クラシックCD聴き比べ ~ Classic CD Memos ~

演奏者への敬意を込めて、つたないメモを書いています。

ヴィヴァルディ の記事一覧

ヴィヴァルディ 弦楽のための協奏曲  モード・アンティコ(99)

2015.10.28 (Wed)
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サルデッリ/モード・アンティコ(99、TACTUS)はガット弦の独自の世界。
がさっとした音と、アーチ型の持続音。洗練を狙わず古の音を追求。
弦の掠れ感と低弦の厚みでピノックなどとは真逆の音。

1984年にヴェネチアで、指揮者サルデッリにより設立されたこの楽団。
ヴィヴァルディに傾注している古楽器集団だ。
(↓後列左から3人目のヒゲがサルデッリ)
ModoAntiquo07_10.jpg

収録曲は弦楽のための協奏曲で
RV114、157、133、119、136、154、160、127、164、121、150、159
と良い曲が集められている。
多くない短調の曲(157、133、119、154、127)を集めているのも珍しい。

ヴィヴァルディのこの分野での短調の曲は皆名曲ぞろいだ。
モーツァルトがよく「疾走する悲しみ」と評されることがあるが、
私はヴィヴァルディのこれらの曲にこそ当てはまる気がする。

大好きな名曲RV157など
第1楽章は項垂れあきらめの下降音型が繰り返される打ちひしがれ、
第2楽章で落ち着きを取り戻し、
第3楽章でまさに涙を流しながら疾走する。
短く切られる音は素朴でもあり、哀愁ある決意を感じさせもする。
終盤で大見得を切ったりするなど情熱的な演奏だ。

12曲の最後は名曲RV159だ。
色んな事があったが、愉しかったね、といっているような演奏。

録音はイタリア・ヴェニス?でのセッション。
音場はさほど広くなく響きも短め。先述の通り、低域成分を多く取り入れ、
太めのおとを基軸とする。帯域は欲張っていない。

57:45
演奏   A    録音 90点

ヴィヴァルディ 弦楽による協奏曲集 イ・ムジチ(92)

2015.10.27 (Tue)
弦楽協奏曲イムジチ
イ・ムジチ(92、PHILIPS)は温もりがあり明るい。
聞き流すとワンパターンだが、安心感の極致。

収録曲は
1 協奏曲変ロ長調 RV163「コンカ」
2 同ヘ長調 RV136
3 同ハ短調 RV118
4 同ニ長調 RV123
5 同イ長調 RV160
6 同ニ短調 RV128
7 同イ長調 RV159
8 歌劇「ダリオの戴冠」 RV719〜シンフォニア ハ長調
9 協奏曲ヘ短調 RV143
10 同ハ長調 RV117

どこにも癖がなくとにかくヴィヴァルディの愉悦に浸らせてくれる。
コンマスはシルヴ。私はこの時代の音が好き。
能天気ではなく、ぬくもりの中に陰影がある。品がある。
曲ごとの個性はそれほど浮きたたせない。
短調の曲でも悲しさを強調しない。
チェンバロやオルガンも彩りを添えるが出しゃばらない。
故にBGM的に流しても全くひっかからない。
そこのがこの演奏の、というかイ・ムジチの特徴。

私の好きなRV159もじつに健康的で伸びやか。
第3楽章の語りあいもにこにこ美しい歌がある。

録音はスイスのラ・ショー・デ・フォンのムジク・ザールでのセッション。
シルキートーンが実に心地よい。響きは優雅でリッチ。
王族にでもなったような豊かな気分になる。 
ショーデフォン音楽堂

55:35
演奏  A   録音 94点  

ヴィヴァルディ 協奏曲集 ピノック(86)

2015.10.26 (Mon)
XATW-00108070.jpg (→5枚組)ピノック5disc
ピノック/イングリッシュ・コンソート(86、ARCHIV)は、
”古楽器の透明な音色による躍動感あふれる、ピノックのヴィヴァルディ”
という発売元のキャッチコピーに偽りはない。
ピリオド楽器を武器に先鋭な切り込みを見せるチームもあるが、
ピノックはそうはならない。いかにも英国的というイメージ。
節度を持って、音は軽量で綾が透けて見える。音は耳をくすぐる。

収録曲は
1. 弦楽と通奏低音のための協奏曲 イ長調 RV.159
2. ヴァイオリン協奏曲ホ長調「恋人」RV.271 
3. ファゴット協奏曲 ホ短調 RV.484 
4. フルート協奏曲 ト長調 RV.436 
5. ヴィオラ・ダモーレとリュートのための協奏曲 ニ短調 RV.540 
6. オーボエとファゴットのための協奏曲 ト長調 RV.545 

弦楽のための協奏曲だけではいかにも単調になるので
色んな独奏楽器をフューチャーした協奏曲集。

冒頭の曲RV159に関しては作家宮城谷昌光氏の名文があるので引用したい。
「なんといってもこの曲は第3楽章がすばらしい。
二つのヴァイオリンがささやきあい、語り合い、時に歌いあうのを、
時々チェロが相槌をうち、たしなめ、微笑むというもので、
貧しくない市民の家庭をふとのぞいたような小さなおどろきとなぐさめがある。」
「人がむつまじく生きていけることへの、神への感謝の心があるのではないか」
そうした小さな幸福感を一番感じさせてくれるのがまさにこの演奏だ。
第1楽章冒頭の純な弦の音を聴くと真面目にやることの大事さを感じる。

他の曲も愛らしく素晴らしい。センスが良い。

録音はロンドン・セント・ジョーンズ・スミス・スクエアでのセッション。
St. Johns, Smith Square
建築家トマス・アーチャーによってデザインされ1728年に教会として建てられ
イギリスのバロック建築のマスター・ピースとわれるところ。
教会らしく響きが美しく拡がる。
この程度の小編成の録音では絶妙な雰囲気を醸し出す。
このコンビは、アビーロードスタジオでも同年にヴィヴァルディを録音しているが
微妙な陰影・雰囲気はこちらに軍配が上がる。

56:58
演奏  A+    録音 94点

ヴィヴァルディ 四季 カルミニョーラ(92)

2013.05.20 (Mon)
四季カルミニョーラ&ソナトリ・デ・ラ・ジョイオーサ・マルカ
カルミニョーラ(Vn)/ソナトーリ・デ・ラ・ジョイオーサ・マルカ(92、Divox)は
やはりカルミニューラだ。このバロックヴァイオリンのソロの卓越美は、
有名大御所ヴァイオリニストとは全く違った存在意義を見せる。
これほど爽快で伸びやかなヴァイオリンはなかなか聴けない。
また、7人のソナトーリのテクニックも素晴らしく力強い。
楽譜からはみ出した装飾音に頼るのではなく、忠実なのに多彩でとても面白い。疾
風怒濤なのだが奥行きがある。
私の好きなアレッサンドリーニほか後年の演奏に大きな影響を与えたものと思う。

録音はイタリアのトレヴィーソ聖ヴィリジオ教会で広すぎない音場で
小さな編成の音楽が爽やかに捉えられている。
ソロとその他のバランスも良い。

春が始まるとソロの軽々とした演奏に引き込まれる。まさに自在の表現力。
速めのテンポを基調とするが、突如ぐっと溜める。
その緩急は見事で人工的ないやらしさを感じない。

夏になって同じだ。圧巻の終楽章のプレストは猛烈に速いがビートが
効いてその中に千変万化させるなど凄い技術と表現力を見せ付ける。

秋の表現も多彩だが表現自体は自然でいじくり倒しておるわけではない。

冬の冒頭は芝居っけたっぷりにもできるが彼らは直截的だ。
冬の木枯らしを舞うソロの描写はスカッとする。
第2楽章も軽く跳ぶ。
終楽章は締めに相応しく速めのテンポながら自在な音楽で
この「四季」を締めくくる充実した音楽。

9:21  9:46  10:25  7:54   計 37:26
演奏  A+   録音 94点

ヴィヴァルディ 四季 バーンスタイン(64)

2013.04.29 (Mon)
バーンスタイン四季
コリリアーノ(vn)/バーンスタイン/ニューヨークフィル(64、SONY)は
元気がいい。ジャジーなノリを感じる独特の演奏。
リズムが弾んで愉しんでいるな、という雰囲気が伝わる。
指揮とチェンバロをバーンスタインが担当していて、弾き振りが目に浮かぶ。

ソロのコリリアーニは有名な現代作曲家(同姓同名)の父親で
ニューヨークフィルのコンマスを23年間務めた。
カンテッリのもとでもこの曲を録音している。
コンマスらしい明快なソロ。

録音はマンハッタンセンターで広い音場に新鮮な音。

春はこの演奏を象徴する。いきなり威勢のいい飛び出し。
音楽が嬉々としている。大編成ではあるがもっさりした感じがないのは
テンポの速さと表情のイキイキさによる。
第2楽章のソロはヴィヴラートがかかり時代を感じさせる音色。
第3楽章ではバーンスタインのハープシコードが協奏曲のように
目立つのがご愛嬌。楽しそう。
実はこの春だけは63年の5月に録音されており、
後続の曲よりも元気がいいのは気分が乗っていたからか。

夏の第1楽章のテンポは一転して遅め。緩急の差が大きく
独自の濃厚で劇的な表現。誠にこのころのバーンスタインらしい。
急速なテンポでは弦楽群が乱れるが構わない。

秋の喜びの秋だ。アクセントが立ちソロもとんがっている。
第2楽章でぐっと沈んだ後終楽章ではまたもや元気なアクセントと
自在なチェンバロ。

冬は相変わらず雑だがハリがある。

ヴィヴァルディの四季というのはいつごろから世界的ブームになったのか
はよく分からない。現代大編成オケでこの曲に取り組むというのは
バーンスタインがかなり早い方だと思う(60年にオーマンディ録音)。
それゆえに、意欲的である。カラヤンの四季とはまるで違う世界。
なお、バーンスタインはヴィヴァルディを1958年にすでに
ニューヨークフィルの首席たちと協奏曲集を録音している。

9:23  11:18  11:35  8:20   計 40:36
演奏 愉   録音 87点
 
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