クラシックCD聴き比べ ~ Classic CD Memos ~

クラシック音楽のCDを中心に演奏者への敬意を込めて、つたないメモを書いています。

ブリテン の記事一覧

ブリテン ヴァイオリン協奏曲 マクアスラン(89)

2013.05.19 (Sun)
ブルテンマクアスラン
マクスラン/ベットフォード/イギリス室内管弦楽団(89、collins)は真摯で感動的。
指揮者ベットフォードはブリテンのよき理解者として知られ、
オペラも含め主要作品を録音している。ゆえにオケパートは積極的で自信もある。
ソロはそれに引きずられ巻き込まれ熱演を展開。

録音は、ブリテンゆかりのSnape Maltingsで空間は大きくないが伸びのある明瞭な録音。
コリンズレーベルのオケ録音は詰まり気味のものが多い印象だがこれは違う。

第1楽章冒頭はオケもソロも真摯に正面切って音を押し出してくる。
テンポは堂々としたもの。念を押すような強さを持つ。
流麗さを狙うのではなくガシッとした意志の強さを感じる。
アクセントは明瞭で訴えかけがストレート。音楽の襞に分け入り抉りだそうとする。
オケとソロの息もあい協働作用している。

第2楽章も軽くはなくドスが効く。カデンツァも意志的。

終楽章に入るとトランペットの強奏が心を引き裂き、トロンボーンが審判を下す。
ソロは最後の最後まで真剣勝負を挑み続ける。
この女流ヴァイオリニストは知らないが強靭な音には恐れ入る。弾き切る。
そしてオケの熱演にも拍手を贈らなければならない。

コリンズレーベルが潰れて、ナクソクが自社録音があるのに
この共感度合いの強い演奏を移行発売したのはわかる。

9:45  8:33  14:38   計 32:56
演奏  S  録音 91点

ブリテン ヴァイオリン協奏曲 ツィンマーマン(04)

2013.05.12 (Sun)
ブリテンティンマーマン
ツィンマーマン(Vn)/ホーネック/スゥエーデン放送交響楽団(04、EMI)は
ソロに隙がない。隙がなさすぎるといった方が良いかもしれない。
速めのテンポで感情を押し殺したような怜悧さ。
一方オケの積極性は今一歩で総合的な迫力という面でやや惜しい。

録音はストックホルムのベルワルドホールでのセッション。
響きは癖がなく良好。
ソロは明解でオケがサポートという協奏曲録音の定番的音作り。
しかし、この曲はオケも重要なので対等に持っていってほしかった。

第1楽章は速めのテンポでヴァイオリンが明晰な歌を綴る。
曇りや曖昧さのない鋭さすら感じる。

第2楽章ももストレート。全編ソロが間然とするところがないが、
しかし、ヴィヴァーチェにおいてオケに恐ろしさが足りない。
保有盤最速ペースもここではマイナスか。
焦燥感が十分に出し切れていない。
後半のカデンツァのソロの強さは舌を巻く。

終楽章のパッサカリアは強く押し出す。ここではソロもオケも青く燃えている。
一丸となって突き進む。
最後は背筋を伸ばさせるようなソロは感動的。

全体は迷いのない力強さに満ちておりテクニックも完璧。
なのだが、この曲にはもっと不安定な情感が内包されているように思える。
めちゃくちゃハイレヴェルな演奏を前にした贅沢な注文である。

なお、この盤、最初にシマノフスキーのヴァイオリン協奏曲2曲が置かれていて
色香の漂う素晴らしい名演。続いてブリテンを聴くと鋭利な刃物を突き付けられて
いるような真剣な音楽に改めて気づかされる。

8:48  8:06  13:00   計 29:54
演奏  A   録音 91点

ブリテン ヴァイオリン協奏曲 ホープ(03)

2013.03.29 (Fri)
ブリテンvnホープ
ホープ/ワトキンス/BBC交響楽団(03、Warner)は真面目で誠実。
テンポは総じて遅めで一音一音端正に弾く。
しかし、一方この曲の持つ静と動の対比が弱まった感はある。
ホープはこの曲を愛し、この録音のあとも実演で相当数演奏している。
指揮者を変えて現在の彼がこの曲をどう演奏するか聴いてみたい。

録音はBBCメディア・バール・スタジオ1で広くなく、ホールとは違う
スタジオっぽさはあるが鮮度高い。ヌケがもう一歩ほしい。
ヴァイオリンがオンでオケがオフ過ぎるのも気になる。

第1楽章はゆっくりじっくり。ヴァイオリンは美音というより意志を感じる。
保有盤最長のテンポの遅さも相まって粘りながら絞り出すような独自の世界。
オケはサポート的だがパーカッションはいい音。

第2楽章はオケとソロともに正攻法でごまかしがないが更なる躍動感が欲しい。
指揮者は真面目に音楽を再現するがスリルが乏しい。
ただ、ひたひたと迫るものはある。
カデンツァは聴かせどころだ。感情に没せず弾き切る。

終楽章のオケは荘厳さに欠けるこじんまり感。
じっくりじわじわ型で切り込み。ソロはここでも激することはない。
音楽が鎮まってからの最後の数分のホープの演奏は入魂。
表面の技巧で聴かせるのでなく真摯で真面目な演奏に感動する。

10:44  9:01  16:01   計 35:46
演奏  A   録音 91点

ブリテン ヴァイオリン協奏曲 ヘンデル(77)

2013.03.26 (Tue)
ブリテンvnヘンデル
ヘンデル/ベルグルンド/ボーンマス交響楽団(77、EMI)は気力充実。
ソロ・オケともに極めて集中力が高い。小細工なしの真剣勝負。感動的だ。

録音はサザンプトンのギルドホールで明瞭かつ奥行き良好。
ヴァイオリンを中心にオケの弦も力感あり。
EMIもボーンマス響の録音がよいのはホールも影響している。

第1楽章のヴァイオリンは伸びやかで力強い。
ヘンデルという人はか細くなく図太さを持つ。
ベルグルンドの指揮も速めのテンポでキレがある。

第2楽章も気迫あふれる。オケが素晴らしく反応している。
ソロも間然とすることない。曖昧さがない。
カデンツァも逞しく正々堂々。
ヴァイオリニストは女性の方が男性的なことがある、典型。

終楽章の前半は北海の風が吹く。オケの呼吸が深い。
ソロは次々に難パッセージを渡るが不安なところが全くない。
赤裸々過ぎるかもしれない。
ボーンマスのトロンボーンが重厚に鳴り響いた後感動の結末に向かう。
ヘンデルのヴァイオリンは最後の最後まで意識をしっかり持って徹底して歌う。
ヴァイオリンは最終稿によっているが、ヘンデルは初演者でこの曲の成立に
かかわったヴァイオリニスト、ブローザの版も参考にしているとのこと。
この曲のかける意気込みがうかがえる。

8:35  8:26  14:04   計 31:05
演奏  A+   録音 90点

ブリテン ヴァイオリン協奏曲 オロフ(48)

2013.03.25 (Mon)
ブリテンvnバルビロリ
オロフ/バルビローリ/ハレ管弦楽団(48、EMI)は初演者による共感の演奏。
バルビローリはこの曲の完成(1939)の翌年のニューヨークフィルでスペインの
ヴァイオリニストで作曲者の友人、アントニオ・ブローザを伴い初演した。
この録音は初演版による演奏なので現行版とやや異なる。
録音は古いがバルビローリらしいなかなか熱い演奏になっている。

録音はマンチェスターのホウルドスォースホールでのセッション。
SP復刻のスクラッチ・ザラザラノイズはあるが、ヴァイオリンは明瞭に
捉えられている。オケはフォーカスが甘い。

第1楽章冒頭から時代を感じる甘いヴァイオリン。
多用されるヴィヴラートと随所にみられるポルタメント。
バルビローリもこの曲を慈しむように優しく歌う。

第2楽章も素朴な迫力。後半のカデンツァでオロフは頑張る。
カデンツァ途中でシンバルの強打が入ったり、現行版にないビックリもある。

第3楽章はバルビローリが粘りのある重い音楽を展開している。
ヴァイオリンの表情も訴えが強い。
モノラルの古い録音が情念をさらに浮き彫りにする。
終結部のヴァイオリンは美しい。

録音が貧しいので敢えてこの盤に手を出す必要はないだろうが、
演奏自体はヤンセン/ヤルヴィがお手本としたのではないかと思う。

9:14   9:15  12:43   計 31:12
演奏  参A   録音 70点
 | HOME |  Next »