クラシックCD聴き比べ ~ Classic CD Memos ~

クラシック音楽のCDを中心に演奏者への敬意を込めて、つたないメモを書いています。

マーラー 交響曲第5番 バーンスタイン(87)

2012.07.24 (Tue)
バーンスタイン5
バーンスタイン/ウィーンフィル(87、DG)は24年前の旧録音と大きく変貌。
若武者が曲と格闘し未消化のままだった63年盤。
一方、この盤は完全に自家薬籠中の物として余裕を以って自己の表現を追求。

録音はフランクフルトのアルテ・オパーでのライブ(9/6~8)。
バーンスタインのDG録音でのライブ表記は
どこまで真性ライブなのかよくわからない。
ゲネ・プロも合わせて収録して合体させているのだろうが、
入客時との響きの変化をどのように修正しているのだろうか?
ここで聴かれる残響成分から、ゲネプロ主体の音源ではないかと。
個人的な好みでは響きはもう少し抑制した方がこの曲を引き締めたと思う。
インバルのマーラー全集も同じ所で収録されているが、
ここまで響きは多くないのでDGの方針だろう。

第1楽章冒頭の安定感はニューヨークフィルとの旧盤と格段の差。
その後の音楽は大きく膨らみ深い。
14分半という時間をかけて黄昏の響きを醸し出す。頽廃的雰囲気。
ウィーンフィルの響きはまろやかで、熟し、堕ちそうだ。

第2楽章は響きがさらに多く深くなっている。
その分、やや遠景に見える。
音楽のうねりは極めて大きいが、その根底には客観性があり
没入してわけがわからなくなっているわけではない。
各フレーズの一つ一つに丁寧なコントロールがあり、
嵐だが安心していられる。

第3楽章は19分と長閑さも含んだ演奏。
弦の独自のポルタメントとホルンをはじめとした豊かな響きが
豊潤なブランデーを思わせる。リズムは重く、やや湿度の高い夜の調べ。

第4楽章のアダージェットはやはり重くそして美しい。
甘く密やかな弦をベースに時に見せる入魂のフォルテ。

終楽章はウィーンの管の美しい掛け合いが聴きもの。トロリと入る。
遅めの進行でじらされる。
ここにはニューヨークで見せた没我の熱気はなく、恰幅の良い音響がある。
それでも徐々に巨大な生き物が生気を取り戻し体温を熱くする。
じりじり来る。
ティンパニの音に芯がなくドロドロなのが惜しいが、金管は深く輝かしい。
崩れ落ちる感じはなく堂々たる終結。

・・・しかし、バーンスタインの実演を聴いている者として
ほんとにこれがこのコンビの真実の姿なのだろうか?
という疑問が残った。
それは同時期の真性ライブ盤を聴いて解決することになる。

14:32  14:59  19:02  11:13  15:00   計 74:46
演奏  A   録音 90点

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