クラシックCD聴き比べ ~ Classic CD Memos ~

クラシック音楽のCDを中心に演奏者への敬意を込めて、つたないメモを書いています。

マーラー 交響曲第10番 ハーディング(07)

2013.01.02 (Wed)
ハーディング10
ハーディング/ウィーンフィル(07、DG)は最美。この曲で新たに現れた地平。
ウィーンフィルの初の全曲版とかクックの補筆版という特別感なく
美しい音楽に浸ることができる。ついに10番は、ここまで来た。

録音はムジークフェライン大ホールでのセッション。透明感を持った響きが満ちる。
凝縮した録音が多いこの曲で広い音場を持つ録音の登場。
また、低域のヴォリューム感も薄いといわれるオーケストレーションを補完する。

第1楽章ウィーンの弦が大きな空間に泳ぎだす。
美しい。ゆったりしたテンポで流麗に進む。
頽廃的なムードを突き破るクライマックスの絶叫の部分も音を切り立たせず
積み重ねていく。終結部は一層テンポが遅くなり意識をなくすほど耽美。

第2楽章は繊細な響きがきらきら舞う。粗雑な諧謔性を追求していない。
誇張がなく気負いがない。

第3楽章もしなやかさを失わない。

第4楽章もオケの充実が光る。雑多な素材も美しく溶け合う。
この曲に含まれる棘を少し丸くしたかも。最後の大太鼓は省略。

終楽章の大太鼓はクックの新しい版に従いffでなくsfに。
冒頭の低弦の持続音の深さに驚く。
もやもやとした中から浮かび上がる、フルート。そしてシルキーな弦の音。
これはホールトーンも武器。たいそうな時間をかけてじわじわ高揚する。
終結部は分厚い音で情熱と夢を奏でる。
死や苦痛の影のないおとぎの世界に入り込む。

ザンデルリンクの直裁な世界とはまた別の感動的な演奏だ。
録音時若干32歳のハーディングのセンスの良さが光る。脱帽。
レベルの高い多様な演奏が出てくることで、クック版もいよいよ胸を張れる。

25:50  11:08  4:01  11:59  25:02   計 78:00
演奏  S   録音 92点

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