クラシックCD聴き比べ ~ Classic CD Memos ~

演奏者への敬意を込めて、つたないメモを書いています。

Walton Sym1 の記事一覧

ウォルトン 交響曲第1番 プレヴィン(66)

2016.01.25 (Mon)
プレヴィンLSO
プレヴィン/ロンドン交響楽団(66、RCA)はキレがある。
ステレオ初期のこの曲の代表的名盤。
20年後のテラーク盤よりこちらの方がこの曲の本質をえぐる。
指揮者30代後半でロンドン響の音楽監督になる前の録音。
この怒れる曲には若さも必要ということか。
Andre-Previn.jpg

第1楽章は明快に音を鳴らす。基本はケレン味ないが譜読みの深さ、意欲を感じる。

第2楽章のリズムやパルス音など流石だ。これでこそスピードが生きる。

第3楽章も後年の演奏より切実感がある。
ウォルトンの自演盤よりもロマンティックなのはこの人の音楽性が出ている。

終楽章はひたすら前進する。フーガの掛け合いなど勢いが心地よい。
楽器のアクセントが明快でブラスセクションも流石。最後は情熱的。

録音はキングスウェイホールでのセッション。
RCAの録音陣は優秀でややスリムながら鮮明にこの曲を捉えている。
響きは多くないが左右をいっぱいに広げた音場。
やや中央が弱いが金管と打楽器の掛け合い効果などが出ている。
最強音でも音の潰れは気にならない。

13:50   5:54  11:21  12:12   計 43:17
演奏  A    録音 88点

ウォルトン 交響曲第1番 プレヴィン(85)

2016.01.24 (Sun)
Walton_1_Previn.jpg
プレヴィン/ロイヤル・フィル(85、TELARC)は安定した重量感。
プレヴィンは66年にロンドン響と録音しているので再録音。
音楽全体に余裕がある。ただ、プレヴィンに似合う曲、なのだがもう一歩。

流石にプレヴィンはアシュケナージのようにオケを好き勝手にさせないため、
ロイヤルフィルも滅茶苦茶していない。ブラスセクションもコントロールされている。

第1楽章はただがなるだけでなく多面的な面を見せるのがプレヴィンの
円熟というものか。その分スペクタル感は薄い。

第2楽章は演奏時間だけみると速いのだが、切羽詰まった感は少ない。

第3楽章は非常に美しい。ゆったりしたテンポで心を落ち着かせる。
悲愴感はそれほどあらわにしない。

終楽章もテンポ感は悪くない。しかしここでもやはり突き抜け感がない。
このころのプレヴィンにはこの踏み込みの浅さを感じることが多い。

録音はワトフォード・タウンホールでのセッション。
録音エンジニアはトニー・フォークナー。
同じロイヤルフィルでも91年盤のアシュケナージ(DECCA)盤を上回る。
ここもそれほどスケール感のある会場ではなく響きも多くない。
巨大な音響は楽しめる。
但し、最高かと言えばテラークならもう一歩の踏み込んだ音を望みたい。
フォークナーの音はどちらかというと温かいが、
この曲では各楽器のエッジをもう少し立ててもよかった。

14:15  6:06  11:51  12:48   計 45:00
演奏  A-    録音 90点

ウォルトン 交響曲第1番 アシュケナージ(91)

2016.01.23 (Sat)
アシュケナージ
アシュケナージ/ロイヤルフィル(91、DECCA)は荒れ単調。
暴れ馬ロイヤル・フィルに最適の曲だったので期待したが、
録音がいまいちのため迫力が伝わらない。
オケが熱演しているのは分かるし、このブラス群は素晴らしいのだが。
指揮はほとんど細工なく、オケに任せているがそれは予想の範囲内。

第1楽章の序奏は2段ロケットのように昂進。但し音が平板なため迫力が
感じられない。映画音楽録音のような底の浅さ。ティンパニも決め切れず。

第2楽章プレストの速い動きになんとかついて行っている。

第3楽章は速めのテンポでさらりと。
指揮者は唸りを上げるが憂鬱感はいまいち伝わらない。

終楽章のテンポ感、オケのバリバリ感はいい。
指揮者のウッウッ!!は一層激しい。熱演だ。ただどうも一本調子なのだ。
苛立ちの隙間に見えるセンチな感情や救いなどが等閑視。
インテンポのまま終結に突入して終わる。

録音はウォルサムストウ・アセンブリーホールでのセッション。
ここは体育館のような形のパーティ、結婚式、舞踏、コンサートなどの多目的会場。
walthamstow.jpg
響きは多くなく比較的近め。従ってスケール感はない。
鮮明であるが奥行きがなく低域ももう少し欲しい。
2台のティンパニも奥にあり効果的でない。

14:16  6:27  10:38  12:30   計 43:43
演奏  A-    録音 87点

ウォルトン 交響曲第1番 ボールト(75)

2013.06.23 (Sun)
boult sym1
ボールト/BBC交響楽団(75、BBC)は大らか、といっておこう。
物理的テンポは速く全体は38分台の最短なのだが、全く速いとは感じない。
プレーズに抑揚がなく平坦に速い。
まあ指揮者の高齢(当時86歳)を考えると頑張ったと思う。
自分がこの齢になった時に果たしてこの曲を聴きたいと思うだろうか。
こんな攻撃的な曲を受け付けないのではないかと思う。

録音はロイヤル・フェスティバルホールでのライブ。
客席の吸音効果で響きは少しデット気味で溶け合いがいいとはいえないのと
低域成分は弱い。左右の広がりはとれている。
放送用録音で弱音時にややベースノイズっぽいのがあり。

第1楽章冒頭など気負いがない。全体的にも力みがない。
これはいい言い方で、迫力がないといえる。
1889年生まれの指揮者が1902年生まれの作曲家、
しかも若書きの作品を俯瞰しながら振っているという感じ。

第2楽章のプレストなどテンポはプレストだが、
ややオケが戸惑いながらも頑張っている。
どうしても手探り部分はでる。

第3楽章はかなりせっかちな音楽。
音楽の呼吸感がなくせかせかと行く。

終楽章は音楽が直線的で溜めがない。
スピードだけでは迫力は生まれない。
あれよあれよという間に終結に至る。

高齢でよくこの曲を振りきった、敢闘賞。

13:27  6:17  7:12  11:53   計 38:49
演奏  B+   録音 84点

ウォルトン 交響曲第1番 ハイティンク(81)

2013.02.10 (Sun)
ハイティンクウォルトン1
ハイティンク/フィルハーモニア管弦楽団(81、EMI)は巨大な名演。
唯一50分を越える演奏時間だが、緊張感は持続している。
悪童とか苛立ちという雰囲気でなく大きな不安に満ちたうねり。
ほかのどの演奏にもない威圧感。
この演奏の独自性はブルックナー的な世界観にも近いかもしれない。
81年といえばハイティンクの最高傑作ブルックナーの第9番が録音された年。
気力と自信を兼ね備えた絶頂期だ。

録音はアビーロードスタジオだがこの録音はよい。
というかよく聞くともっとうまく録音できたのではないかと思うが、
演奏の凄さがカバーしている。
透明感はいまいちだが全奏時の泥んこ具合は混乱する楽想にマッチする。

第1楽章から横綱的貫禄を持つ。悠然と進むがいティンパニの打ち込みや
ブラスにドスが効いていて恐ろしい迫力が横溢する。
テンポはゆったりで、いざとなるとギアを落としドスン。
遅いテンポでもだれておらず弦が粘り強く歌う。
単なる外面的な効果でなく心理的に追い詰めてくる。
11分から12分にかけての見栄の切り方は歌舞伎の最高の名演技。

第2楽章は通常のスピードに戻る。フィルハーモニアの弦の合奏は素晴らしく
終盤にかけてブラスの気迫は凄味。

第3楽章をここまで掘り下げた演奏はない。
最初の楽章と同様この楽章も他の演奏より3分ほど長いが緊張感ある抒情が貫く。
そしてブルックナーのアダージョを彷彿させる。

終楽章の重量感もただ事ではない。細分化し短い音型が重なり合う
この楽章は大変難しいと思うが不安定なところが微塵もない。
堂々とし過ぎているぐらいだ。
終結も見事に決める。

16:18  6:41  14:09  13:52   計 51:00
演奏  巨A+   録音 90点
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