クラシックCD聴き比べ ~ Classic CD Memos ~

クラシック音楽のCDを中心に演奏者への敬意を込めて、つたないメモを書いています。

マーラー 交響曲第10番(フィーラー版) オルソン(00)

2011.07.18 (Mon)
オルソンマラー10フィーラー
オルソン/ポーランド国立放送交響楽団(2000、NAXOS)はフィーラー版(Wheeler)。
オルソンはこの版の初演者で2度目の録音。
この盤は吉田秀和「マーラー 」(河出文庫)で「この曲の全曲補筆の価値を認識させてくれた」
と推奨されている。思うに慎ましい補完姿勢と演奏方針がこの高名な評論家にも
受け入れられたのだと思う。

録音はポーランド・カトヴィツェのグジェゴシュ・テンベルクコンサートホールでの
セッション録音。派手ではなく落ち着いた美しい音。

第1楽章は落ち着いたインテンポでモノクロで淡いムードが支配。
18分のカタストロフでは独自のティンパニの歩みが聴かれる。
それ以外は弦楽合奏を軸とした音楽に仕上げている。
第2楽章は木管が活躍する。演奏の姿勢なのか分からないが打楽器と金管は
派手にならないように抑制される。従って諧謔性は薄れているかもしれないが。
第3楽章のプルガトリオは美しい夢見るような世界をベースに
ほんの少しだけ不気味さを漂わせる。
第4楽章はこの落ち着いた演奏から第5番のスケルツォとの連関性を浮き彫りにしてくれる。
狂気の舞踏よりも癒し系の舞踏である。終結の太鼓はそれほどの衝撃ではない。
終楽章はこの版だけアダージョでなくアレグレットという速いテンポの導入。
チューバではなくコントラバスに置き換えているのでおどろおどろしさは薄まる。
続くフルート独奏は儚く美しい。
その後の展開部ではクック版に比べてかなり手が入って音楽が錯綜する場面がある。
しかしそれを乗り越えるとまたも暖かい慈愛に満ちた音楽がゆったりと展開される。
そして15分には再度あのフルートソロが再現される。
その後もこの楽器が長々と活躍する。クック版とは違う美しい音楽だ。
全体としてマーラーの毒の部分は薄まっている曲作り&演奏かもしれない。
地味かもしれない。
しかし、第1楽章の弦主体の抑制された音楽を最後まで継続させたという点では
違和感がないのも事実だ。私は好感を持って聴いた。

26:15  12:03  4:30  12:15  23:53   計 78:56
演奏  A+   録音 90点

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