クラシックCD聴き比べ ~ Classic CD Memos ~

演奏者への敬意を込めて、つたないメモを書いています。

Nielsen Sym5 の記事一覧

ニールセン 交響曲第5番 オラモ(2013)

2016.02.23 (Tue)
オラモ45
オラモ/ロイヤルストックホルムフィル(2013、BIS)は明晰痛快。
近時でてくる第5番の演奏は皆名演ぞろいで甲乙つけがたい。

第Ⅰ部冒頭からヴィオラをはじめとした弦の重なりが美しい。
1:40から第二バイオリンが右から入ってくるがヴィオラとの間で微妙なズレ感を持ち
ミニマル音楽のような不思議な繰り返しの世界を表出。これは狙っての効果なのだろうか。
そこにスネアが入って掻き乱し始める。
後半の混沌もほどほどに荒れながら、でも一線は越えない秩序の中で音楽が進む。
カデンツ・アド・リブのスネアもリムショットは繰り出すまでのことはしない。
いかにもオラモらしいバランス感。

第Ⅱ部はアクセントはくっきりしながら颯爽と進める。テンポは速めで洗練されている。
フーガも両翼配置での掛け合いが非常に鮮明で面白い。
音楽は停滞なく鎮まる部分でもクールで怜悧。
曖昧なところはなく音圧も強いまま終結になだれ込む。
ここでもテンポは怯むことなく一気に駆ける。
優等生を一歩脱皮したオラモの熱演。
sakari_oramo_royal_stockholm_philharmonic.jpg

録音はストックホルム・コンサートホールでのセッション。
SACDハイブリッド盤で細部とマスの両面で優秀録音。
どこにも無理のない素晴らしい音響。
このシリーズは曲により若干録音のあり方が違うが
この曲では鮮明度が上がり各楽器の位置や音がはっきり。

9:31  8:28  8:28  7:21   計 33:48
演奏   A+    録音 95点

ニールセン 交響曲第5番 ギルバート(2014)

2016.02.22 (Mon)
ギルバート56
ギルバート/ニューヨークフィル(2014、DACAPO)の強い音が好きだ。
これは好みかもしれない。
最近ではオラモやP・ヤルヴィの整った名演があるがこちらは荒れた北海を連想させる。

第Ⅰ部冒頭からニューヨークのザラッとした低重心の弦の威力が捉えられている。
現在のニューヨークフィルの写真を見るとヴァイオリンは女性ばかりだが
チェロやコントラバスには男性が揃っている。
gilbert-1.jpg gilbert-2.jpg

昔バーンスタインとともに来日したこのオケのコントラバス奏者と
握手したことがあるがほんとにでかくてゴッツイ手だった。
全般的に図太く強い音を出すこのオケは流麗感はないが
ニールセンに向いている。
後半のスネアのアドリブ場面も乱れ感で迫力がある。

第Ⅱ部も弦のザクザク感は独特。
フガートなど整然とした感じではなくそれぞれが吼える感じ。
終結は轟音で一途。

録音はエイヴェリー・フィッシャーホールでのライブ。
残響少なく比較的近い位置で聴いているような近接鮮明な音。
遠景だと低域が軽くなるがこれはごつごつ迫り音像も明確。
迫真の力がある。適度な立体感もある。

10:27  9:39  9:11  7:41   計 36:58
演奏  剛S    録音 94点

ニールセン 交響曲第5番 リーパー(92)

2016.02.20 (Sat)
リーパー45
リーパー/アイルランド国立管弦楽団(92、NAXOS)は密かな?愛聴盤。
オケははっきり言って巧くはない。しかし、ここに漂う寂寥感はただものでない。

第Ⅰ部後半のスネア・ドラムのカデンツァ・アド・リブの必死の表情が抜群に素晴らしい。
このドラム奏者の名前を記載しないナクソスはわかってないな。
でも、ここまでスネアに敬意を払って明快に捉えたナクソスは凄い。
スネア
(併録の4番「不滅」=「消し難きもの」のティンパニの録音も壮絶だった)

第Ⅱ部はゆっくりしたテンポでぎこちない。
スコアを見ながら聴いているとスケスケに見える。そこが面白い。
交響曲第6番の諧謔につながる精神を感じさせる。
よくこの曲を戦争に関連付けた解説があるがこの演奏を聴いていると
そのように思えない。もっと人の内奥に潜む葛藤とか不条理を感じさせるのだ。
フガートも全く滑らかでないが独自の味がある。
そして最後のアンダンテからアレグロのフィナーレにかけては
地道に音を積み重ねてあっけなく終わる。
壮大なスケールで感動させるのでなく、あれよあれよと終結。

この曲の普遍的名演とは言えないが、不思議に好きな演奏。

録音はダブリンのナショナル・コンサートホール。
伸びヌケは問題なく空間も感じる。ハッタリのある音ではないが分解よく爽やか。

10:25  9:46  9:47  7:06   計 37:04
演奏    変S     録音 92点

ニールセン 交響曲第5番 ボストック(99)

2016.02.19 (Fri)
ボストック25
ボストック/ロイヤル・リヴァプールフィル(99、Classico)は演奏上の特色はそれほどない。
後述のとおり、再生さえうまくやれば結構いける。スコアを率直に鳴らした演奏。
第Ⅱ部は特に思い入れなく速いテンポでそっけないくらい。

現在は非常に安いセットに含まれる演奏だが、もともとはニールセンの新たな
クリティカル・エディションによる全集ということで注目された。
しかしこの新校訂版の何が今までと違うのかさっぱり分からず、解説にも記載されて
いない為現在ではそうした版の新しさを打ち出した売り方はされていないようである。

録音はリヴァプールのフィリハーモニック・ホールでのセッション。
Liverpool_Philharmonic_Hall.jpg rlpo hall
通常のスピーカーで聴いたらずいぶんこもった音だったので
モニター・ヘッドフォンで聴いた。デットで乾いた音で雰囲気のない録音であるのに
変わりないが鮮明度はでた。量感低域の厚みはないため補正を行った。
最初の冴えない音から見違えってしまったため演奏の印象まで変わった。
クラシコ音源はこうしたことが多々。
当方の再生装置との相性なのだろうか。困ったものだ。

9:44  8:50  8:07  6:28   計 33:09
演奏   A-   録音 89点

ニールセン 交響曲第5番 ヘルビッヒ(65)

2016.02.18 (Thu)
ヘルビッヒ5
ヘルビッヒ/ベルリン交響楽団(65、ETERNA)は恐ろしいまでに劇的。
このCDを見つけた時に違和感を感じた。
独墺系に強い東側の指揮者がなぜニールセンなのか。
あの爽快なハイドンを振る指揮者とニールセンが結び付かなかった。

そして演奏を聴いて驚いた。
本当にヘルビッヒなのだろうか。渦巻く熱いものがありすぎる。
そういえば、この人はアーベントロートの薫陶を受けている。
あのDNAを受け継いだのか。
いや、それを超えている。
のちに東ドイツを嫌って離れてしまうヘルビッヒのいたたまれない体制への
ストレスをこの曲の演奏を通して発散しているような気さえする。
指揮者30代半ばの激演。
Gunther Herbig
第Ⅰ部からして燃える。まだこの段階では表面は荒れ狂うことないのだが
実にロマンティックな起伏を見せる。
この曲はクールかつ乱暴が定石かと思いきやヘルビッヒは全く違うアプローチ。
後半に入っても弦の重厚とも言える歌がうねる。
ここでのスネア・ドラム(ハンス=ヨアヒム・レイプシュ)は最近聴くのと違うリズムを刻む。
オケの拍子と合わせずアドリブ的に叩くというところは守られているから良い。
しかしここでの主役は大きな波打つオケだ。小太鼓はこの波に呑み込まれる。

第Ⅱ部もぶっとい奔流。
フガートは白眉。テンポを落として低重心で進行。
ここからはクラリネット、割れんばかりのブラス群、痛いほど強打のティンパニが
妙技を聴かせる。なんと言う彫りの深さ。
そして巨大な音響が頂点に達した後弦の静謐な歌が始まる。
恐ろしいばかりの対比。次第に切実な響きが増して怒涛の終結に。
ティンパニが強烈な打ち込みに負けず雄渾に突き進む。

録音場所の記載はないが響きからして東ベルリンのキリスト教会での
セッションだと思う。綺麗な響きがあり最新の鮮度こそないものの問題ない。
叩きつけるフォルティッシモでも音が割れないのが嬉しい。

10:22  9:41  9:40  7:36   計  37:19
演奏   S   録音 88点
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