クラシックCD聴き比べ ~ Classic CD Memos ~

クラシック音楽のCDを中心に演奏者への敬意を込めて、つたないメモを書いています。

マーラー 交響曲第7番 クレンペラー(68)

2012.10.20 (Sat)
クレンペラー7
クレンペラー/ニューフィルハーモニア管弦楽団(68、EMI)は遅さで有名。
この盤、日本では廃盤中に伝説的「名盤」になった。
入手困難なものが珍重されることはよくある。
(再発売された今では中古店で一番在庫の多い「夜の歌」)

果たしてこの演奏を単純に名演と言い切れるか?それは疑問だ。

平均的なこの曲の演奏時間に比べて20分も長くかかる。
そもそもとても同列に比較できない。
一つだけ言えるのは、確信犯であり一本筋が通っていること。

なお、オケは凄い。木管・金管は特筆すべき活躍だ。
なにせ、このテンポでは誤魔化しが効かないうえに、
ソロ演奏のように吹かされているのだから。
足掛け9日間かけた録音は今では考えられないが、
演奏を聴くとやむなし、と思う。

録音はキングスウェイホールで残響はあまりなく明晰な音。
全奏部分では混濁もあるがEMIらしくないクリアさは
この演奏の理解にプラスだ。

第1楽章は27分半でシャイーやシノーポリ25分弱だからダントツ。
最初から最後まで一貫してノロい。
シノーポリのようにあっち行ったりこっち行ったりしない。
ひたすら音符が延ばされる。音楽は故意による失速を起こしている。
面白く聴かせようという工夫はなく、強い棒状の音がずっと鳴る。
ある種拷問のような音楽。

第2楽章もひたすら遅い。ここは奇怪な闇の音楽。
第一トリオでは少しテンポを速め明るい兆しが見える。
いったんホルンとカウベルで明るさを遮ったあとオーボエの
第二トリオは実に民謡風。懐かしさを秘めた音色がいい。
それが終わるとぞくぞくする夜がまた来る。

第3楽章は「影のように」という標語が納得いく。リズムは鈍重。
ジンタ調のラッパ、ワルツ。あたりはセピア色。

第4楽章に来ると冷徹な顔が急に和らぎ、愛を歌う。
非常にロマンティックな音楽。マンドリンが表情豊か。

終楽章は全く別の音楽。冒頭のティンパニは衝撃的な太鼓音。
確かに普通の演奏では聞こえない音があちこちで鳴る。
紹介が一通り終わるとテンポを速めながら進む、かと思うとダウン。
しかし、遅いテンポで緊張が弛緩するところは一瞬もない。
むしろ張りつめたものがある。
最後は念を押しまくりの終結。

オケの皆さん、本当にお疲れ様。

27:37  22:01  10:24  15:39  24:10   計 99:51
演奏  怪  録音 86点

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