クラシックCD聴き比べ ~ Classic CD Memos ~

クラシック音楽のCDを中心に演奏者への敬意を込めて、つたないメモを書いています。

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ベートーヴェン ヴァイオリン協奏曲(ピアノ編曲版) バレンボイム(73)

2017.08.11 (Fri)
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バレンボイム(p&指揮)/イギリス室内管弦楽団(73、DG)は可憐な少女。
ベートーヴェンが37歳のときに作曲したヴァイオリン協奏曲作品61を
翌年改訂する際、出版社の求めに応じてピアノ協奏曲として編曲したもの。
オケパートは変わらず基本的には独奏をピアノに移し替えただけ。
結局右手が大半で左手は補助的に出る程度。
従って比較的ピアノ音楽としてはシンプルな響き。

本作品は正真正銘ベートーヴェン作だが殆ど取り上げられない。
当方保有盤もこのバレンボイム盤が一番古く、音盤としては第一号?
(コメントいただきました。69年P・ゼルキン盤がありました)
しかし聴く価値は十分ある。

改めてヴァイオリンとピアノという楽器の特性の差を感じさせてくれる。
連続的持続的な音で歌うことが得意なヴァイオリンに対して
音の粒立ちと減衰で表情を作り出すピアノ。
この曲でいえば優美でしなやかな大人の女性から
華やかな若やぎを持った少女に変化するよう。

もう一つの興味は第1楽章18:08(~22:57)から125小節に及ぶ
ベートーヴェン作のカデンツァ。
beethovenvc-autograph.jpg
ヴァイオリン協奏曲のカデンツァに自作は無いので
むしろ編曲版のこちらが100%ベートーヴェンだ。
ティンパニはリズムを刻み行進曲調だが、この演奏はあまり違和感が無い。
それは全体が柔らかくこの異端のカデンツァを興味本位で強調しないから。

第2楽章のラルゲットも11分近くかけポツリポツリと寂しげな表情を浮かべる。
バレンボイムのロマンティックな音楽性が出る。

終楽章もオケのスケール感は無いがお茶目で楽しい雰囲気が出る。
なお、ここでのカデンツァはティンパニを省略している。

録音はロンドンのウェンブリー・ブレント・タウンホールでのセッション。
編成が大きくないこともあるが非常にまとまりの良い音。
分離などの鮮明さは強調されず品のいい音。

24:05  10:55  9:43   計 44:43
演奏   A+    録音  90点
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