クラシックCD聴き比べ ~ Classic CD Memos ~

クラシック音楽のCDを中心に演奏者への敬意を込めて、つたないメモを書いています。

マーラー 交響曲第10番 ロペス-コボス(2000)

2012.12.22 (Sat)
ロペス-コボス10
ロペス-コボス/シンシナティ交響楽団(2000、Telarc)は
マゼッティの第2稿初演後の録音。
版というより指揮者の志向だと思われるが、何事にも拘泥しない達観した風情。
ことさら劇性を追求しないやり方は好感が持てる。
ただ、版としては、特に終楽章はクック版のシンプルさが好きだ。

録音はオハイオ州シンシナティ音楽ホールで空間の広さはそれほど
感じないが落ち着いた音。Dレンジも標準的で強調はない。
音がもう少し溶け合えばと思うが、これは演奏の方向性か?
なお、随所で大太鼓のロールが控えめながらしっかりオンで聴きとれる。

第1楽章のヴィオラのくすんだ音、ヴァイオリンの抑制された美など
音の綾が美しい。粘らず速めのテンポでスッキリ進行。
それぞれのパーツやフレーズを浮かび上がらせるが
バランスの良い丁寧な音作り。16分からの絶叫もほどほど。
全曲盤の位置づけでの冒頭楽章だ。

第2楽章はスタッカートの効いたぎくしゃく。
左右のあちこちから明るく音が飛び出す。
マゼッティ初稿のスラットキン盤に比べるとキラキラ系打楽器を抑制しているので
響きに違和感がない。

第3楽章もキレはいいが派手にならない。

第4楽章も明るく屈託なく鳴る。テンポが速いのもそうした印象を強める。

終楽章冒頭は室内楽的響きと打楽器の対比が面白い効果。
フルート独奏によるテーマ呈示にはクック版より音が絡む。
弦の表情がスタッカート気味なのはスコアによるものか?
ポツリポツリした音楽。
クック版に比べるといろんな音が放り込まれるのでやや落ち着かない。
終結部にホルン等金管を加えて盛り上げるマゼッティは
やはりアメリカ的な響き。
純粋に弦で歌い込んでいくクックの凛とした慎ましさが思い出される。

演奏は素晴らしい。個人的にはロペス-コボスにクック版を録音してもらいたい。

22:01  12:13  3:53  10:54  23:53   計 72:54
演奏  A   録音 91点

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