クラシックCD聴き比べ ~ Classic CD Memos ~

クラシック音楽のCDを中心に演奏者への敬意を込めて、つたないメモを書いています。

マーラー 交響曲第9番 アンチェル(66)

2012.08.23 (Thu)
アンチェル9
アンチェル/チェコフィル(66、Supraphon)は彼岸や厭世でなく対峙であり真摯である。
最近ではなかなか聴けない真剣勝負の世界。

録音はプラハの芸術家の家でのセッション。
近接で明快ながら弦がやや硬い音。リマスターでヒスは気にならないし
フォルテでも潰れないのはありがたい。

第1楽章はヨロつくことなく曖昧さのない確固たる足取り。
近づく命の終焉をしかと直視するような張りつめた空気。
6:51からトロンボーンの強奏のあとティンパニがリズムを刻み、
太鼓がロールするあたりは異様な緊張が支配する。
悶絶するのでなく潔く激痛を受け止めている風情。
チェコフィルの洗練されすぎない東欧の香りのする強靭な音が厳しさを表出。
そして17:45にまたもやめぐるトロンボーンの啓示を受け止めるティンパニの
皮も張裂けよとばかりの強打には居住いを正される。

第2楽章も音が起立。弦などはあまりにも厳しく響く。

第3楽章も鞭打つように弾む。追い詰められんばかりの気迫。
トリオは一時の安息。
しかしまたもや身の毛よだつような狂気の世界が迫る。

終楽章は冒頭から力強い。安らぎでなく意志の音楽。
各ソロパートは決して美しいとは言えないが逞しく主張する。
綺麗ごとでなくぐいぐい迫る。
終結の最期の最後まで目を見開いている。恐ろしい演奏だ。

26:40  15:04  13:23  23:27   計 78:34
演奏  A+   録音 87点

コメント

ご無沙汰しております。
私のマーラー9番のファーストチョイスはバーンスタイン、ACOですが,アンチェルの演奏も本当に素晴らしいと思います。特に1楽章の中盤でゴングがなるあたりの怖さといったら尋常ではないと思います。
すーさん
こんにちは。アンチェルの演奏を知ったのは割と最近です。
昔はマーラー指揮者として考えていなかったのですが
60年代にこのような素晴らしい演奏を成し遂げていたわけで
思い込みは怖いな、反省しています。
はじめまして。
私も最近このアンチェルのマーラー9番を聴きました。
「癒し系」なんて言う人もあったので、どうかなと思って聞きましたが、一楽章でびっくり。管理人殿のおっしゃるように実に厳しい音楽。つい、アンチェルの経歴などを思ってしまいます。でも、2楽章なんかは独特の軽やかさがある。こういうのはあまり聞いたことがない。しかし、これこそが実はマーラーが意図したもを、同じユダヤ系ボヘミア人として音にしてるんじゃないかなどと考えてしまします。
3,4楽章はまた厳しいですね。
60年代の演奏なのに、マーラーの複雑なポリフォニーの処理なんか、ワルターよりずっとうまい。それに、特に管楽器の響きが、古き良きチェコフィルだ!!すばらしい。
以上、失礼しました。
ととべい様
ありがとございます。
本文には書きませんでしたがおっしゃるように
このコンビの演奏には同郷人の共感があるように
感じます。それがこの熱い演奏に反映していますね。

あと、この演奏ばかりでなく
チェコフィルのマーラーは独特な雰囲気が
あると思いませんか?

〉チェコフィルのマーラーは独特な雰囲気が
あると思いませんか?

そう言い切れるほど、私はチェコフィルのものをたくさん聞いてはいないのですが、9番で言えば、
ノイマン(95年)盤、これは長年の私の愛聴盤の一つですが、何回聴いても冒頭の独特の雰囲気(静けさというか、諦観というか)から引き込まれます。
マーツアル(07年)盤、オケは抜群にうまいですが、アンチェル版⇒ノイマン盤そしてマーツアル盤とだんだんと、あのチェコフィル独特の音が薄くなってきているのが残念。
ま、どのオケもそうなので仕方ないですかね。
ととべい様
我が意を得たりのご意見です。
私もひょっとするとノイマンの9番が今一番
心に染みいる演奏かもしれません。
第4楽章を聴いていると
無重力の中空の空間に放り出されたような
感覚を味わいます。

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