クラシックCD聴き比べ ~ Classic CD Memos ~

演奏者への敬意を込めて、つたないメモを書いています。

プロコフィエフ の記事一覧

プロコフィエフ 交響曲第4番 コシュラー(81)

2014.06.08 (Sun)
プロココシュラー234
コシュラー/チェコフィル(81、Supraphon)は丁寧にこの曲を分解してくれる。
無用な私物は持ち込まず、この曲の素材を生かしきる。
この曲は作品番号47→112が示すように第6交響曲の後に改訂されており、
この録音も改訂版。プロコフィエフの交響曲の中では目立たない存在だが、
作曲者自身が愛したようにこの曲に私も愛着がある。
皮肉っぽくもなく甘たるいこともない。
「放蕩息子」からとったわかりやすいメロディを用いほのかな感傷性を見せるところがいい。
おセンチがいい加減なのだ。
この曲はオーマンディのLPで親しんだが、変な演奏になかなか出会わない。
曲がいいのだ。

録音は芸術家の家でのセッション。余裕のある空間の音響がこの曲に合う。
ヌケがよく低域も十分。録音自体は30年前だが音響条件が良いので
遜色なく楽しめる。

第1楽章はゆったりしたアンダンテは量感たっぷり。
続くアレグロは運動性とメリハリと抒情性を交互に示す。
テンポの加減は恣意性が少なく自然。良い録音でプロコフィエフの少し無機的な
表情を持つ管弦楽法を存分に味わうことができる。
大規模工場に紛れ込んだかのような音響。

第2楽章もアクセントはつけてしっかり歩むが表情は誇張ない。
ただ、パーカッションがしっかり叩かれるので音楽が引き締まる。

第3楽章は遅めなテンポで諧謔性ある主題を丁寧に分解して見せてくれる。
最後はキュンとくる。

終楽章も誇張なく感情移入もなく立派な音響芸術を作り上げる。
全てのパーツが聞きとれるが、特に打楽器の表情が際立つ。
終結は興奮を煽ることはしないが巨大な音塊が迫る。

14:06  9:48  6:21  9:37   計 39:52
演奏  A+    録音 92点

プロコフィエフ 交響曲第7番 キタエンコ(05)

2014.05.28 (Wed)
プロコ全集キタエンコ
キタエンコ/ケルン・ギュルツェニヒ管弦楽団(05、PHOENIX)は青くも老いてもいない。
大人の「青春」。どこまでも丁寧でバランスと見通しがよいがほんのりと苦い。

録音はケルン、フィルハーモニーでのライブの全集のはず。
しかし客席ノイズはなくゲネプロ録音なのか。空間の広がりが爽やか。
一定の距離感はあるが鮮明。Dレンジに全くフロア・キャップがない。

第1楽章は厳かな感じ。丁寧な音楽運びで緩急はあまりなくゆったり。
しかし録音がよいため立体的な音響を楽しむ。
終結部で第1主題が回帰するところでは一層の抑制を効かせ、何かを堪えているよう。

第2楽章は9分かける。スピード感はないが初々しい感じはある。
遅いテンポの中にキュンとする情感が漂う。音楽をデリケートに扱い好感。

第3楽章も同じようにとても繊細。中間部のリズミックな部分は誠にチャーミング。

終楽章は勢いがある。といっても決して粗くはない。
そして終結に近くなるにつれて憂愁の色を強め名残惜しそうに静かに終わる。
金管も吼えず、最後のピチカートも一呼吸おいて鳴る。
やはり、この曲にはしみじみ終結の方が合う、と思わずにいられない演奏。

9:50  9:01  5:57  8:37   計 33:25
演奏  A+   録音 94点

プロコフィエフ 交響曲第7番 ロストロポーヴィッチ(86)

2014.05.22 (Thu)
プロコ57ロストロ
ロストロポーヴィッチ/フランス国立管弦楽団(86、ERATO)は
指揮者がひたすら共感している。慈しんでいる。
抒情性豊かだが、フランスのオケの軽さや洒落っ気もプラス。
最後はしみじみピチカートで終わるのもいい。

録音はパリの国営放送グランド・オーディトリウム。
低域は多くないが、この曲に相応しい新鮮でひんやりとした音響。

第1楽章は慈しむようになつかしむように奏される。
情感がこもっているが節度はある。

第2楽章もロマンティックに歌う。時にしゃくりあげ、微妙に恥じらいためらう。
可愛らしい音楽。

第3楽章も優しく丁寧。メロディの扱いがそっと大事な時を回想するかのよう。
ロシア風の雰囲気がでて懐かしい。ハープやピアノの音がいじらしく効果的。

終楽章はウキウキ始まる。プロコフィエフの「冬のかがり火」のように
これからどこかに出発する嬉しさが溢れている。
しかし、その曲とこの曲の違いは今を生きる青春と過ぎ去った青春の差。
次第に錯綜する動機が混じりほろ苦さも。そして過去の回想。
キュンとなる瞬間。
最後は静かに閉じられなんとも言えない余韻が残る。素晴らしいノスタルジー。

9:36  7:45  6:26  9:24   計 33:11
演奏  A+   録音 92点

プロコフィエフ 交響曲第7番 ウェラー(74)

2014.05.20 (Tue)
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ウェラー/ロンドン交響楽団(74、DECCA)は軟弱に堕さない。
「青春」という副題に惑わされない。メリハリあるしっかりした音楽でプロコの最後の
交響曲を手を抜いた作品として扱っていない。終楽章終結はしみじみ系でなく爆発系を採用。
この路線の演奏ならそれもありかと思わせる。

録音はキングスウェイホールでのセッション。
ウェラーのプロコ全集はこの曲で開始し78年の第2番で終わるが、
録音場所は全て同じで音の傾向は近似。ただし、僅かだが後年のほうが音に
余裕がある。また、音に柔らかさがある。
この曲はLSOだがLPOの曲もありその違いはあるかも。
とはいえ、流石にDECCAで当時の水準は十分に上回っている。
また、大太鼓も近接でしっかり。

第1楽章全体に重量感と現実味。夢幻の世界に広がるよりはしっかりしたタッチ。
テンポは遅くのっしり。各パーツの音は明瞭に聞きとれる。
淡い青春の苦みより、粘着質を感じるのがウェラーとしては意外。
ロジェストヴェンスキーの方が甘酸っぱい。

第2楽章もある意味彫が深い。優しいだけのワルツではない。
テンポの急加速などあり積極的。パーカッションも時に強打。

第3楽章は普通。

終楽章は元気に始まる。ズンズン前のめり。ここでも緩急は思いっきりつけ
速い部分はオケがギリギリ。第1楽章の主題回想もしんみりせずはっきりものを言う。
終結のフォルテと大太鼓のパンチは強固。
個人的にはこの曲に「青春」の回顧を求めてしまうのでちょっと立派過ぎ。

10:12  7:41  6:49  8:43   計 33:25
演奏  A-   録音 89点

プロコフィエフ ロメオとジュリエット(組曲全曲) P・ヤルヴィ(03)

2014.04.30 (Wed)
ロメオPヤルヴィ
P・ヤルヴィ/シンシナティ交響楽団(03、Telarc)はパーヴォの世界。
ぼんやり聴いているとさっぱり。注意して聴くと念入り。
この盤は珍しく第1から第3までの組曲をそのまま収録。よってストーリーとは整合しない。
スクロヴァチェフスキー盤と同じ構成だが意外なことに全般的にパーヴォの方が速い。
基本的に表情は淡白である。ゆっくりロマンティックに行きたい抒情的な場面の
テンポもさほど落ちない。多彩を極めるオーケストラ楽曲を高精度に再現する演奏方針。
組曲完全版を選択した時点でバレエとは切り離したのだ。
素晴らしく整った演奏と感心するが、面白いかといわれるとどうか?
この曲ではもう少しロマンや効果を狙ってもいいのではないか。

録音はオハイオ、シンシナティのミュージックホールでのセッション。
全般的にフラットで自然な録音。マルチマイクを意識させずマスでもオンでもない中間。
ホールトーンは多くない。低域の取り込みもほどほど。
指揮者の方向性もあるが、完全に溶けあうのでなく重層的。

第1組曲「フォークダンス」を聴くとパーヴォらしいコントロールされた誇張のない
表現で軽やかな音楽が再現される。演奏方針が分かる。
「マドリガル」に示される丁寧な弦の扱いと木管の綺麗な響きはヤルヴィの意志を感じる。
「ロメオとジュリエット」(バルコニー)などは室内の様な精緻な響き。
低弦などぐっと押し出すかと思うとそうせず、普段は隠れがちなヴァイオリンと
バランスをとって鳴らす。金管を浮き立たせることもしない。抑制の効いた美。
そして終結の弱音部分を思いきり伸ばしていく。
ピアニッシモで勝負をかけるのはパーヴォの常套。
「タイボルトの死」はにくいほど洗練された音。
うーん、ここには血の匂いや決闘のドロドロがない。

第2組曲「モンタギュー家とキャピュレット家」も完璧な管理下。
「騎士たちの踊り」の中間部でもポルタメントなどかけずにさらりと行きくどくない。
深刻な音楽のあとのお茶目な「少女ジュリエット」は軽やかで優美。
こうした曲想に応じた描き分けは素晴らしい。
「僧ローレンス」など楽器の重ね方が絶妙。
「二人の別れ」「ジュリエットの墓の前のロメオ」も物語に拘泥せず、
悲劇を強調しない立派な音楽。ここら辺が評価の分かれ目。

第3組曲に入ると「噴水の前のロメオ」だが、第1幕でロメオが生き生きと
登場する場面なので、「墓の前のロメオ」から続けて聴くと極めて違和感のある展開。
まあ、この第3組曲は前の組曲と時期を隔てて編集されたものなので仕方がない。
「ジュリエット」は第1幕と第3幕の音楽を結合している不思議な音楽。情感は細やか。
「朝の歌」は透き通る様な面白い音楽。
「ジュリエットの死」はパーヴォのリリシズム。

しかし、聴き終って組曲全曲盤は第3組曲がなんかつけたしのようでなじめない。
どうせ70分以上収録するなら全曲抜粋か、並び替えでやってほしかった。

組曲1・2・3全曲
計  74:57
演奏 A   録音 92点
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