クラシックCD聴き比べ ~ Classic CD Memos ~

演奏者への敬意を込めて、つたないメモを書いています。

Nielsen Sym2 の記事一覧

ニールセン 交響曲第2番 リーパー(94)

2017.01.23 (Mon)
リーパー23
リーパー/アイルランド国立交響楽団(94、NAXOS)は飄々中庸。
リーパー(Adrian Leaper, 1953~)は英国の指揮者。
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ナクソス等廉価レーベルがマイナー扱いされていたころに起用され
大量に録音を残した。北欧、ロシアものが多いが、いかにもイギリスの
指揮者っぽく常識的で時に淡泊ともいえる表現が特徴。

彼はナクソスにニールセン全集を残しているが人気曲交響曲第4、5番では
メジャーにみられない特殊な意匠を凝らすこともあった。
しかしこの第2番ではそのようなことはなくいつもの彼を感じる。
無用に粘着したり過度な表現を取らずまっとうなすっきり表現。
この曲を初めて聴くには他盤により面白い表現があるし、
21世紀に入りより詰めた演奏が出てきている現在はやや浅く感じられる。

なお、このリーパーのニールセンのCDジャケット3枚には各々
デンマークの画家Jens Ferdinand Willumsen (1863~1958) の同時代の
作品が用いられている。この盤は作品名「Fear of Nature」だが、
ナクソスはなかなかセンスが良いと思った。

録音はダブリン、国立コンサートホールでのセッション。
National Concert Hall, Dublin
立派なホールで音響的に申し分ないが、
ナクソスはこれまた中庸の精神で録音している。
ティンパニなど重要な役割を示すのでもう少し明晰さがあればよかった。
刺戟の少ない音。

8:54  4:33  11:49  7:13   計 32:29
演奏   A    録音  90点

ニールセン 交響曲第2番 クチャル(2005)

2017.01.22 (Sun)
クチャルニールセン
クチャル/ヤナーチェクフィル(2005、Brilliant)は新古典派。
テンポは軽快で響きも軽い。
バーンスタインが重量級のニューヨークを使って粘り気を持って表現した世界とは
大きく異なる。胆汁質、粘液質、憂鬱質、多血質と分けられた曲想の違いは
あまり重視せずハイドンの交響曲のようなすっきり感。
ティンパニが古楽のようにポンポンしているのも印象的だ。

昔ニールセンンがローカルな作曲家として扱われていたころは直截逞しい音楽、
その後メジャーオケの演目に登場するようになると巨大化した演奏になってきた。
カラヤン・バーンスタインがそれだ。

このニールセンの第2番の作曲は1902年。
マーラー、Rシュトラウスが活躍、そしてシベリウスもまだ交響曲第2番のころ。
後期ロマン派が最後の花を咲かせていた。その時代感に影響されたかもしれない。

しかし、ニールセンの音楽は実は独自の方向を向いていた。
このウクライナ系アメリカ人指揮者クチャル(1963~)の演奏は
そうしたことを気付かせる。
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唯一、速いと感じないテンポを採用するのが第3楽章。
ただ、ここでも見通しの良い響きは継続され憂鬱の高揚は限定的。
クチャルのニールセンの全集を手にしたのは発売当時。
その時は安っぽい軽い音楽と思ったが最近になって見直している。

録音はチェコのオストラヴァコンサートホールでのセッション。
オストラヴァコンサートホール

ホールトーンをしっかり入れているがピントはあっている。
抜けよく爽やか。全体に軽い音なのはオケの性質なのか録音もそうなのか。

8:47  4:19  12:17  6:43   計 32:06
演奏   軽A+    録音  91点

ニールセン 交響曲第2番 N・ヤルヴィ(91)

2015.12.22 (Tue)
Nヤルヴィニールセン全集DG
N・ヤルヴィ/エーテボリ交響楽団(91、DG)は職人+α以上。
パーヴォ父ネーメ・ヤルヴィのDG全集から第2番「4つの気質」を聴く
(BISの全集はなぜかミョンフンと分担しており2番は初録音)。

この人の場合、なんでもソツなくこなしてしまうので、強烈な印象が薄いが、
どんなマイナーな作曲家に対しても水準を超える演奏を提供してくれる。
デジタル時代到来とともに隙間を埋めるような録音を多数残してくれた。
CD初期はこの人の盤がやたらに増えた。
最初のCDによるシベリウス全集もN・ヤルヴィだったと思う。
BISやシャンドスでよい仕事をしたので1990年頃からDGにも録音を始めた。
それがこの全集だ。

パーヴォは父からニールセンを教わったというが
この演奏を乗り越えなければならない息子は大変だったろう。
その結果息子は父とは違う方向性で名演を成し遂げたが、
父は誠に素晴らしい演奏だった(録音がややオフ気味なのが惜しい)。
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この演奏、どこにも無理がなく引き締まった造型。
エーテボリ響からブラスをばりっと吹かせてややザラッとした音響。
この適度な荒れ加減がニールセンに誠に似つかわしい。
弛緩しない適切なテンポで率直な音楽づくり。
パーヴォよりもこちらの方に好感が持てるという人も多いかもしれない。
特に終楽章「多血質」は息子より1分ほど短いが、
これは中間部で思い切りテンポを落としロマンティックに歌うパーヴォに対して
父ヤルヴィはテンポを崩さないまま気持ちの昂ぶりを表現する手。
いかにもネーメらしい。

録音はエーテボリ・コンセルトフセットでのセッション。
美しい響きで知られる場所だが、全体のトーンを優先しかっちり感は少し薄い。
これは好みの問題だが、シベリウスと違って
ニールセンは直裁な音の方が似合う気がする。
重要なティンパニがもう少し硬質ならよかったが、金管は非常に迫力がある。

9:54  4:47  11:21  6:36   計 32:38
演奏  A+   録音 92点

ニールセン 交響曲第2番 P・ヤルヴィ(2009)

2015.12.21 (Mon)
P・ヤルヴィ 全集
P・ヤルヴィ/フランクフルト放送交響楽団(2009、RCA)は切れ込みが鋭い。
ともすれば優等生的演奏をするパーヴォだが、これはいい。
この劇画的交響曲をうまく料理し面白く聴かせる。

第1楽章「胆汁質」はリズム感がよく前進性をもつ。

第2楽章「粘液質」のうたた寝を破るティンパニの音がここまで強烈な演奏を知らない。
これは心臓に悪い。これが象徴的でそれくらいパーヴォはここで思い切りがいい。

第3楽章「憂鬱質」は表情が濃厚。感情の高ぶる場面での全奏では圧が強く
ティンパニがここでも強ロール。その後の管の寂しい掛け合いはニールセンの真骨頂。

終楽章「多血質」。弾けてる。金管のアクセントを効かせ道化的。
前にのめるアップテンポで進む。
中間部ティンパニの強打により音楽が停止させられた後の
項垂れ感もこれまた極端。ニールセンの分裂的部分が強調される。
最後の強引な「ズン、チャ、チャ!」終結も冴えている。

録音はフランクフルト・アルテ・オパー大ホールでのセッション(ライブ?)。
alte-oper-frankfurt-.jpg
alte-oper-frankfurt内
この全集は第2番以降がこのホールだがこちらの方が明瞭度が高い。
スケール感も十分。
この交響曲で重要な要素となるティンパニの硬質マレットが
しっかり捉えられているのが嬉しい。

9:43  5:07  11:26  7:23   計 33:39
演奏   鮮S    録音 94点

ニールセン 交響曲第2番 ヴァンスカ(2001)

2015.11.23 (Mon)
BIS-CD-1289.jpg
ヴァンスカ/BBCスコティッシュ交響楽団(2001、BIS)は痛い。
音質と演奏が鋭く突き刺さる。

第1楽章「胆汁質」はサロネンに次ぐ高速。
冒頭はキンキン録音も手伝い鋭く飛び出すのでヴォリュームには要注意。
それにしても疾風怒濤。ちょっと音楽に乗る前に緊張を強いられる展開。

第2楽章「粘液質」も速い。アレグロなのでこのようなテンポ設定もありなのかも
しれないが、この楽章に付された作曲家の楽想から離れている気も。

第3楽章「憂鬱質」も盛り上がりは強烈で少し強引ではないか。
彼のシベリウスと違いニールセンでは荒々しさを強調しようとしているのか。
金管の容赦ない表情は辛い。

終楽章「多血質」は不思議なことに金管が引っ込んでいる。
演奏上引っ込んでいるという二日間の録音セッションの中でバランスが
微妙に変わった印象。更に一歩距離を置いたような。
また、この高速楽章で弦のアンサンブルが甘いところがあり
残響も含めてもやもや感が残る。

録音はスコットランド・グラスゴー・シティホールでのセッション。
Glasgowcityhall.jpg
ハイ上がりでシャープな音のため低域を増強した。
ただ、全体が遠景で、特に打楽器、低弦はフォーカスが甘い。
金管が突出する場面もありバランスが難しい。
ホールは長方形で大きくなく、観客が入っていないと金属臭がする。
上述のように終楽章は一層もどかしい。
この録音はBISでなくEMIではないかと思った

8:42  4:08  13:01  7:26   計 33:17
演奏   B   録音  87点
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