クラシックCD聴き比べ ~ Classic CD Memos ~

クラシック音楽のCDを中心に演奏者への敬意を込めて、つたないメモを書いています。

マーラー 交響曲第3番 ギーレン(97)

2012.09.01 (Sat)
ギーレン3
ギーレン/南西ドイツ放送交響楽団(97、hanssler)はギーレンの変貌を感じる。
この指揮者ははなかなか評価が難しい指揮者でもある。
指揮の技術は高いのだろう。楽想を分解・腑わけして呈示してくれるが、
何か面白みのない…といった感想をもつこともある。
しかし、この録音の頃から、この指揮者はあきらかに変わった。
分解能力はそのままなのだが、表情がぐっと豊かになった。
昔からのギーレン好きにとってはこの変化は複雑かもしれない。
なんで、丸くなるのか、クールでいてほしかった、と。
私は、インターコードから発売された87年のベートーベンの「英雄」で
この指揮者に注目した。速いテンポでザッハリッヒに切れ込む。
さらに併録は、ギーレン自身のバリバリの現代音楽「鐘は間違った響きを残している」だ!
さてこの演奏はどのように捉えられるのか?

録音はフライブルク、コンツェルトハウスでのライブ録音だが、
自然な広がりと透明感の中にハリのある音が楽しめる優秀録音。

第1楽章は悠然とそして克明に進む。
たとえば、冒頭のホルンの後の大太鼓。明確に叩かせている。
錯綜した楽曲を楽しく見せびらかす。
のどかで爽やかだ。
テンポは胸張ってゆったり歩く感じ。
オケはバイエルンやミュンヘンほどの威圧感がないぶん、
素朴感もありこの楽章にあっている。
高性能な武器を駆使、ではこの曲はやりきれない。
後半になるとさらにテンポは悠然。スタイリッシュとはかけ離れた明るさ。
現代音楽のスペシャリストギーレンを期待するとまるで違う。
時々音楽を膨らませたり、結構やってくれる。

第2楽章は標準テンポだが広い空間に拡がる表情豊かな木管が懐かしい。
ロマンティックに歌う。いい感じ。
かなりウォームで、ブラインドで聴いたらギーレンとは思えないだろう。
ヴァイオリンの表情はキュンとなる。

第3楽章も明晰だが緊張感をあおったりしない。
対抗配置での掛け合いも面白い。時に音が飛び出す仕掛けもある。

第4楽章のアルトのカリッシュは余分な表情をつけずさっぱり歌う。

第5楽章の少年合唱を支える弦はテヌートを効かせてロマンティックだが
銅鑼を響かせる場面では暗雲がたれ込める。

終楽章は弦だが、ヴィヴラートをしっかりかけて歌う。響きは清潔。
歌い方は少し照れくさそうでぎこちないのはまだ、
完全に吹っ切れていないということか?
しかし癖のない誠実さで最後まで貫き通す姿勢は好感。

35:26  9:36  18:22  9:27  4:27  24:27  計 101:45
演奏  A   録音 93点

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