリウスの2番を聴きショックを受けた作曲家が
作品番号もつけず封印したからだろう。
1983年このヤルヴィ(パパ)が復活してくれたのはありがたい。
ステンハンマル自身が「牧歌的ブルックナー」と呼んだのは言い得ている。
この人の曲は人間の卑近な感情とかを想起させない。自然の音がする。
そうした意味で北欧のブルックナーだ。

録音はエーテボリの本拠地コンサートホールでのセッションで引き締まった音。
低域は多くないが、重要なホルンは明快に捉えられている。

第1楽章冒頭の茫洋とした6本のホルンの響きとスーッと差し込む弦の冷気。
北欧ファンはこれだけでもう満足なのではないか。
その後も続く角笛とそよ風の対話。
4分半からは本格的に太陽の光を浴びて活力を増す。
そしてこの楽章の終結だ。この踏ん張りは私の大好きな部分。
さんざん吹かされてきたホルンが最後の力を振り絞り強奏しゴールする時、
全オケがしっかり応援する様は感動的。

第2楽章は民謡っぽいが終結部でブルックナーの第7番のアダージョが
鳴りびっくりする。それはワーグナーの投影でもある。

第3楽章可愛くおちゃめ。中間部の木管の夢見る響きはこの作曲家の得意。

終楽章は旧盤と違い奔流の勢いがある。力感が漲る。
音を切り詰め、前へ前へ進む。エーテボリのブラスが頑張る。
第1楽章の主題が戻り集合してうねる。
ここではあの職人ネーメが燃えている。エーテボリも火を噴かんばかり。
終結手前で弦が歌を歌いながら心を静める。
しかし抑えきれない。溢れる。
流動する弦に金管が噴火の萌芽。
終結はヴァルハラ城への入場のような迫力でティンパニが切って落とす。
2分速くなった新盤は終楽章をギュッと引き締めた。
ひょっとしてこの曲の新盤が出ないのは、
これ以上の演奏をする自信がないのかも知れない。

16:52  10:49  9:15  13:19   計 50:15
演奏  S   録音 92点

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