クラシックCD聴き比べ ~ Classic CD Memos ~

クラシック音楽のCDを中心に演奏者への敬意を込めて、つたないメモを書いています。

Nielsen Sym4 の記事一覧

ニールセン 交響曲第4番 メータ(73)

2016.01.04 (Mon)
メータ不滅
メータ/ロスアンジェルスフィル(73,DECCA)は快速痛快。
実に屈託ない。このLPのジャケットの指揮者の笑顔のようだ。

バーンスタインやマルティノンがアメリカでこの「不滅」を録音して認知が広がったときに
当時快進撃を続けていたメータ&ロスフィルコンビがDECCAの優秀録音を引っ提げて
登場したのがこの盤。「アルプス交響曲」や「惑星」などの一連の音響LPの系譜。
数多いメータの盤歴の中でもニールセンはこの1曲1回こっきりだったのではないか。

ともかく、演奏は深刻ぶった表情など薬にしたくもない、楽しく行こうぜという
カルフォルニアの青い空が言っている的。

第1楽章から苦渋の表情は全くなくスカッと鳴る。
ティンパニはトランポリンの様にポンポン弾む。
全体の合奏の厚みよりもオンマイクで各楽器が捉える録音もあって軽量級の音楽。

第2楽章も保有盤最速でスカスカ行く。

第3楽章も勢いが良くフーガなど前のめりで、
早く終楽章に行かせてくれという雰囲気が漂う。

終楽章も予想通り。
軽いトランジェント抜群のティンパニが左右で掛け合うのは音響快感だ。
これはこれでいいし徹底した行き方。
ニールセンに対する共感が薄いといっても始まらない。
この曲が大袈裟と感じる向きにはフィットすると思う。

録音はUCLAロイスホールでのセッション。当時のメリハリあるDECCAの音。
実に分かりやすい。この曲はティンパニの競演と捉えしっかりピックアップしている。
この楽器のクローズアップではナクソスのリーパー盤とタメではないか。
響きの混濁なくスッキリ聞きやすい。
低域の量感やマッシブな重い迫力を求める向きには合わないかもしれない。

11:33  4:09  9:02  8:36   計 33:20
演奏   爽A     録音  89点

ニールセン 交響曲第4番 P・ヤルヴィ(2013)

2016.01.03 (Sun)
P・ヤルヴィ 全集
P・ヤルヴィ/フランクフルト放送交響楽団(2013、RCA)は憎いほど巧い設計。
聴く前からパーヴォにまたやられるんだろうなと思っていたがやはり。
この人は実に卒なくやるので面白くない面も出るのだが、
必ず聴かせどころや発見を盛り込んでくるので油断ならない。
そしてなんやかんやで実に立派な曲になっている。この演奏もそうだ。

こうなるとこちらも斜に構える。この演奏に感心しながらも思う。
馬鹿といわれようが、何も計算されずひたむきに突っ込んで来る演奏の
強さは捨てがたく惹かれる。

第1楽章は非常に丁寧。主旋律以外のサブパートもよく聴こえ
音響の整理が実に行き届いている。
前半の終了では大きな盛り上がりをみせ区切りをつける。
後半の緊張感ある静謐から躍動に移る場面の劇的な表現も実に計算され
ている。硬質なティンパニも効果的に出撃。

第2楽章はさらりと木管の美しい掛け合いが進行。

第3楽章の弦の力強さは凄いが、美感を損なわないバランス感も流石だ。
この楽章の中間に鳴る木管の警句は非常に強い音で意味が込められる。
そしてそこからの弦のフガートは重厚かつ速めのテンポで
緊張感をはらみ次の楽章が準備される。

終楽章は引き締まっている。テンポがいい。
左右の弦、そして猛然とした勢いのティンパニの掛け合いは実に見事。
終結までしっかり鳴らし隙はない。

(↓シンシナティのこのポスターのような滅茶苦茶さも欲しい)
MAY11_Paavo.jpg

録音はフランクフルト・アルテ・オパーの大ホールでのセッション(?)。
ライブとしてもノイズはない。
このコンビの収録も回を重ね手慣れたものに。
バランス良く程よいスケール感。
必要な楽器(ex木管・ティンパニ)のピックアップも明快。
荒れ感は全くなく丁寧な音作りがベース。
終楽章のティンパニは左右に分かれしっかり掛け合いが収録されている。

11:28  4:54  9:59  8:39   計 35:00
演奏  A+     録音 93点

ニールセン 交響曲第4番 ボストック(2000)

2015.11.12 (Thu)
ボストック4
ボストック/ロイヤル・リヴァプール・フィル(2000、Classico)は残念。
1955年生まれの英国指揮者ボストックは珍しい曲を色々発掘してくれるのだが、
その割には演奏に投げやりを感じさせるところがある。
Bostock-Douglas-.jpg
また、新校訂全集版楽譜を使用ということでシェンバントと同時期に発売されたが
解説には全く触れられず聴いただけでは違いがさっぱり分からなかった。

第1楽章から速めのテンポで進むが雑な感じがする。
第3楽章以降も良く言えば荒削りな素朴な迫力があるといえばある。
しかし、引っかかるものがない。

録音はリヴァプールのフィルハーモニック・ホールでのセッション。
このレーベルのいつも通りの雰囲気で艶のない音色でデットな音場。
隔靴掻痒のような鮮明度の不足する音。
特にこの曲で重要なティンパニが奥まってぼやけてしまっている。
クオリティの高い録音が沢山出ている現状ではこれは大きなマイナス。

10:46  5:13  10:28  8:35   計 35:02
演奏   B+    録音 86点

ニールセン 交響曲第4番 ギルバート(2014)

2015.10.21 (Wed)
ギルバート14
ギルバート/ニューヨークフィル(2014、DACAPO)は豪放で逞しい。
ライブということもあり綺麗な音で整理する方向ではないが、全編力がこもっている。
ニールセンは同じ北欧でもシベリウスとは全く違うキャラクター。
何か抑えきれない力、自暴自棄とまで言わないがそんなむちゃくちゃな滾りを感じる。
この演奏はそんなニールセンだ。

ギルバート(1967~)は、父が米国人、母が日本人で二人とも30年前後ニューヨークフィルの
ヴァイオリン奏者というから凄い。しかも、母上は2014のシーズンまでニューヨークフィルの
現役なのでこのニールセンにかかわっている!
日系人指揮者、かたことの日本語しか話せないが頑張ってほしい。
gilbert-nielsen.jpg

第1楽章は適度の荒れ感を持ちながらオケが図太い音を出す。
テンポは速いところは前にのめり、遅いところはしっかり。
エナジーの放出を感じる。しかもそれが余裕しゃくしゃくではなく
血管が浮き出ているので最後までこの調子で持つのかと心配になる。

第2楽章は木管の歌は入念。滑らかにテヌートしながら上目づかい。
チェロ・ソロがブットイ音などなかなか多彩なブリッジ楽章。

第3楽章も力感が強い。音が積み重なっていく後半はパワー漲る。
終盤はバーンスタイン並に指揮者が足を踏み鳴らす音が響く。

終楽章はパンチがある。
ティンパニの掛け合いは機関銃のように連射され猛烈な勢い。
終結まで一気だ。

録音はリンカンセンターのエイヴリー・フィッシャーホールでのライブ。
それほど響きの多くないこのホールで実際に聴衆を入れているので
デット気味ながら乾いた感じではない。
楽器は明快に聴こえる。低域は少しだけ増強した。

11:28  5:16  10:10  9:01   計 35:55
演奏   A+    録音  92点

ニールセン 交響曲第4番 ラトル(84)

2015.09.03 (Thu)
ラトル
ラトル/バーミンガム市交響楽団(84、EMI)は再録希望。
ニールセンはラトルに向いていると思う。シベリウスよりもフィットすると思う。
ただこの演奏は期待しすぎた。楽曲に振り回され上辺をかすめた感じ。
オケの精度もやや気になるが、全体のノリがもう一歩。
これはどこがどうという指摘はできず、
まさ大きな流れの中で心をキャッチするかという点。

また、肝心の終楽章のティンパニはリズム感がイマイチ。
ただし、終結の4打は異常な強打で破けるのではないかと心配になる。

2013年ラトルはこの曲を同局のオケを振っているがこちらは素晴らしい。
(デンマーク放送局による映像で観ることができる)
一層速いテンポだが音楽が充実している。うねりと怒涛感がある。
オケの差も感じる。
手兵ベルリン・フィルとも同曲をやっている。
ラトルにはニールセンの交響曲全曲を録音してほしい。

録音はButterworth Hall, at the heart of Warwick Arts Centreでのセッション。
アビーロードのような狭いスタジオでなく大きなホール。
スケール感は良いのだが、地べたにどっしり足をつけた迫力がない。
これはEMIの共通した問題点。細部のピックアップはなく全体を捉えた音。

11:47  5:18  10:47  8:47   計 36:39
演奏  A-    録音 90点
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