クラシックCD聴き比べ ~ Classic CD Memos ~

クラシック音楽のCDを中心に演奏者への敬意を込めて、つたないメモを書いています。

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ベートーヴェン ヴァイオリン協奏曲 テツラフ(88)

2017.08.01 (Tue)
テツラフギーレン    テツラフクアドロマニア
テツラフ(Vn)/ギーレン/バーデン・バーデン南西ドイツ放送交響楽団
(88、intercord)は実に興味深い。
(インターコードの原盤だが、クアドロマニアの協奏曲集にも入っている)

特徴は、①快速+②原典版使用+③ピアノ版カデンツァを逆使用。

クリスチャン・テツラフ(1966~)はハンブルク生まれでこの盤はデビュー盤。
22歳の彼の意図でここまで革新的挑戦をしたのか。
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おそらくテツラフを発掘したギーレン(1927~)の意向も大きいのだろう。
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特徴① 全編一様に速い。
     長いカデンツァを挿入しても40分を切っていることで明らか。
     オケが単独で鳴るところでもスッタカなのでギーレンの仕業ではないか?
特徴② 原典版については現行版のスコアを見ながら聴いてみたが、
      6連符をトリルに変更程度しか確認できず大きな構成上の変化はないとみた。
特徴③ 第1楽章(510小節)と第3楽章の2か所(92小節、278小節)でベートーヴェンが
     この曲をピアノ協奏曲に編l曲した時につけたカデンツァをヴァイオリンに置き換え挿入。
     特に第1楽章のカデンツァは17:12から始まり18:22からはティンパニとの二重奏になる
     というビックリ版。これが21:51まで続く(なんと125小節!)。
     この趣向は他にシュナイダーハン盤(62)、テツラフ新盤(2005)、ツェートマイヤー盤で
     聴ける。さらにクレーメル新盤(92)はさらにピアノまでつけている。
     もしまだ接してない方はこのどれかを聴かれると面白いと思う。
     とにかく軍隊のようなティンパニに目を丸くされるだろう。

さて肝心の演奏だが、ヴァイオリンの長く伸ばし歌う部分がかなり短く切られる。
ロマンティックな演奏に慣れ親しんだ耳からすると相当ザッハリッヒ。
ヴァイオリンの音は細身で切れ味がある。
第2楽章もかなりあっさり。終楽章はあまり違和感がないが
とにかくいろんな意味で面喰い、慣れるまで覚悟がいる。

録音はバーデン・バーデン、ハンス・ロスバウト・スタジオでのセッション。
ソロ、オケともに明確に捉えられ不満はない。
鮮度・伸び・レンジ感など欲張ればあるのだが、まずは当時の標準をキープ。

22:57  7:36  9:10   計 39:43
演奏   革    録音  90点
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