クラシックCD聴き比べ ~ Classic CD Memos ~

クラシック音楽のCDを中心に演奏者への敬意を込めて、つたないメモを書いています。

Haydn Sym102 の記事一覧

ハイドン 交響曲第102番 ワーズワース(89)

2016.01.18 (Mon)
ワーズワース102
ワーズワース/カペラ・イストロポリターナ(89、NAXOS)は軽やか優美。

ナクソスはガロワ、マロン、ドラホシュ、ワーズワース、ミュラー=ブリュールという
指揮者とそれぞれのオケを使って34枚のハイドン交響曲全集を作った。
当初より全集の意図があったのかは分からない。

この盤の指揮者はイギリスのバレエ音楽を得意とする自己主張をしない人。
オケはスロヴァキアフィルの抜粋メンバー。
そしてなぜか交響曲45番「告別」、48番「マリア・テレジア」との組み合わせ。

だからというわけではないが、演奏様式が後期の堂々とした雰囲気ではなく
小編成で透明感ある音楽が流れてくる。テンポは落ち着いている。
ピリオド楽器の演奏様式は持ちこまれず、あくまで柔らかく優しい音楽が流れる。
第2楽章などシルキータッチの音がそよ風のようだ。
終楽章は5分かけるが、軽く浮遊しているので重い感じはない。
爽やかで気持ちの良い演奏。これはこれでよし。

録音はスロヴァキア首都ブラスティラバのモイゼスホール。
ドナウ川に面した美しい宮殿のようなホール。内奏同様、響きも美しくうっとり。
モイゼスホール
moyzesova_sien-thumb.jpg
ナクソス侮れず。
この会場の写真を見ながら聴いていると昔の皇族になったかのような気分。

8:50  5:39  6:34  5:01   計 26:04
演奏  優A     録音 93点

ハイドン 交響曲第102番 カラヤン(82)

2016.01.17 (Sun)
カラヤン102
カラヤン/ベルリンフィル(82,DG)はゆったりゴージャス。
私がハイドンの交響曲の素晴らしさに本当に気づいたのは
古楽器の活き活き演奏が出てきてから。カラヤンは退屈だった。

ただ、ハイドンに開眼してから再度カラヤンの演奏を聴くと
この演奏の特色が分かってきた。
大きな響きの中で時折浮かぶ木管のキラキラ感や
分厚い弦の流れを愉しむことができるようになった。
但し、ハイドンのユーモアや活力を感じるかというとやはり疑問。
どの曲を聴いても同じように聴こえる。

テンポは安定的でベルリンの弦楽合奏が中心。
ティンパニのアクセントは弱くスリル感もない。
豪華な応接のふかふかのソファに身を沈め、
教養としての音楽を聴いている気分。
それはそれで豊かな気持ちにさせてくれる。
肝心の終楽章などあまりに安定的で残念。

録音はベルリン・フィルハーモニーでのデジタルセッション。
ゆったりとした響きで分解能よりもマス・オケをどっぷり捉えた音。
弦の密やかなパセージなどは響きを伴い美しいが、
太鼓を伴うトゥッティではダンゴ的印象。
近時のスッキリ型ハイドンとは違う録音。
ティンパニが不明瞭なのもユルフンに加担。

9:11  6:06  6:51  4:56   計  27:04
演奏  A-    録音 90点

ハイドン 交響曲第102番 ワルター(53)

2016.01.13 (Wed)
walter10288100.jpg
ワルター/ニューヨークフィル(53、SONY)は厳しい大音楽。
今では聴かれなくなったタイプの演奏。ベートーヴェンの交響曲の過程としてのハイドン像。

本格的にベートーヴェンとは全く違うハイドンの軽やかな愉悦を味わうには
やはり80年代のピリオド旋風を待たなければならないのかもしれない。

ではこの演奏がつまらないものなのか、というとそうでもない。
ガチっとした骨格が独自の魅力を持つ。

第1楽章の冒頭ラルゴは歌いまくる。今はこんな演奏しない。
ヴィヴァーチェは勢いが良い。リピート省略もあり短いが、オケ自体のアタックも強烈。
ワルターのコロンビア響とのステレオ録音は引退した指揮者を引っ張り出してきたため、
老齢感があるが、実はこの人はある意味激情タイプでもありいざとなると
首を締めあげるような演奏をすることもある(exNYとのブラームスの第2番のラスト)。
ここでもその片鱗を見せる。

第2楽章は遅いテンポで大オーケストラを高揚させる。緊張感がある。

第3楽章のメヌエットのアクセントも実に強固。ハイドンにしてはやりすぎだろう。

終楽章も昔の大オーケストラの怒涛の展開。
ただし、速いテンポで引き締まった音のキレ味は良い。

録音はNYの30番街スタジオでのモノラル・セッション。
スタジオというがマンハッタンの元長老派教会をコロムビアレコードが改造して
レコーディング会場にしたもの。
30th-St-Church-Bldg.jpg (昔の姿⇒)30th-St-Church-Bldg2.jpg
モノラルではデットに聴こえるが良く聴くといい響きはある。
ただしステレオでないので空間の響きがうまく捉えられていないのはやむなし。
ColumbiaStudios.jpg
なお、当方保有盤はソニーのスーパービットマッッピングでのリマスター盤なので
相当ハイ上がり。鮮明ではあるが、高域強調型の弦が印象を厳しいものにしている。
音質調整すれば聴きやすくなる。元の録音は当時の水準で悪くない。

7:00  6:52  5:30  4:18   計 23:40
演奏   A    録音  77点

ハイドン 交響曲第102番 A・フィッシャー(88)

2016.01.12 (Tue)
HaydnMP3.jpg(←ニンバス ブリリアント→)アダムフィッシャー全集
A・フィッシャー/オーストリア・ハンガリー・ハイドン管弦楽団(88、Nimbus)は端正さの中に息づく。
ドラティの全集に続き、初デジタルでハイドンの交響曲全集を完成させたのが
このアダム・フィッシャー盤。
1987年から2001年と14年かけて収録させているので、演奏スタイルにも変化を感じる。
(指揮者の容貌もかなり変わった。プロジェクトスタート前後の指揮者の写真が
ブリリアントの全集のブックレットに掲載されている。)
14-Adam-Fischer.jpg  ⇒ fischer.jpg
この間に古楽器団体の演奏の台頭がありその影響を受けているのか
後半の収録ではきびきび感が増し好ましくなる。
従って最初の頃に録音された後期の交響曲だけで評価してはいけないだろう。

この102番は全集スタート2年目に収録されているので初期のものだ。
ジャケットには従来96番につけられていた「Miracle」という愛称が表記されている。
これはニンバス盤の時から記載されている。
シャンデリアが落下したのは96番ではなく102番だったという史実の修正に基づく
配慮だろうが、曲の内容と無縁なこの標題は省略してもいいように思うのだが・・・。

演奏は豊かな響きを伴った優雅な世界が拡がる。
50人程度の編成のため重くはない。ただ、少しもっさり感があるのは
この全集の初期録音に共通する。全曲26分かかるのは今となっては遅い方。
バーンスタインも26分かけるが、これは楽章による極端なテンポ変動があるためだが、
この盤は平均してたおやか。
従って第2楽章のアダージョなど非常に美しい。
第3楽章はもっとリズムが弾んでもいいように感じる。
しかし、終楽章になると溌剌としている。スコアにないクレシェンドを巧みに
持ちこみ推進力を出す。
最後は爽快感がある。

録音はオーストリア・エイゼンシュタットのエステルハージ宮殿の中の
ハイドンザールでのセッション。ここは誠に美麗で響きも綺麗な長方形のホール。
HaydnZaal.jpg
但し、観客が入っていない時は響きが多くなるのでその処理がテーマになる。
ニンバスのこの録音は残響をそのまま入れた形で収録しているので
楽器が少なくゆっくりした緩徐楽章では無類の美しさなのだが、
速い楽章になると音が重なる不都合が生じる。
そのためか、演奏の方がテンポを落としているのではないかとも思う場面がある。
好みの問題もあるがここはもう少し吸音してほしかった。
その方がせっかくのニュアンスが生きる。
但し、この全集の終盤に近付くに従って残響問題も修正されている。

なお、私の持っているブリリアントの全集では一番最初に録音された
101番と103番(1987年収録)の音像が奥に引っ込んでいてトンネルの奥で
鳴っているように聞こえる。
102番と101番は同じCDに入っているので続けて聴いていると
102番になって突然音場が明快に広がる。明らかにおかしい。

9:00  6:10  6:49  4:42   計 26:41
演奏   A   録音 90点

ハイドン 交響曲第102番 ファイ(2012)

2016.01.11 (Mon)
fey89102.jpg
ファイ/ハイデルベルグ交響楽団(2012、hanssler)は変幻自在。
ハイドンを活き活きと蘇らせてくれる。

指揮者トーマス・ファイと彼が創設したハイデルベルグ・シンフォニカーは
1999年からハイドンの交響曲全集に挑戦中である。
しかしファイが2014年自宅内での事故(脳損傷)で、再起・再開が危ぶまれている。
2016年新年のこのオケのコンサート予定でもファイの名前はまだない。
feythomas.jpg
ホグウッドもできなかったように、ハイドンの交響曲全集を完成させる
ということは大変なことなのだ。
なお、古楽器群ではダントーネ(2016年完成発売予定)や
アントニーニ(2032年までに完成)が全集を進めている。
無事を祈る気持ちだ。

このコンビで今までに56交響曲22巻を発表した。
いくつかを聴いたが実に溌剌とした素晴らしい演奏だ。
ドラティ、Aフィッシャー、D・R・デイヴィスと3組の全集があるが、
もしファイが完成すれば演奏・録音面で筆頭格の全集になるのは間違いない。
あと、46曲・・・、なんとか頑張ってほしい。

演奏は、金管でピリオド楽器を使う以外は現在の楽器を使っている。
奏法は古楽器奏法を援用。一聴するとピリオド団体の演奏のように聴こえる。
テンポは師匠のアーノンクールと同じ感じ。いつも速いということはない。
しかし、表情の多彩さは今までにないくらい。

第1楽章の主題提示はゆっくりだが反復ではギアチェンジ。
その後も緩急自在。ファイの場合それらが煩わしくならないのがいい。

第2楽章は弦の掛け合い、そしてチェロをはじめとした掠れ感を
伴った弦の音色が何ともいい。

第3楽章メヌエットは面目躍如。躍動感と鮮烈な表情で愉しくなる。
中間部トリオではぐっとテンポを落としセンチメンタルな雰囲気に。

終楽章へはアタッカで入り活き活きウキウキ。軽やかに跳び回る。
対向で弦が左右掛け合うのが強調されており面白い。

録音はハイデルベルク=プファッフェングルント・ゲゼルシャフツハウスでの
セッション。この「文化の家」会場はコンサートホールというより
多目的会議場のように思えるが、響きが素直でこの編成程度の録音には
適している。スッと伸びた透明感ある音が基調だが、
近接するザクザク弦、量感あるティンパニなどもよい。

8:52  5:02  5:08  4:23   計 23:25
演奏   A+    録音  94点
 | HOME |  Next »