クラシックCD聴き比べ ~ Classic CD Memos ~

クラシック音楽のCDを中心に演奏者への敬意を込めて、つたないメモを書いています。

ヒンデミット の記事一覧

ヒンデミット 画家マティス ブロムシュテット(87)

2014.04.24 (Thu)
画家ブロム
ブロムシュテット/サンフランシスコ交響楽団(87、DECCA)は清冽新古典主義。
ヒンデミットが革新の後ネオロマンではなく新古典に行きついた経緯を反映する。
よって無駄な情感は籠められない。合奏の妙を浮き立たせることで音楽自体の魅力を提示。
素材はオペラからとられたが、この曲は純器楽曲。

録音はデイヴィスシンフォニーホールで大変爽やかな音。
低域成分が多くないので中高域で聴かせる感じ。

第1楽章の天使の合奏は震えるように始まるが、ダレないテンポで進むので女々しくない。
室内楽的ともいえる精妙なムード。
大袈裟にならず、スケール感は大きくなく、小さな幸せ感で終わる。

第2楽章も爽やかな木管が美しい。

第3楽章もこのオケを絶妙なバランスで操りパーツの綾で聴かせる。
弦の瑞々しい音。金管の輝き。全てがよい意味でコントロールされている。
この演奏方針のもとで完成度がやたらに高い。これでいいのだろう。

8:19  4:43  13:47   計 26:49
演奏   A    録音 92点

ヒンデミット ウェーバーの主題による交響的変容 デッカー(94)

2013.06.01 (Sat)
ヒンデミットデッカー
デッカー/ニュージーランド交響楽団(94、NAXOS)は豪快な名盤。
20種くらいある保有盤のなかでも個人的に最も好き。
硬派でパンチがあり、結果的にユーモラス。

指揮者フランツ=パウル・デッカーはドイツはケルン出身で1923年生まれ。
録音時71歳とは思えない活力だ。
ひょっとして耳が遠くなっていた?と思うくらいのド迫力。
FPDecker.jpg

録音はニュージーランドのロウアー・フット・タウンホールで
明快で大変太く力のある音。音場感も適切。

第1楽章はしっかりアクセントが付いたドイツ型演奏。
武骨なまでの力が地下に横溢する。それぞれの楽器も明確な意識で吹く。
最後のシンタ調、グッド!パーカッションが凄い。

第2楽章は緊張感がある。とにかく打楽器群が入ってくると音楽が炸裂する。
でも、ほかの楽器群も一生懸命。それが滑稽でもありこの曲の諧謔性を巧まず表出。

第3楽章の木管など決して上手いと言えないが一生懸命さがいい。

終楽章は白眉だ。速めのテンポで勇ましい。
リズムは少し前のめりで緊迫感がある。弦の切り方が潔い。
ブラス群もなんだか乗ってる。そうこうしてると
2:13
突如としてティンパニのめちゃくちゃ硬い殴り込み。
ワッ!!痛い!びっくり!
そして3:30から終結にかけてはお祭り騒ぎ。
最後の一撃に風圧を感じる。

最初はエンリケ・バティス的ラテンの指揮者かと思ったがそうではない。
リズムはしっかり、音は凝縮、ドイツ系正統爆演。

4:21  8:09  3:41  4:18   計 20:29
演奏  硬S  録音  93点

ヒンデミット ウェーバーの主題による交響的変容 サロネン(99)

2013.05.31 (Fri)
ヒンデミットサロネン
サロネン/ロスアンジェルスフィル(99、SONY)は明るい整然。
カラッとした西海岸の音がする。
指揮ぶりは知性のコントロールが効いているが、オケが元気。

録音は、LAのドロシーチャンドラーパビリオンで音場は広くないが
奥行き感は取れた録音。低域は多くない。弱音は綺麗。

第1楽章はしっかりした足取りで音の洪水。
ただ、よく聴くと整然としている。音に勢いはあるが混濁はない。

第2楽章のトゥーランドット変奏では色彩豊かに
しかし羽目を外さないセーブを効かせながら積み重なる。

第3楽章は感情移入をせずにさらりと仕上がる。
木管ソロもほどほどの歌。

終楽章の行進もいかつくなく洒落者の風情。
肩に力が入らずいなせな雰囲気。
それでも最後は明るく元気に終わる。
知性派サロネンらしい演奏だ。

4:19  7:44  3:40  4:38  計 20:21
演奏  A   録音 91点

ヒンデミット 画家マティス サヴァリッシュ(94)

2013.04.23 (Tue)
サヴァリッシュヒンデミット
サヴァリッシュ/フィラデルフィア管弦楽団(94、EMI)は素晴らしい。
地味な印象のサヴァリッシュだが私はフィラデルフィア時代が好き。
職人芸的巧さの上にここぞっという時に感情を乗せる。
常にではない、ここぞという時に、だ。
つんとした感触なのに、時折グイッとくる。

録音はフィラデルフィアのフェアモントパーク・メモリアルホールで
美しい響きで抜けもいい。低域の量感はそこそこだが、
広がりと輝かしさを兼ねた録音。

第1楽章「天使の合奏」の冒頭はセンスのいい感情をこめて開始。
その後も丁寧に、すっとしながらも単調を回避。
オケが伸びやかで金管が輝かしい。木管も綺麗。
フィラの弦もキンキンすることなく良好。

第2楽章「埋葬」も情感が細かい。オケの扱いが流石。奥行き感あり。

第3楽章「聖アントニウスの誘惑」はサヴァリッシュを見直すかもしれない。
冒頭から感情が噴き出すのを堪えに堪え1:45から表面に浮上する。
しかし決して音が濁らない。弦は艶やかに歌われる。
終結に向かいこのオケの整然とした合奏能力がクールな迫力。
全然無理していない。余裕を持って錯綜を愉しむ。

9:09  4:19  13:33  計 27:01
演奏  A+   録音 92点
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