クラシックCD聴き比べ ~ Classic CD Memos ~

クラシック音楽のCDを中心に演奏者への敬意を込めて、つたないメモを書いています。

マーラー 交響曲第9番 レヴァイン(79)

2011.11.30 (Wed)
レヴァインマーラー9RCA
レヴァイン/フィラデルフィア管弦楽団(79、RCA)は36歳のときの記録。
なんと演奏時間90分超はバーンスタイン、クレンペラー、ジュリーニを上回る。
彼のミュンヘンとの再録音は93分なのでこの遅さはレヴァイン特有なのだ。
しかし音は元気一杯に鳴る。

録音はスコティッシュ・ライト・カテドラルでフィラデルフィアの音をよく捉えた
当時の優秀録音。左右の拡がり・遠近も充分。ティンパニも底力ある。

第1楽章冒頭の深い弦の音はいい音。徐々に音量が高まると圧力の強い音になる。
よくフィラデルフィアサウンドといって弦がもてはやされるが、
弦圧・音圧が強すぎて切り裂くように鳴ることがある。
これはオーマンディ時代本拠地のコンサートホールの鳴りが悪いため
絶えず強い圧で弾いていた名残といわれる。ここでもそうした片鱗が垣間見える。
エッジが効いている。音楽の進行はゆっくりだが、だれたところはなく音は起立する。
普段は聴こえない木管が目立つなど、各楽器が明確明快。
第2楽章は18分代でクレンペラーと同様の不思議な遅さ。
しかし、音のメリハリは物凄い。感情移入はないので不気味ささえ感じる。
人工的に調節された音。しかしこの一種のクールな客観性は面白くもあり、
70年代にバーンスタインとは全く別の演奏を堂々と展開していた
レヴァインのある種の才気を感じる。
第3楽章もきっちり攻めてくる。
終楽章はフィラデルフィアの弦の威力をまざまざと感じる。
厭世的でも老化もしていない剛直な弦が音楽を支える。何たる力感!
この楽章は枯淡と思っているとこの漲るパワーに圧倒され、
こんな肯定的な音楽だったのかと気づかされる。勇気が湧いてくる。
楽章も半ばを越すとテンポは非常に遅くなる。
にもかかわらずいざという時には低弦の分厚さを伴う高揚感を纏う。
雄渾な第9番だった。

29:36  18:02  14:16  28:50   計 90:44
演奏  渾A   録音 89点

コメント

弓にしっかり圧をかけるフィラデルフィアの弦、好きです。
深刻にならず歌いまくるレヴァインのマーラーは今となっては得難い魅力です。5番をよく聴きます。

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