クラシックCD聴き比べ ~ Classic CD Memos ~

クラシック音楽のCDを中心に演奏者への敬意を込めて、つたないメモを書いています。

マーラー 交響曲第7番 ショルティ(71)

2012.10.21 (Sun)
41iWWkai-nL.jpeg
ショルティ/シカゴ交響楽団(71、DECCA)はピュアで痛快な第7番。
海外ではこの曲に「夜の歌」というタイトルを勝手に付加しないが、
ショルティのそれはまさにナンバー交響曲、器楽交響曲の一環として捉える。
引き締まった筋肉、運動性能の良さをベースに時折見せる柔構造。
この路線としては一つの極致だ。
60年代のバーンスタインもクレンペラーも一度ここでゼロクリアされた、
記念碑的演奏。後続は別の路線を行かざるを得ない。

録音はイリノイ大学クラナート・センターで行われ、当時の優秀録音と言われた。
マルチマイクで実演ではこのように聴こえないが、
60年代の大袈裟な録音からは修正されたDECCAの録音だ。
残響は多くなく、乾いた音で各楽器が明快に聞こえる。
ティンパニのトランジェントの良さはこの曲の録音の中でも最高。
今聴いてもスカッと気持ちいい。
但し、大太鼓が全奏で鳴る時はテープ録音の限界を感じる。

第1楽章は極めて清潔で純音楽的。場面の変転が良く分かる。
つぎはぎコラージュの異形さを主情的に繕わない。
しかし、抒情もある。
弦が歌う部分の盛り上がりは、他の部分が剛直なだけに感動的。

第2楽章は夜曲というには明晰過ぎるが、
標題に拘らなければ引き締まったアレグロ・モデラート。
リズムはくっきり刻まれ、弦は精緻で美しい。
湿度は低く、カラッとしてる。

第3楽章もマーラーの独自の管弦楽を楽しめる。
弾むリズム、竹を割ったブラス。

第4楽章も夜曲というよりしっかりしたアンダンテ。
真面目な弦になぜかお茶目なマンドリン。アイロニーが浮かび上がる。
ショルティにしてはかなり情熱的だ。

終楽章は驚異的。ティンパニの粒だつパンチでいきなりトップギア。
ハイスピードなのにこれほど整然とした演奏はない。
それが恐ろしい。
アクセントは明快で、スパッとしたフレーズは清潔で気持ちが良い。
鋼鉄のばねのように弾みながら終結へ。
厳しい規律の中で、猛烈に訓練された集団演技。
今ではなかなか聴くことができない。

21:35  15:44  9:14  14:28  16:27   計 77:28
演奏  A+   録音 89点

コメント


管理者のみに表示

トラックバック