クラシックCD聴き比べ ~ Classic CD Memos ~

クラシック音楽のCDを中心に演奏者への敬意を込めて、つたないメモを書いています。

マーラー 交響曲第7番 M・T・トーマス(97)

2012.10.23 (Tue)
MTT7.jpg
ティルソン・トーマス/ロンドン交響楽団(97、RCA)はもの凄い情報量。
洗練された多彩。緻密な大胆さ。
この後のサンフランシスコとのライブ盤はこれを超えられるのか思うほどの完成度。

録音はウォルサムストウ・アセンブリー・ホールでの3日間のセッション。
弦はやや距離はあるがマス録音より明晰さをもつ。
量感ほどほどながら適切な音場、レンジも広い優秀録音。

第1楽章は、非常に遅いテンポで丁寧に開始。この部分を聴いただけでMTTが
細部に猛烈に拘っていることが分かる。特に楽器間のバランスには絶妙な指示がある。
その後のテンポは場面ごとの緩急幅が大きく一様でない。
テンポをぐっと落とし歌う部分は清冽な抒情。
終結に向かってはブラス群が安定感をベースに素晴らしく活躍して盛り上げる。
硬軟取り混ぜるこの指揮者の多彩さを感じる。

第2楽章も一つとして手抜かりがない。弦のアクセント効いた滑稽な音楽。
そしてトリオのメロウさ。聴いていて飽きさせない。
この楽章の多面的要素を気付かせる。
次にはどのように展開してくれるのかワクワクさせる。

第3楽章も勢いに任せない。過去のどの演奏にも見られないような鮮烈さ。
ロンドン響と相当合わせたはず。
クラリネットの下降音型ひとつとっても曲者の表情。

第4楽章のヴァイオリンのこれほど切ない表現も聴いたことがない。
よくこのような表現方法を思いつくな、と感心。
肌をそっと撫でるようなシルキーは音。

終楽章は冒頭のティンパニが小気味よく捉えられているのが嬉しい。
剛直だけでなくしなやかな音楽が続く。ここら辺はMTTの知性を感じる。
少しだけ不満があるとすれば、まさこの知的コントロールが
ハチャメチャな終楽章でチラリと見える点か。
とは言え次々繰り出される仕掛けの鮮烈さ、ロンドン響の達者さに感嘆する。
そして終結に向けて放出されるエナジー量はただ事でない。
マーラーのこの曲の再現もここまで来てしまったのだ。

21:41  16:25  10:29  14:07  18:11  計 80:53
演奏  S   録音 92点

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