クラシックCD聴き比べ ~ Classic CD Memos ~

クラシック音楽のCDを中心に演奏者への敬意を込めて、つたないメモを書いています。

マーラー 交響曲第10番 インバル(92)

2012.12.01 (Sat)
インバル10
インバル/フランクフルト放送交響楽団(92、DENON)はクック版(72年第3稿第1版)。
全集時に86年にアダージョだけ録音していた。
しかし、インバルはその後、ある演奏会でマーラーのアダージョとクック版による
全曲演奏を行ったそうだが、その時後者の評判が良かったので、
その後はクック版による演奏をするようになったのだとか。
曲がインバルにあっており熱を帯びた白黒写真を見るよう。
オケも華やかさのない中立的な音と曲がマッチしている。

録音はフランクフルト・アルテ・オパーでのセッション。
全体に非常に素直で癖がない。
弦を主体とし、音色は抑え気味だが金管の低域もしっかり。

第1楽章の旋律の歌わせ方を聴いていると90年代に入ってインバルは少し
変わってきたと感じる。より情感の表出を音として出すのだ。
フレーズごとの息遣い、ポルタメントなどインバルの変容を感じさせる。
しかし、それはモノクロのこの音楽の範囲内での出来事。
全体のテンポは淀みなくすっきり感を伴う。

第2楽章スケルツォは精緻。金管・打楽器を抑え弦のモダンな動きを前面に。

第4楽章のスケルツツォも速めのテンポで整然と進めながらも
中間のフルートではテンポを落とし対比させる。

終楽章の大太鼓の強い音を伴い確信を以って進む。
メソメソ感があまりなくこの曲の私小説的な雰囲気を感じさせない。
インテンポを基調とした格調高い純音楽だ。
そうだからこそ、フォルテにおける情熱のぶちまけが効く。
こうした質の高い演奏を聴くと私もアダージョだけでは満足できなくなる。

22:50  11:04  3:58   11:04  21:53   計 70:49
演奏  A+   録音 92点

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