クラシックCD聴き比べ ~ Classic CD Memos ~

クラシック音楽のCDを中心に演奏者への敬意を込めて、つたないメモを書いています。

ブルックナー 交響曲第5番 クレンペラー(67)

2011.10.30 (Sun)
クレンペラー5
クレンペラー/NPO(67,EMI)は、まさにクレンペラーだ。
有名な68年のVPOとのライブはある意味でVPOに中和されていたが、
ここではまさにクレンペラーのやりたいことが率直に投影された。
鈍重ともいえる遅いテンポに、ウドのようなぬーとした音色、
金管はバーッ!ではなくヴォアーと鈍い立ち上がり。
景色はくすんでいる。宇宙的な広がりというよりは、分厚く重い空気がのしかかる。

録音はキングスウェイホールで適度な音場感で録音的な不満はない。

第1楽章から非常に重苦しい。厚く塗り込められた漆黒の回廊を歩む。
しかも回廊は狭く低く這いながら前進。快適な見晴らし場や清涼な空気はない。
終結部はスピードを上げたいのに重量物を引きずっているために前に進めない。
かなり自虐性が強い。
第2楽章もテンポが遅いわけではないのになぜこれほど重く感じるのか。
序奏が終わってからはロマンティックでセンチメンタルなメロディが始まるが
ここでも緩まない。とにかく一貫している。
この楽章の終盤での木管の絡みはクレンペラーらしく
弦を大幅に後退させるので木管五重奏のように聴こえる。
第3楽章は運動性能が悪い。
この楽章まで聴いてきたら予想はつくが、なんというリズムの重さ。
ただこの楽章はシンプルなためやや飽きる。
終楽章はかなり強烈な遅さ。フーガの始まりはドシンと、さあ頂上を目指すぞ
という決意が示されるが、行けども行けども高度をなかなか上げられないもどかしさ。
終結は剛直なまでの粘り腰で絞り出すような風情はなかなか魅力的。

とにかくクレンペラーワールドを堪能できるが,
曲が長いだけに耐えられない人が続出しそうな演奏だ。
クレンペラーは好きだがあまりにも一面的というか個性的かもしれない。
この曲の素晴らしさはゴシックとロマンの妙にあると思うから。

21:13  16:35  14:40  26:40   計 79:08
演奏  鈍   録音 86点

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