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クラシックCD聴き比べ ~ Classic CD Memos ~

クラシック音楽のCDを中心に演奏者への敬意を込めて、つたないメモを書いています。

ブルックナー 交響曲第5番 シノーポリ(99)

2012.07.22 (Sun)
シノポリ5
シノーポリ/ドレスデンシュターツカペレ(99、DG)は素晴らしい。
硬派である。
87年の4番とは別人。シノーポリの死の2年前の演奏だが、マーラー全集の時の
ようないじくり倒しがなく実に堂々としている。
これを聴く限り、シノーポリは50歳を越えて大きく変貌したと思える。
ということは54歳での死は誠に残念。
また、軍隊のようにビシッとしたオケの貢献は大きい。

録音は本拠地シュターツオパーでのライブ。
響きは多くなく全帯域やや近接だが生々しく迫力のある音。
ティンパニがもう少し前面に出るのが好み。

第1楽章は冒頭の木質の弦に荒々しい金管がかぶる。
野人的風貌を感じる。
テンポ・旋律・楽器運用など奇妙なことはない。
どっしり構えドレスデンがドイツらしい素朴さと豪快さを合わせた
素晴らしい音を奏でる。音を丸めたり、メロディを流麗化することはなく
朴訥に置いて行くのだ。頑固な表情を見せる。
ティンパニが奥まっているのがやや惜しいが、
それでも終結部はパワーを伴い堅牢で重厚な音が響き渡る。

第2楽章の明瞭な木管の浮かび上がりなどシノーポリらしい扱い。
全体はここでも引き締まり甘く流されることはない。
こんな渋い指揮者だったのか?
少しかすれた弦は背筋がピンと張ったままメロディを奏でる。
テンポはインテンポで押す。
大きな起伏はあり、そこではドレスデンの金管が分厚く吠える。
ブルックナーにフィットした音だ。

第3楽章も曖昧な音がなく全てが聴こえる。それが起立している。

終楽章はそっけなく始まり各楽器群の対位が毅然と始まる。
ここでもそれぞれのパーツの分離が明確で構造が透けて見える。
これがライブなのだから恐れ入る。
それでもって線が細くないのはオケの特質。
ミュンヘンのブルックナーも良いが、ドレスデンも引けをとらない。
金管のコラールが始まるといったんテンポを落とし後半への準備をする。
その後は徐々にテンポを引き上げるが、フレーズごとの煩雑な
ギアチェンジはなく煩わしくはない。
基本的にはダレないテンポで進むが、クールな威圧感と重量感を伴う。
そして一気呵成に問答無用の終結。ラッパの威力が凄い。

20:51  18:48  13:30  23:28   計 76:37
演奏  A+   録音 92点

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