クラシックCD聴き比べ ~ Classic CD Memos ~

クラシック音楽のCDを中心に演奏者への敬意を込めて、つたないメモを書いています。

マーラー 交響曲第5番 ドホナーニ(88)

2012.07.29 (Sun)
ドホナーニ5
ドホナーニ/クリーヴランド管弦楽団(88、DECCA)は
同年録音のバーンスタインやテンシュテットと対極。
下手な感情移入せず、音楽を純粋に鳴らすことに命を賭ける。
この指揮者の最初のマーラー録音だが、当時の主流の演奏様式とは全く別の道を行く。
ドホナーニという人はある意味凄い。演奏に迷いがないのだ。
この後に録音された第1番も爽やかで良かった。
ドホナーニはクリーヴランドで録音して世の中に出たため米国指揮者だと思っていたたが、
ベルリン生まれでドイツで実績を積んでいた欧州指揮者。
バーンスタインにも師事したようだが、
1977年にウィーンフィル来日でベームに随行もしていた。
ベームが若い時にマーラーを振ったらひょっとしたらこんな演奏になったかもしれない。

録音はマソニック・オーディトリウムで明快で肥大化しない響きが演奏とマッチ。

第1楽章の冒頭トランペットの輝かしい響き、それに続く整然としたオケ。
全てのパートがはっきり聴こえるのは録音が良いばかりでない。
各フレーズをスッキリ切り、清潔な弾かせ方。
古楽器奏法ではないがそれと通じる。
大太鼓など覆いかぶさるようには叩かない。

第2楽章も金管は率直に出し、弦は(歌うのだが)紋切り型。
しかし、情念でドロドロになるのでなく錯綜する各パートをこれほど整然と
呈示されるとこれはこれで一つの音響芸術。
多分この曲を何度も聴いた方でもこの演奏を聴くと発見があるのではないか。
このコンビ特有の粒立つティンパニは健在で、私には快感である。

第3楽章も眩いばかり。アクセントが効き各楽器が放射。
ホルンの歯切れは滅法快調だ。

第4楽章では「楽譜通り」のポルタメントはかかる。
透明な美しさはピカイチ。

終楽章もスカッと鳴らす。
しかし、聴いていて、はてな?と思った。
それまでの経緯とは全く関係なく独自に音楽が進む。
では、前4楽章は一体何だったのか?
徹底して音を追求してきたため、この交響曲に込めた作曲者のストーリーは
綺麗に除去されている。
最後の痛快なティンパニの一打を聴いたとき、
音響芸術という言葉がまたもや回帰した。

12:09  12:54  15:32  10:19  14:11   計 65:05
演奏  整A   録音 91点

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