クラシックCD聴き比べ ~ Classic CD Memos ~

クラシック音楽のCDを中心に演奏者への敬意を込めて、つたないメモを書いています。

マーラー 大地の歌 ワルター(60)

2012.04.12 (Thu)
ワルター大地の歌NYP
ワルター/ニューヨークフィル(60、SONY)はかの52年のウィーンフィル盤より好きだ。
それを分けるのは独唱と録音。
歌唱は癖がなく端整。オケは全体に力が抜けている。
これは、ワルターの老齢化に起因するものかもしれないが、
結果としてこの曲の虚無感を表出する。
美しい録音と相まって何か現実と離れた世界。

録音はマンハッタンセンターでのセッション。
LP時代から感じていたがこの録音は素晴らしい。
ホールの空間の広さとオケと声のバランス。
CBSでのバーンスタイン/イスラエルの録音は20年以上あとだがこちらのほうが遥かにいい。
夢見るような音響。

第1楽章冒頭から惹き込まれる。ヘフリガーの折り目正しい中にも情感のこもった歌もいい。
第2楽章も冒頭の空間に漂う木管の素晴らしいこと。儚い風情をミラーが清潔に歌う。
第3楽章のキラキラする音楽。激しさはなく、昔を懐かしむ優しさ。
第4楽章の騒がしさもどこか夢の中のよう。
第5楽章のヘフリガーはやはりいい。
終楽章の告別の最初のドラから深い。ニューヨークの低弦のぶるぶる震える音も健在。
当時録音の主流だったコロンビア交響楽団ではこの深さは無理かもしれない
(ニューヨーク公演で滞在中に録音された)。
後半に行くに従いミラーは熱唱。オケも慟哭する。
時に深淵をのぞかせ、今までの淡い世界に漆黒の裂け目が見え始める。
これは恐ろしい。
このあたりの表現の幅は確かに室内楽版では達成できないし、
オケ版でも凡百な演奏では無理だ。
ここまでは天上の世界だったが、この楽章後半からは明らかに切れ込んできている。
最後は切実な歌い上げ。

9:30  9:50  3:07  6:44  4:23  29:00   計 62:34
演奏  A+   録音 90点

コメント

No title
ワルター最高の名演、名録音だと思います。愛聴盤です。
やはり初演者の強みでしょうね。
ニューヨーク・フィルの音も素晴らしい。
バーンスタインがニューヨーク・フィルと大地の歌を録音しなかったのは
この名盤があったからだと思います。
No title
ワルターの大地の歌と言えば
たいていの評論家はフェリアー、ウィーンフィルを推薦するのでしょうが、
私はフェリアーの歌唱が苦手なのもあって断然こちらです。
好みの問題でしょうが。
No title
私もステレオ・スタジオ録音のワルターがいいと思います。対抗できるのは、ロスバウト盤でしょうか。
ロスバウト?
guuchokipantenさん情報ありがとうございます。
ワルターと対抗できるのはロスバウト盤ですか。
ロスバウトは好きな指揮者ですが、この曲は未聴です。興味津々。探してみます。

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