クラシックCD聴き比べ ~ Classic CD Memos ~

演奏者への敬意を込めて、つたないメモを書いています。

Nielsen Sym1 の記事一覧

ニールセン 交響曲第1番 C・デイヴィス(2011)

2015.12.20 (Sun)
LSO0715.jpg
デイヴィス/ロンドン交響楽団(2011、LSO)はヘビー級真実の歌。
この曲が本来想定していたカロリーの倍はある。
でも、小手先でなく自分の生き方・行き方を貫いているのでこれはこれで好きだ。

コリン・デイヴィス(1927-2015)は貧しい家庭で育ち、ピアノを買ってもらえず
安いクラリネットで音楽を始めた。そんな彼はニールセンと重なるところがある。
齢80を過ぎたこの力強い演奏には彼の共感がある。
Sir-Colin-Davis-435x290.jpg
第1楽章冒頭からこのコンビの特質、ずっしりゴツゴツ感が出る。
爽やかさとはかけ離れた重量感。トゥッティではごつい岩の塊りの音だが、
それが止み、木管が一人歌う場面の対比感・落差は大きい。
それが面白い。

第2楽章はゆったり大河のよう。
ロンドン響がそもそも重厚なのか、録音なのか、指揮者の嗜好なのか。
分厚い音がゴーッと流れる。

第3楽章のティンパニはダダをこねるかのような強打は聴きもの。
指揮者の歌が聴こえる。

終楽章は音だけ聞くとブラームスの第1番のような重さと凄味を持ちこむ。
およそ楽想とは離れているのだとは思うのだが・・・。
でも真実の音楽なのでその力強さには心打たれる。

録音はロンドン・バービカンでのライブ。客席ノイズはない。
このホールはLSO Liveでいつも使われるホールであまり艶のない音響が特色。
barbican.jpg
行ったことはないがNHKホールのような拡散型か。
だが、だんだんそれにも慣れてきた。
そればかりかコリン・デイヴィスの作る音楽の特徴とマッチしているような印象も。
非常に力のある音がする。SACD層ではより柔らかで音場が拡がる。

9:09  7:24  7:59  8:48   計 33:20
演奏   真A+    録音 92点

ニールセン 交響曲第1番 P・ヤルヴィ(2010)

2015.12.19 (Sat)
P・ヤルヴィ 全集
P・ヤルヴィ/フランクフルト放送交響楽団(2010、RCA)は
安定をベースに丹精込める。

この指揮者はスコアをしっかり読み知的コントロールのもと
丁寧に聴かせどころを設定し織り込む。
そのアプローチがここでもなされている。
したがってこの曲では極めて抒情面で特徴ある演奏となった。

が、一途な想いの吐露という側面は後退する。
たとえば終楽章は9分かけ、歌い込むところではぐっとテンポを
落とし情感をつけるのだが、
そのたびにテンポが揺れ、いささか作為を感じる。
後期の曲になるとこの手腕は効果を発揮するがこの曲では余る。
もっと素直に直裁にやってもよかった。

オケの音はずっしり安定感、ただ少し腰が重い。

と、この新たな全集のい1曲目はぼちぼちの感想だったが
その後尻上がりにこのコンビの真価を発揮してくる。

録音はfriedrich von thiersch saal(ヘッセン州の州都である
ヴィースバーデンのクアハウスのボールルーム)でのセッション。
ライブとの情報もあるが、
ブックレットにはその表記がなくまた客席ノイズも拍手もない。
ヘッセン放送協会とソニーとの共同録音。
Kurhaus_Wiesbaden_blaue_Stunde_290-L4.jpg
friedrich von thiersch saal
この会場は写真の通り極めて壮麗な造り。
長方形で空間は広大で響きは豊か。
マス的な自然な録音だがサブマイクも活用して一定の明晰さを確保。
個人的にはこの曲ではより引き締まった音でもよかったと思うが
一般的な意味では優秀録音。

9:16  7:21  8:17  9:05   計 33:59
演奏   A    録音 93点

ニールセン 交響曲第1番 N・ヤルヴィ(92)

2015.11.10 (Tue)
ヤルヴィ
N.ヤルヴィ/エーテボリ交響楽団(92、DG)は端正さと豪快さ。
この曲の持つ期待感と不安感をごちゃ混ぜにして疾走。ニールセンが込めた思いが伝わる。

第1楽章から素晴らしい勢いがある。息堰切るような雰囲気。

第2楽章はここも速いテンポだが焦燥するようなじりじりがしっかり織り込まれる。

第3楽章は誇張なく心中の葛藤が描かれる。ニールセンの無頼な心境。

終楽章は飛び出す。畳み掛ける。若さの抑えきれない思い。
最後まで勢いを維持し一途に行く。

録音はエーテボリ・コンセルセットでのセッション。
Gothenburg_Konserthuset.jpg
ここの自然の響きがBISの録音を支えてきたが、
DGにおいては一層マス的に音を捉えている。
響きの量は適度だが望むらくはオケの後列の楽器にももう少しフォーカスが
合うとヤルヴィの演奏の意図に沿ったのではないか。
ティンパニや金管の咆哮が少し締まった音だとよい。

8:17  6:30  7:55  7:38   計 30:20
演奏  A+    録音 92点

ニールセン 交響曲第1番 ロジェストヴェンスキー(94)

2015.11.09 (Mon)
ロジェヴェン14
ロジェストヴェンスキー/ロイヤル・ストックホルムフィル(94、CHANDOS)は
秋の気配が漂いしみじみ感。
本来は春のようなワクワク感がある曲だが、ここには落葉がある。
まずはテンポがゆったり。保有盤最長の演奏時間。
音はどっしりしていてテヌート気味。要は若さとか歯切れの良さとは離れた位置。

最初は違和感だらけのロジェストヴェンスキーのニールセン全集。
デンマークや北欧勢の従来からのこの作曲家の燃えるような演奏とは全く異なる。
全般的にこのような特色を持つから第1番も予想はできた。
そうした心で臨む。するとこの曲からまた別の要素が発見できた。
若書きの元気さばかりに目を奪われていたけれども、
こんなに古典的な佇まいの中に美しさを秘めているのだと。

第1楽章は勢いで押し切らず落ち着いてスコアを丁寧に鳴らす。
だから今までスピードにかき消されたようなフレーズも聴こえてくる。

第2楽章になると一層沈み込むよう。
もの思いも深刻だ。

第3楽章もしなだれかかり感。
ただ、ここまで聴いてくると楽章間の特色・メリハリが薄められているので
この渋い交響曲が一層渋いことになる。

終楽章もかみしめるようなテンポ。
元気はないがこの楽章においても美しさがにじみ出る。
しかし、終結だけは異常な高速スピード。これは解せない。

録音はストックホルム・コンサートホールでのセッション。
響きの多いアムステルダムのヘボウのような音。
深々としておりこの演奏の特色を助長する。
テンポが速いと前の響きが次の音に被るがこの曲では不都合はない。
憂いを持った美しさを味わうことができる。
(↓ノーベル賞授与式で有名な青い外観のホール)
ストックホルムch

10:07  8:23  8:45  9:43   計 36:58
演奏  秋    録音 93点

ニールセン 交響曲第1番 カム(94)

2015.11.08 (Sun)
カム1
カム/コペンハーゲンフィル(94、CLASSICO)は演奏だけとれば筆頭格。
ことに弦が素晴らしい。ニールセンといえば木管・金管・打に特徴があるが、
もとヴァイオリン奏者のカムは弦を大事にしてそこに巧みな表情の綾を作る。
だから一見シンプルなこの交響曲にも陰影をもたらす。
ただ、録音が冴えない。残念。

カムはラハティ響の常任になってからニールセンも取り上げている。
私は交響曲第2番のビデオを見たが実に素晴らしかった。
情熱的で筋肉質。
淀みなく進みながら、これまた弦楽の表情が多彩で発見の連続だった。
また、今年の京響との「不滅」も凄い演奏だったらしい。
ニールセンの正規録音をしてほしい!
この指揮者は慎ましいながらもロマンティックだ。

第1楽章はカムらしい引き締まったテンポで進むのがいい。
弦の運動性を前面に押し出し一途に進むのでピュアな感じ。
微妙な溜めも織り交ぜなが突き進む。

第2・3楽章も爽やかな風を吹きながら木管のワンフレーズに
チャーミングなニュアンスを含ませる。
第3楽章など速いテンポでそそくさ行くかと思いきや、
ふと寂しげな表情を浮かべて立ち止まったり。

終楽章はむしろ抑制気味に始まる。甘酸っぱい部分を拡大する。
各パーツを分解して浮き沈みをつける。
よって下手すると単細胞的なこの楽章が不思議な片鱗をみせる。
力感は最後にとっておく。

無骨な田舎者のギルバート盤
北海の荒くれ野郎のストゥールゴールズ盤
表情巧者の出来る男のオラモ盤
一本気のベルグルンド盤
そして真面目でナイーブさもちらつくカム盤

録音はチボリ・コンサートホールでのセッション。
音質はこのレーベルらしい角の取れたくすんだ音。
はっきり言えば明瞭度不足。
この会場の響き自体は悪くない。
併録のシベリウスの第7番ではいいのだが、ニールセンとなると残念だ。
(↓チボリ公園の一角にある欧州有数のホール)
tivoli.jpg

8:43  7:30  7:13  8:12   計 31:38
演奏  (s)    録音 87点
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