クラシックCD聴き比べ ~ Classic CD Memos ~

クラシック音楽のCDを中心に演奏者への敬意を込めて、つたないメモを書いています。

Nielsen Sym3 の記事一覧

ニールセン 交響曲第3番 N・ヤルヴィ(91)

2015.12.24 (Thu)
Nヤルヴィニールセン全集DG
N・ヤルヴィ/エーテボリ交響楽団(91、DG)は曲が求める豪快さを備えた名演。
バーンスタインの熱狂はないが図太い。曲の相性もあり息子を上回る出来。
パーヴォの全集とネーメの全集を聴き比べて改めて父の素晴らしさを実感した。

第1楽章冒頭からドスの効いた叩きつけ。オケは結構太い音。安定感ある運び。
重要な展開部のワルツは実に繊細。そしてその後の強烈なブラス噴射。
アクセントも明快でこの楽章に合う。

第2楽章も前半は分厚い弦がいい味を出す。
抒情的な線の強いパーヴォだが、この楽章でも父ネーメの押し出しが強い。
ヴォカリーズのバランスも声が飛び出すことなく分厚い弦の雲の中から浮かぶ。

第3楽章冒頭のホルンは音を割らんばかり。この強さはずっと続く。
テンポが速いということはないが圧する雰囲気がある。
金管に負けない弦の強さもあっぱれ。

終楽章は最初じっくり。じりじりヴォルテージを上げる。
太い流れで単調さも構わず突き進む。実に堂々とした音楽。素晴らしい。

録音はエーテボリ・コンセルトフセットでのセッション。
スケール感あるホールでマッシブな力感が上手く捉えられている。
分厚い弦にブラスがしっかり乗っかる。
BISにシベリウスを録音していた頃より、このオケの厚みが増した気がする。

11:57  9:28  6:52  9:27   計 37:44
演奏   A+    録音 93点

ニールセン 交響曲第3番 P・ヤルヴィ(2010)

2015.12.23 (Wed)
P・ヤルヴィ 全集
P・ヤルヴィ/フランクフルト交響楽団(2010、RCA)は弦楽に特色。
父ネーメとトータル時間ばかりか、各楽章のラップタイムがほとんど同じ。
但し、印象は違う。
ブラスを強奏させる男気のある父に対して、
バランス重視で細部のニュアンスにこだわる息子。

第1楽章冒頭の強音はN・ヤルヴィ/エーテボリに比べるとスリム。
巨大な迫力は父に負けるが弦の掛け合いが実によくわかる。
とは言えこの楽章では父のゴッツイ音響が忘れられない。

第2楽章は非常に美しい。空間に浮かぶ管の寂寥感、弦の切々とした歌。
パーヴォの面目躍如。父盤も綺麗なのだが歌がストレート。
バリトンとソプラノのヴォカリーズはまさに広大な空間に拡がる調べ。
弦は控えめに鳴り声は楽器というより人間の声として響く。

第3楽章でも各声部の分離が明瞭。弦楽部の緊迫感は速度変化を伴い効果的。
こうした絶妙な表現を盛り込むのがパーヴォの特色。
一本気で押す父とキャラクターの違いが出る。
再現部のフレーズの表情や間のとり方など実に雄弁。

終楽章は清々しい。同じテーマが繰り返されるこの楽章だが弦の扱いが
実に微にいる。
各フレーズの細部、パートの掛け合い、入念さで単調さを回避している。
色んな発見をしているうちにコーダとなる。終結のティンパニの強連打はいい。

録音はフランクフルト・アルテ・オパー大ホールでのセッション。
昔インバルがこのオケ、この場所でデジタル録音していたマーラーに
比べると鮮明さに格段の差がある。響きは多いが明瞭度は高い。
高域の美しさはあるが、低域成分の量はそれほど強くない。

11:48  9:56  6:25  9:10   計 37:19
演奏  A    録音 93点

ニールセン 交響曲第3番 ベルグルンド(87)

2015.11.18 (Wed)
ベルグルンド36
ベルグルンド/王立デンマーク管弦楽団(87、RCA)はバロック的再現?。
録音のせいもあるのだろうが、細身でスタイリッシュ。
テンポや表情はスッキリ。この曲に込めた情念とかはとりあえず置いて、
スコアを爽快に鳴らす。

第1楽章はすいすい行く。冒頭の強打から繰り出される音響もこだわりがない。
楽器をべったり重ねず室内楽のような見通しの良さ。
バーンスタインの熱い演奏に洗礼を受けた私としてはあまりの流れの良さに
物足りなさも感じたが、そうした頸木(くびき)を取っ払って聴くとこれもありか
と思えてきた。

第2楽章も沈思をしない。声楽も癖がなく楽器の一部となる。

第3楽章は木管は速足で歌う。無表情でない。
これは指揮者がすかすか行くのに対しオケがその中で
精いっぱい作曲家に寄り添おうとしているかのよう。

終楽章は不思議なテンポ感。ふと早くなったり戻ったり。
ひょっとしてベルグルンドはこの曲に共感していないのではないか、
などと思ってしまう。しかし響きは澄み、確かに北欧的。
大きな思いを背負わずに終結。
(↓1984年当時の指揮者 左手に指揮棒を持っている)
ベルグルンド1984

録音はコペンハーゲン、オッド・フェロウ・ホールでのセッション。
ややハイ上がり。特に高弦にきつさもある。
低域は薄いので補強した。透明といえばいえる。
響きは多くないが自然。各楽器の分離は良く良く聴こえる。詰まり感もない。

11:00  8:21  6:19  9:33   計 35:13
演奏  細A    録音 89点

ニールセン 交響曲第3番 ヴァンスカ(02)

2015.08.23 (Sun)
ヴァンスカ34
ヴァンスカ/BBCスコテッシュ交響楽団(02、BIS)はひたすら一途。
ムキになったように走る。この曲の怒りの側面を強調。
しかし、その底辺に隠された複雑な思いは押し殺される。

第1楽章の切れ込みは素晴らしい。保有盤最速で駆ける。
溜めや緩急はなく、とにかく直球をボンボン投げ込む。
よって中間部のワルツの場面も苦渋で顔がゆがんでいる暇はない。

第2楽章も音を延ばさず切り上げていく。北欧の神秘性はあまり感じない。
ティンパニの強いロールが意志的。
男女のヴォーカルの部分は雰囲気が出ていない。

第3楽章冒頭のホルンの強奏は何を意味するのか。
その後も荒々しい。ここでも強い怒りを感じる。

終楽章は音楽がシンプルなだけに直球で行くのか心配だったが、
ここではややじっくりと腰を落ち着けた展開。
ただ、ニールセンにとって重要な木管の囀るような警句が
十分活かされていない。
終結はテンポが遅いままだが何か消化不足。

録音はグラスゴーのシティ・ホールでのセッション。
モニタータイプの再生装置で物足りない音。
BISの北欧での録音は素晴らしいがグラスゴーではまだ慣れていないようだ。
平板で伸びの感じられない音。各楽器の鮮明度、奥行きがあまりなく
量感も不足する。Bassを補強した。
一聴するとデットな感じだ鎮まった場面ではトーンを感じる。

10:37  9:11  6:27  9:40   計 35:55
演奏  怒A-    録音 88点

ニールセン 交響曲第3番 イェンセン(59)

2015.08.02 (Sun)
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イェンセン/デンマーク放送交響楽団(59,Danacord)は力感+情念が充満。
この曲の「Espansiva」という題は決して「おおらか」とか「広がり」とかいう生易しい
日本語では収まり切らないことが作曲者愛弟子のこの演奏で分かる。
この曲では男のロマンを感じさせてほしいのだ。ニールセンはこうでなくては!

指揮者トーマス・イェンセン(1898-1963)はコペンハーゲンの音楽院で
チェロを学んだが、まさにその時の先生がニールセン(1865-1931)だ。
(↓右の指揮者がイェンセン)
jensen.jpg
作曲家直伝だから名演になるとは限らない。しかしこの説得力はただものでない。
ただ、普通に聴くにはこの放送音源モノラル盤を敢えて選ばなくていいだろう。
この延長にある演奏として、バーンスタインやデイヴィス盤があるのだから。

第1楽章の熱い潔さ。流れも滞ることなく、ワルツでは男の哀愁が漂う。
オケは熱演でホルンの音割りは効果的。

第2楽章も音のつくりが無骨だ。だからこそ最後のソプラノが天使のように感じられる。

第3楽章は速めのテンポで畳み掛ける。

終楽章も熱気を帯び気分は前傾。正攻法で進む。この力は師匠への愛情。

録音はデンマーク放送第一スタジオでのライブ。
モノラルなのが残念だがこの時期のライブとしてはいい音。熱気は伝わる。
当然、全体の量感は不足するし、ホールトーンは少ないが力強い音。
明晰さはありティンパニなど堅い音。

11:04  8:39  5:57  9:11   計 34:51
演奏  (A+)    録音 78点
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