クラシックCD聴き比べ ~ Classic CD Memos ~

クラシック音楽のCDを中心に演奏者への敬意を込めて、つたないメモを書いています。

ブルックナー 交響曲第9番 アーノンクール(02)

2012.01.30 (Mon)
アーノンクールブル9
アーノンクール/ウィーンPO(02,BMG)は全4楽章作品としての9番ならば現在最高の演奏。
全3楽章作品としてなら、依然としてハイティンク盤。
この作品を「魂の叫び、救済」とするならば前者、「宇宙の鳴動、深遠」とするなら後者。

この盤の1枚目に未完のフィナーレの実演つき解説が入っている。
コレが滅法面白い。
9番に対する従来の考え方について大きな変更を迫る。
第3楽章で完結させてなるものか。アーノンクールは強烈に主張する。
ブルックナーが書いた音符以外は一音も入っていない。
しかも演奏がウィーンフィルということもあってか今まで聴いた盤よりも
ブルックナーらしい音がしている。
フィナーレの冒頭は略完成していたようだが、何度聞いても驚かされる。
アーノンクールが『月から降ってきたきた石のような』な音楽で
当時のひとには理解不能だっただろう、と語っているが、さもありなん。
トランペットの不協和音の部分は予定調和的に書いたらこうなる
というものと対比して演奏している。
また、第二主題が祈りのように弦によって奏される場面はほんとに美しい。
コーダはブルックナーが書いていないので全く演奏されない。
あと2カ月ブルックナーが生きていてくれたなら、と思わずにいられない。

録音はザルツブルグ音楽祭で祝祭大劇場でのライブレコーディング。
深い音がしておりライブでもここまできたかという思い。
聴衆はフィナーレの演奏つき解説を30分ほど聴いた後
休憩後に第3楽章までの9番の演奏を聴くという形式。
CDも2枚組で、休憩前後で分けられている。

第1楽章は祈りから始まり心の震えや意志を感じさせる大きな起伏をもつ。
人間の情動と結びついていると考えれば、この動きは理解できる。
なお、今まで聴こえなかったティンパニなどは新校訂(2000年)に
よるものだろうか?最後は峻厳ささえ感じる。
第2楽章も激しい。激烈ともいえる叩きつける音楽だ。
トリオは全くのどかではなく挑戦的なテンポだ。
ここまで騒然とした雰囲気をもつスケルツォもない。
第3楽章のアダージョは当然のことながらこの盤ではフィナーレではない。
アダージョであるが劇的だ。
ティンパニの容赦ない強打に伴われる爆発は心に突き刺さる。
テンポは心の変転に伴い動く。

この盤の矛盾は全4楽章と捉えて演奏しておきながら第3楽章までしか
「音楽」がないことだ。従って音楽が終結しない。もどかしさは残る。
あーやっぱり未完だったんだ。
後は断片をもとに頭の中で終結させるしかない。
しかし、これはアーノンクールに帰すべき責任ではない。
むしろこのような挑戦を続ける彼の気概は素晴らしい。
とにかく言えるのはブルックナーの最後の交響曲が好きな方は必聴盤ということ。

24:16  10:39  23:56   計 58:51
演奏  S   録音 93点

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