クラシックCD聴き比べ ~ Classic CD Memos ~

演奏者への敬意を込めて、つたないメモを書いています。

幻想交響曲 の記事一覧

ベルリオーズ 幻想交響曲 ロイター(88)

2016.11.21 (Mon)
ロイター幻想交響曲
ロイター/ベルリン・コミッシェ・オパー管弦楽団(88、BerlinClassics)は朦朧夢の中。
けだるい不思議な1時間を味わえる。

このCDなんの予備知識もなくジャケ買いした一枚。クラシックぽくない。
演奏者も知らない。買ったままずっと聴いていなかった。

ロルフ・ロイター(Rolf Reuter, 1926-2007年)は、旧東ドイツのの歌劇場中心の指揮者らしい。
ロルフ・ロイター(Rolf Reuter, 1926年10月7日 - 2007年9月10日)
オケはベルリンで前衛歌劇や独語主義を貫く歌劇場のオケ。
Komische_Oper_Berlin.jpg

演奏はひんやり長い。全曲57分以上、特に第3楽章は19分と最長。そして結構恐い。
第1楽章からウキウキ感がない。
第2楽章もひっそり。
第3楽章はすでに夢の中の葬送のよう。雷鳴も幻。意識が一層遠のく。
第4楽章の断頭台へはリピートせず進むがラッパだけが遠くから明るく聞こえるが
全体は覇気がない。
終楽章は長い時間をかけて辿り着いた怪奇の闇の世界。
アクセントは相変わらず弱いが、初めて少し活き活きしている。
チューブラベルが広大な空間の中響きわたるのは印象的。
終始強調した表情は無く不思議な基本脱力系。

録音場所は未記載。東ベルリンイエスキリスト教会のような冷気空間を感じる。
音はスーと美しいシルキートーン。
オンマイクでなくやや遠景ながら綺麗に溶け合う。後半に行っても迫真性は薄い。

15:48  6:47  18:50  5:14  10:34   計 57:13
演奏   朦    録音  90点

ベルリオーズ 幻想交響曲 バレンボイム(95)

2016.03.29 (Tue)
バレンボイム幻想シカゴ
バレンボイム/シカゴ交響楽団(95、ERATO)はシカゴの威力!
バレンボイムはパリ管、BPOに次ぐ三度目の「幻想」。
シカゴ響はショルティ、アバドによる名盤を残している。
さて、今回はライブだがやはりこのオケのズバッとした音と迫力はすごい。
音楽は少し硬いが、フランス風を求めるなら他の演奏を選べばよい。

第1楽章はクールな入り。主部に来ると疾風の勢い。メリハリとアクセント。
金管は強く、弦は唸る。
終結に至る直前ではぐっとテンポを落として芝居っけを見せる。

第2楽章のワルツはぎこちない力が入る。
これまた終結は恐怖のように迫る。

第3楽章は純器楽的なアプローチを見せながら、
時々音が大きく覆いかぶさる。

第4楽章の音圧はやはりだ。ブラスの威力。
弦のプレッシャーの強靭さ。最後のパーカッションのダメ押し。

終楽章も問答無用。時にバレンボイムの小細工も有効。
鐘の音は2種類を使い分けている様な気もする。
また、随所で聴いたことのないようなグロテスク音が頻出。
面白くスカッとする。

なお、このCDの併録はベルリオーズ編曲の「ラ・マルセイエーズ」。
オケにプラシド・ドミンゴのハリのある声と合唱がつく。
はっきり言ってこれを聴くだけでも価値がある。これで「+」を献上。
ドミンゴ

録音はシカゴ・オーケストラ・ホールでのライヴ収録。
客席ノイズは目立たないがそれらしい雰囲気。吸音による直接音主体の響き。
よって残響で綺麗に聴かせるというわけにいかないが流石にシカゴ交響楽団は巧い。
ただ、ここまでやるならセッション録音による完璧な音響で聴きたかった。
まあ、アメリカなので予算の関係でオケをそれほど縛れないのだろう。
なお、「ラ・マルセイエーズ」は響きが豊かに入ったスケールの大きな録音。
会場が違うか観客の吸音なしの音だ。

15:18  6:24  15:13  6:43  9:52   計 53:30
演奏    強A+    録音   91点

ベルリオーズ 幻想交響曲 P・スタインバーグ(87)

2016.03.28 (Mon)
スタインバーグ幻想
P・スタインバーグ/CSR交響楽団(87、NAXOS)は素朴な職人芸。
オケのせいもあるがスマートな演奏ではないが手堅いだけではない
面白さがありパワーも十分。

ピンカス・スタインバーグ(1945~)はピッツバーグ交響楽団やボストン交響楽団など
で名演を成し遂げたドイツ生まれの指揮者ウィリアム・スタインバーグ
(ヴィルヘルム・シュタインベルグ1899~1978)の息子。
ピンカスはイスラエル生まれで、現在はブタペスト・フィルの首席指揮者。
どちらかというとオペラの世界での活躍が大きいが、
NHK交響楽団にも客演して「幻想」を演奏し大喝采だった。
Pinchas_Steinberg2.jpg

このオケのCSRとはブラティスラヴァのチェコ=スロヴァキア放送交響楽団の略称。
チェコ=スロヴァキアは1918年から1992年のビロード離婚までの間一国だったので
録音時はこのような名称だった。
現在はこのオケはスロヴァキア放送交響楽団となっている。
全体として精度は高くないが、馬力は感じる。

冒頭楽章の終結にかけてのパッションは激しい。
しかし基本的には情念ドロドロではなくあっけらかんとした音楽作り。
第2楽章のワルツは美感はほどほど少し強引か。
第3楽章の抒情もそつなくこなし、断頭台から夜の世界も屈託なく行く。

録音はブラティスラバのスロバキア放送コンサートホール。
Radio_Bratislava.jpg
広めの音場で豊かな響きのブルー系でヌケは良い。
録音自体は良いのだが垢ぬけない音なのはオケによるのかもしれない。
打楽器の粒立ちが良く迫力の感じられる音。
左右にきっちり展開し楽器の受け渡しも明瞭。

12:47  6:29  15:41  4:53  9:56   計 49:46
演奏   A   録音 91点

ベルリオーズ 幻想交響曲 カザンジェフ(93?)

2014.04.23 (Wed)
幻想カザンジェフ
カザンジェフ/ソフィア交響楽団(93?、delta)はなぜ買ったか不明。
きっとまたマイナーなものへの好奇心。
裏切られることも多いが、なにか発見があると得した気分。さてこのCDはどうだろう。

録音についての詳細データはない。
デジタルで聴衆ノイズがないのでセッション録音という程度。
ホールは適度な響きを持って聴きやすくややハイ上がりの安っぽさはあるが
鮮度はあり普通に聴ける。なお、弱音部ではホールの空調なのか持続的な
ハムノイズのようなものが聴こえる。

第1楽章は普通に始まりそれなりの動感も持つ。ただ、オケの精度がそれほど
高くないのはわかる。ホールの響きで一定の化粧をしている。終結にかけては盛り上がる。

第2楽章は田園ぽく綺麗。

第3楽章はゆったりしており18分かける。
音符が少ないのでオケの薄さは気にならずむしろとても涼しげ。
演奏自体は淡々とやっている。盛り上がる場面もなんだがのんびり。

第4楽章は予想通り、目の覚めるような演奏ではない。
ティンパニが奥まっている。しかし、ブラスや弦は頑張る。
ただし全体の響きがちゃち。人数も少ない感じ。

第5楽章は頑張ってる。非力なのに大きく頑張る。
鐘はチューブラベルのようで綺麗だが少し音が違う気がする。
オケはかなりきわどい。もっさり型。心の中でもう少しもう少しと応援しながら終わる。
打楽器が奥まって量感が出てないのが残念。

さて、このCD人にお勧めするような何か特長があるかというとウーン。

13:48   6:30  18:00  4:58  10:18   計 53:34
演奏  B   録音 88点

ベルリオーズ 幻想交響曲 T・トーマス(97)

2014.04.22 (Tue)
幻想MTT97
T・トーマス/サンフランシスコ交響楽団(97、RCA)は繊細と積極。
この絶妙な同居が聴く者を飽きさせない。トーマスの好調を示す。
単純そうで単純でない彼の音楽。MTTワールド。
2007年の再録音より表現意欲が演奏にストレートに反映されている。

録音はデイヴィス・シンフォニーホールでのセッション。
抜けよくDレンジ広くオーケストラを聴く醍醐味を感じさせる。
フィリップスのようなマス録音ではなく細部を明らかにした音ながら
ぎらぎらや硬質感がないのが素晴らしい。
低域はギュッと引き締められておりもたつかない。

第1楽章は綺麗に始まるが単なるムードでなく棘を持つ。
情熱の部分に入ると動感が増すが単純ではない。音楽は微妙に伸縮し表情は崩れかけ
持ちなおす。それが大袈裟にならない絶妙なバランスで踏みとどまるのはMTT。
彼のセンスは知性的なのだがそれだけにとどまらないものを刻印するから魅力的。

第2楽章のワルツも屈折していてよい。伸びやかの弦は美しいし、
管弦楽のバランスがとてもよい。

第3楽章も惰性で流さず情感を籠める。丹念に表情を織りなす。
テヌートとアクセントを交互に繰り出す。
この楽章をこれだけ聴かせる演奏はそうない。

第4楽章は眩い。ティンパニが相変わらず冴えている。キレがいい。
奏者がいいのか指揮者の指導か。

終楽章もいいテンポ。鐘の音は音程がとれておりチューブラベルかと
思ったが倍音?が鐘っぽい。怒りの日以降も音楽が弾みをつけて前へ前へ突き進む。
ドロドロ感はなく地獄性は薄い。快感すら覚える爽やかさ。
最後はアッチェレで痛快に終わる。

15:48  6:49   17:04  6:36  9:21   計 55:38
演奏  A+   録音 92点
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