クラシックCD聴き比べ ~ Classic CD Memos ~

クラシック音楽のCDを中心に演奏者への敬意を込めて、つたないメモを書いています。

Ravel La Valse の記事一覧

ラヴェル ラ・ヴァルス バーンスタイン(63)

2016.08.19 (Fri)
ラヴァルスバーンスタイン1963?(←LP盤の表紙は覚えていたのだが・・・) 
バーンスタイン/ニューヨークフィル(63、SONY)は破天荒が消えた。
1958年にこの曲を録音してすぐにまた録音したというのは
バーンスタインは旧録音に満足していなかったのかもしれない。

実は私はこの盤の存在を知らなかった。
というのは、最近入手した「BERNSTEIN EDITION(協奏曲&管弦楽曲版)」に
たまたま3種類の「ラ・ヴァルス」が含まれていることに気付いたため。
バーンスタインエディション

因みに、殆どバーンスタインの録音を保有しているのになぜ重複するこの80枚組を
購入したかというと、この欄のコメントにこのセットのリマスターは良好との情報を頂いたため。
確かに不満に思っていたバルトークの「管弦楽のための協奏曲」(日本盤)とは
まるで違う音質でこちらは蘇っていた。評価を改めねばならないほど。

まだ全部を聴いていないが、確かにここに格納された音盤の音はよい。
リマスターで印象がまるで変わってしまうことがあるのでほんとに注意が必要だ。
なお、もう一つの「ラ・ヴァルス」はフランス国立との75年盤だが
こちらも今まで保有していた国内盤より音が良くなっている。
(教えていただき深謝)

さて、この盤だが極端な強調があった58年盤よりまっとうな再現になり、
75年盤ほどゆれたり粘ったりもしていない。
悪くはなく美しいのだがある意味あまり特色がない。
せっかく近いタイミングで再録音したのだからもっと意欲を
見せてほしかった、とも思う。バーンスタインは期待値が上がるのだ。
何度も言うがふつうに聴いていればいい演奏。

録音はフィルハーモニックホール(現エイヴェリー・フィッシャーホール)での
セッション。マンハッタンセンターに比べると音響のスケール感は縮まり、
直接音主体となる。今でも鮮明な録音であるが揺るがせにする様な重低音はない。
たぶん初CD化なのではないかと思うがいい音だ。

12:27
演奏   A-    録音    88点

ラヴェル ラ・ヴァルス コンドラシン(67)

2015.02.02 (Mon)
コンドラシン
コンドラシン/モスクワ・フィル(67、Altus)は迫真。
この演奏は67年の来日時の演奏会のアンコール。
しかし、およそアンコールの気楽さとはかけ離れた真実の音がする。
これほどこの曲が内蔵する悲愴を
浮き彫りにした演奏はなかったのではないか。
メインプログラムはロシア本場ものだがアンコールはマーラーやら
フランスものだったり。コンドラシンのモダニズムを感じる。
そして驚くのはモスクワフィルの柔軟性。
最初の優美はフランスのそれ、終結の厳しさはソ連。

録音は東京文化会館での来日時のライブ。NHKによる収録。
予想外の生々しい音。ヒスは目立たないようリマスタリングされているが
鮮明な音。また、量感は少ないが低域も引き締まり筋肉質。
マイクセッティングの制約の中でこれだけの音がとれていれば不満はない。
もちろん音響は東京文化会館のそれだ。
tokyo1967.jpg

演奏冒頭は意外なほど柔らか。
当時のレニングラードでは絶対出せないのではないか。
「ワルツ」に入ると速めのテンポの中結構緩急が付けられる。
三拍子がひきつってはいる。
しかし強奏でも金管はロシア臭を出さないのがこのコンビ。
再現部「栄光と崩壊」は凄い。
ぐいぐい音を追い込む。ティンパニ・大太鼓の強打が鞭のように入る。
この曲の内包する絶望感がつかの間の喜びをかき消し怒涛の終結へ。
拍手が入るが多分聴衆はあっけにとられたのではないか。
アンコールでこんな壮絶な演奏を聴かされるとは
夢想だにしなかったはずだ。

11:52
演奏  悲    録音 85点

ラヴェル ラ・ヴァルス デュトワ(80)

2015.01.29 (Thu)
デュトワ
デュトワ/モントリオール交響楽団(80、DECCA)は
スタイリッシュなのに迫力満点。
録音の威力が大きいが演奏も積極性があっていい。
癖のある表現はないがこの曲の持つ緊迫感の表出が凄い。
またラヴェルのキラキラした管弦楽の面白さを一番堪能できる。
私は正直言ってデュトワと相性がいいとは言えないが
この演奏は素晴らしいというしかない。

録音は聖ユスターシュ教会でのセッションで見事。流石、DECCA。
メータような強調感はないがどこまでも澄みきり、
超ワイドレンジでピントがしっかり決まっている。

演奏は冒頭から鮮明な録音もあり各楽器がよく聴こえ、
こんな所で大太鼓が入っていたのかなど気づかされる。
混沌からワルツが生まれるというより、細胞活動の成果と感じられる。
「ワルツ」に入ってからも速めのテンポながら精緻な音楽を展開し
ラヴェルの仕掛けが次々に切りだされる。
また、表情は粒立ちいきいきしている。
「栄光と崩壊」に一気になだれ込むが
直線的な進行の中にも楔を打ちながら辛口感を出す。
終結は怒涛の勢いで豪快だが一糸乱れないところが恐ろしさを演出。

12:10
演奏  S    録音 95点

ラヴェル ラ・ヴァルス ラトル(90)

2015.01.28 (Wed)
ラトル
ラトル/バーミンガム市交響楽団(90、EMI)はメリハリ系。
同オケの首席指揮者を10年間務め音楽監督になった年の録音。
完全にオケを手中に収めたこの頃、ラヴェルの主要管弦楽曲を集中的に録音した。
本場物でもなく35歳の若者指揮者のこれらの演奏がどのように受け止められたか
知らないが極めてフレッシュな魅力があると思う。
この演奏では艶やかな香りには乏しいが、パーカッション出身らしく打楽器に
重要な意味を持たた活き活きとした音楽が素晴らしい。

録音はワーウィック大学の芸術センターでのセッション。
EMIらしい曖昧さはあるがスケール感のある音。
打楽器の音は強力に捉えられており迫力がある。
warwick2.jpg

演奏の冒頭はオドロオドロしくせず各パーツを明快に元気よく。
この演奏の性格が明確になるのは「ワルツ」で大太鼓の一撃が極めてシカと
叩かれてから。優美な横の線よりも縦のリズムがくっきり。
テンポはもたつくことなくしかしオケは破綻を見せず一体感を持って大団円。
パンチは相当なものがある。

12:33
演奏  A    録音 90点

ラヴェル ラ・ヴァルス バーンスタイン(76)

2015.01.27 (Tue)
バーンスタインフランス国立
バーンスタイン/フランス国立管弦楽団(75、SONY)はそこそこ。
58年のNYP盤とほとんど同じ解釈だが、若き日の演奏の方がより徹底している。
但し、フランスらしい明るい音はする。

録音はパリ、フランス放送103スタジオでのセッション。
同年にパリのシャンゼリゼ劇場でオール・ラヴェル・プログラムを披露し
そのライブ映像がDVDになっているがその後の別テイク。
スタジオとは言うが円形のコンサートホールである。
Radio France, Studio 103, Paris
ボレロの冒頭などソロ楽器主体の時は美しいソノリティを見せるが、
トゥッティになると分解能は悪くなる。やや遠目で遠近感も十分ではない。

演奏は冒頭より低弦やサブパートを強めにし不安色を煽る。
主題のメロディの脇の要素浮き上がる。
「ワルツ」になるとやはりバーンスタイン。よく歌う。
しかし流れに掉さすようなことはない。響きは透明とは言い難いが明るい。
徐々に音楽は踏みとどまり躊躇いを見せる。でもチャーミングな音。
ラッパの音などいかにもフレンチ。
「栄光と崩壊」は指揮者が前のめりになってそれをオケが追いかける展開。
実演DVDもいこの場面はスリル満点だがここでもそれがうかがえる。
一直線ではなく緩急がとられ最後は猛烈に突っ込んでいく。
但し、ライブ映像の迫力は更に凄かっただけに少し劣る。

13:13
演奏  A-    録音 87点
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