クラシックCD聴き比べ ~ Classic CD Memos ~

クラシック音楽のCDを中心に演奏者への敬意を込めて、つたないメモを書いています。

マーラー 交響曲第10番 レヴァイン(78、80)

2012.12.04 (Tue)
レヴァインマーラー10
レヴァイン/フィラデルフィア管弦楽団(80、RCA)はクック版(72年第3稿第1版)
によるが、厳密には第1楽章はマーラー、残りがクック版。
第1楽章は78年、第2楽章から第5楽章は80年に録音されているところから見ると
最初から全曲盤を企図したのではなかったのかも知れない。
この収録がされた時にはまだ、ザンデルリンク盤も発売に至っておらず、
全曲盤化で先陣を切ろうとしていたのではないか。
演奏はそうした意気込みに溢れている。とくに終楽章は感動的。

録音スコティシュ・ライト・カテドラルでのアナログ・セッション。
残響少なく弦の強奏でやや硬調になるが、明確な音のする録音。
デジタル移行期にまたがった録音で、
第2楽章以降はデジタル表示はないがDDDではないか?
ヒスがなく明らかに音がクリアになっている。

第1楽章は弦が主体だが非常にしっかり弾かせており曖昧さがなくい。
フィラらしい強い弦だ。
所々、他の演奏にないような決然としたアクセントや表情も見せる。
諦観よりも意志を感じる。

第2楽章もキンキンする部分があるが、メリハリが強く鳴りっぷりもよい。

第3楽章の音の強弱の付け方もかなり激しく、クック版の十字軍のようだ。

第4楽章も前楽章同様の熱気に満ちたもの。レヴァインの唸りが聞える。
金管の咆哮も凄い。バスドラムで終結。

終楽章は28分半と保有盤最長。
(そういえばレヴァインは9番の終楽章も最長記録保持者だ)
聴かせどころのフルートのテンポも非常に遅く、
この部分は冴え冴えとし異常に寂しげな雰囲気が漂っている。
空気が一変し、これまでの激しい音楽が突如浄化される。
その後の真摯な身悶えは分裂気味。
弦の持続音による慰めと管と打によるパルスで心が引き裂さかれる。
アルマとの楽しい思い出、嫉妬激怒、絶望、諦め・・・赤裸々な心情吐露。
マーラー個人のバックグラウンドを知るとやや辟易とするが、
そうしたことを捨象してこの音楽と向き合うと、
どの人間にも宿る多様で錯綜した情念という点で琴線に触れる。
この演奏の白眉はなんと言っても、ゆったりした流れのこの美しい終楽章だ。
終結部はブルックナーの交響曲第9番のアダージョのように消えゆくが、
人間の存在の有無で決定的に音楽は異なる。

24:39  11:57  4:18  12:41  28:32   計 82:07
演奏 A → (終楽章)A+   録音 85点→(第2楽章以降)・87点

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