クラシックCD聴き比べ ~ Classic CD Memos ~

クラシック音楽のCDを中心に演奏者への敬意を込めて、つたないメモを書いています。

マーラー 交響曲第10番 シャイー(86)

2012.12.02 (Sun)
シャイー10
シャイー/ベルリン放送交響楽団(86、DECCA)はクック版(72年第3稿第1版)で
彼のマーラーの最初の録音だ。このころはこのクック版はモリス・ザンデルリンク・
レヴァインくらいしか録音がなかったが、そこにシャイーが登場した。
マーラー全集第1弾というより、この頃熱心に取り上げていたツェムリンスキーの延長、
またはアルマ・マーラーつながりとしてこの曲を取り上げたのではないだろうか。
演奏は知性と抒情のバランスが素晴らしくイタリアの歌も感じる。

録音はベルリンのイエス・キリスト教会で美しい響きだが、
コンセルトヘボウとの後の録音に比べより近く現実的。
最初は気がつかないがDレンジは広い。

第1楽章を最初はなぜかインバルのものと錯覚して聴いていたが、
ずいぶん伸びやかだなと感じて確認したら、シャイーだった。
知的に整理され端正だが、フレーズの歌わせ方がより爽やか。
熱い後期ロマン派よりも新ウィーン楽派をイメージさせる。

第2楽章はメリハリがありカラフル。但し、そこはベルリン放送響で華やか過ぎない。
束の間の明るさを見せる。

第3・4楽章は溌剌としている。少し屈託なく元気すぎるような気もした。
思いっきりのカンタービレ、キレのいい金管。

終楽章のバスドラム(前楽章の最後もだが)は腹にズドンとくる。
オーディオ的にも凄い音。スピーカーのウーファーがぶっ飛ぶ可能性もあるので
音量注意。さすがDECCAで、このバスドラム衝撃度NO1。
(因みに、ラトル以降、第4楽章のバスドラムを省略する演奏が増えているが、
私は不思議な効果を持つのであった方が良いと思う)
その後の、フルートの歌はテンポを落とし弦のサポートを得て清冽。
続いて大きくじわじわ盛り上がり、飛び立とうとするときにまた一撃。
とにかく10番を聴く醍醐味はここだ。シャイーはこのツボを抑えている。
ここから終結に至る弦の美しさは9番を上回る。
シャイーは濃厚になりすぎず淡泊になりすぎずで心に響く。
こんな演奏を聴くと、クック補筆とは言えどこ10番全曲版は
マーラーの最高傑作だと思ってしまう。


25:52  11:53  4:22  11:28  25:08   計 78:43
演奏  A+   録音 93点

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