クラシックCD聴き比べ ~ Classic CD Memos ~

クラシック音楽のCDを中心に演奏者への敬意を込めて、つたないメモを書いています。

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ベートーヴェン 交響曲第7番 ドゥダメル(2006)

2017.05.05 (Fri)
ドゥダメル57
ドゥダメル/シモン・ボルヴァル・ユース管弦楽団(2006、DG)は
このコンビ最初期の記録。ドゥダメル(1981~)はなんと当時25歳。
この歳でベートーヴェンを録音した指揮者はいるのだろうか?

彼らはその後ベートヴェンに注力し2016年に再録音、2017年には
交響曲全曲ツアーをウィーンやハンブルグで敢行している。
(近時の演奏時間は5分違うがこれはリピートの有無によるところが大)

この演奏でまず驚くのは、このオケの素晴らしさ。
南米で最も危険といわれるベネゼエラで、貧困や犯罪からの脱却を目指す
「エル・システマ」から生まれたこのユース・オケ。
日本の大学オケではかなわないだろう。
なにせ、この国の40万人の子供により200以上のユースオケができ、
その中から選りすぐられたメンバーによるオケだから。
(人数も多いため併録の「運命」とこの曲で構成員が相当違う)

ドゥダメルが
「音楽は私を救ってくれました。これは確かです。
私の周りにも犯罪や麻薬がはびこっていました。
音楽がそうしたことから、私を遠ざけてくれたんです」
と述べているが、当初の目的以上にこのシステムは音楽の質の面でも
極めて意義のあるものと思われる。
それにしてもギアナ高地のある国でこの演奏が鳴り響いているとは。
ギアナ高地

さてこの演奏、前半3つの楽章は意外なことにおっとりしたテンポ。
音はどちらかというと編成の割りには軽めだが、
昨今のピリオド的要素は微塵もない。
丹念に美しく音を紡ぐ。

しかし終楽章になると突如人が変わり脱兎のごとく。
スピードだけみるとカラヤンを抜く。
音価を切り詰めゴム製ボールが弾むようにポンポン行く。
あれよあれよという間に終わっている。

何か唐突感があるし、快速ならば迫力があって興奮させられる、
というわけでもないことが分かる。
音楽による感情の昂ぶりはテンポだけが要因でないという
至極当然のことを喚起させる。

録音はベネズエラ中央大学、アウラ・マグナ講堂でのセッション。
ベネズエラ中央大
ベネズエラ中央大学、アウラ・マグナ講堂
この大学都市は世界文化遺産になっているとのこと。
非常に大きなホールで音が盛大に拡散しそうな感じだが
録音はうまくやっている。
全体を捉え残響を適度に残し潤いを与えている。
音の凝縮性や明晰さはもう一歩だが美しく仕上げている。

11:29  8:43  9:42  6:16   計 36:10
演奏   A-   録音  91点
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