クラシックCD聴き比べ ~ Classic CD Memos ~

クラシック音楽のCDを中心に演奏者への敬意を込めて、つたないメモを書いています。

Mahler Sym4 の記事一覧

マーラー 交響曲第4番 ライナー(58)

2012.08.28 (Tue)
ライナー4
ライナー/シカゴ交響楽団(58,RCA)はライナーの音楽。
この曲がこんなに逞しい側面を持っていたのかと驚かされる。
単に音がでかいとかオケの機能が凄いということでなく、音楽的に説得力を持っている。

録音はシカゴのオーケストラホール。この時期のものとしては音が非常にいい。
会場の広さも十分で伸びもよい。混濁もなく明晰で最近の録音のよう。
DECCA程の人工臭はなく当時の世界最高水準はRCAだったと思わせる。

第1楽章はライナーが振るとこうなるのか、頷かされる。
メリハリが効いておりだれないテンポで突き進む。
シンバルや金管の音量もでかいが全体のつくりの中で違和感がない。

第2楽章も全体に音が強くはっきりしている。ソロ・ヴァイオリンも然り。

第3楽章は夏の光が燦々と照り付ける。放射している。
弦は筋肉質で締まりしなる。オケは驚くべき明晰さで鳴っている。
気持ちいいぐらい背筋が伸び目が覚める。

終楽章のデラ・カーザの歌も明快。
夢見る感じはあまりないが、癖のない伸びやかな歌は気持いい。
ライナーの全体の演奏方針に合っているのではないか。
終結部でテンポをふと緩めたりするところでは、
全体が硬派だけに優しさを感じた。

15:54  8:54  18:57  9:40 計 53:25
演奏  硬A   録音 90点

マーラー 交響曲第4番 アバド(77)

2012.08.27 (Mon)
アバド4vpo
アバド/ウィーンフィル(77、DG)は完成美。
このあとベルリンやルッツェルンで再録音しているが聴いていない。
これが素晴らしすぎるから。

録音はムジークフェライン大ホールでのセッション。いうことのないバランス。
むき出しでない音はこの曲にフィット。

第1楽章からウィーンの弦の表情に魅せられる。
フレーズの末尾のチャーミングさが聴きもの。
やわらかい芳香が放たれ、いうことがない。

第2楽章も各楽器がそれぞれ主張するが全体はやわらかくまとまっている。
テンポも自然に移ろう。

第3楽章の23分半はゆったり目。
しかし、このチェロやヴァイオリンや木管を聴いていると
ずっと聴いていたいような気持になる。美に偏りすぎている?かもしれない。
しかしここまでくれば・・・。
テンポの緩急は実に自然で心象風景と一致。
末尾のフォルテでもウィーンの弦がヒステリックにならず舞い上がる音。

終楽章のシュターデ。素直な歌でいい。
ただ、個人的には22年後のレヴィ盤のほうが奥ゆかしく清楚な感じがしている。
このころは素のままの美しさ。

この演奏に欠けるとすれば、この曲に潜むグロテスクさとか二面性かもしれない。
が、これで何が悪い、というほど音色の魅力に参る。

16:12  9:18  23:32  9:05  計 58:07
演奏  A+  録音  90点

マーラー 交響曲第4番 ヘレヴェッヘ(2010)

2012.08.15 (Wed)
ヘレヴェッヘ4
ヘレヴェッヘ/シャンゼリゼ宮管弦楽団(10、Phi)は知的洗練の極み。
この演奏はただメルヘンチックに奏されているわけでない。

指揮者が語る、『マーラーの曲は私たちが実際に眠りに落ちている時の、
ごくとりとめのない夢想の数々をそのまま反映したようなもの。
現実社会の残酷さとおよそ現実にはあり得ないほどの
優しい慰めが分かちがたくないまぜになっている』という、まさにその感覚。
ベルリオーズの幻想交響曲に通じる錯綜した心象を持ちあわせている。

古楽器使用と書いてあるが、バロック時代のものでなく
弦はガット弦、金管・木管もマーラー時代のものを用いるということだ。
確かにこれらでは実演では音量が今のものと比べて劣るということも
あるのだろうが、録音芸術ではそのことによる不満はない。

録音はフランス東部ドーフィネ地方グルノーブルのMC2劇場。
広い空間に明瞭ながら柔らかい音がこの曲にマッチ。

第1楽章は速めのテンポで、室内楽風の透明感ある演奏。
しかし、ムード的演奏でなくそれぞれの楽器はしっかり主張し生きがいい。
ワンフレーズワンフレーズがしっかりコントロールされ
しかしそれがわざとらしくない範囲に収まるのがヘレヴェッヘだ。

第2楽章も雄弁なホルンをはじめとした各楽器がきらきら飛び交う。
悪戯っぽい表情。かと思うと沈み込み、次の瞬間には日の射す草原、
次には軒下でそよ風に吹かれる。その変転が非常に自然なのには驚かせられる。
ソロパートの技量には舌を巻く。

第3楽章は前楽章とは対比的に弦の流れを中心においている。
全ての音が抑制されヴェールをかぶったよう。
何かが起こっても弦の通奏持続音が、ここは夢の世界、ということを示す。
思い切りのよい清々しさではなく、まどろんで意識が混濁している。

終楽章は透明感あるジョシュアのソプラノが、広い空間に響く。
ここにもはや意識の世界を超えた天上の世界。
風のように過ぎていく。やはり幻なのだろうか。

この演奏は単なる屈託のない演奏ではない。
ヘレヴェッヘが完璧に演出しているのだが、
ノーブルさが全てを包んでしまっているところが凄い。

15:31  8:55  20:05  8:41   計 53:12
演奏  S   録音 95点

マーラー 交響曲第4番 レヴィ(98)

2012.08.14 (Tue)
レヴィ4       シュターデ
レヴィ/アトランタ交響楽団(98、TELARC)はなんといってもシュターデの声がいい。
演奏自体も軽やかで自在でこの曲にフィットしている。
場合によってはこの曲が見せる深みや凄味に事欠くのだろうが、
逆に心理的負荷は軽く、湿度の少ないこの演奏は癒し系で好きだ。

録音はジョージア州アトランタのウッドルフ芸術センターホール。
適度な広さで澄み切った空気感が出ており優秀録音。

第1楽章の響きはオケ自体の特性も手伝い重くならず明るく爽やか。
演奏自体は特別夢幻的に持っていこうというよりも自然体に近いが、
それが本来のこのコンビとこの曲想の合致を見せる。

第2楽章も速めのテンポの中に表情豊かな独奏ヴァイオリンが冴える。
それぞれの楽器が比較的無邪気に鳴るところはアメリカらしい。

第3楽章も濃厚な味ではない。淡々と進み、ポルタメントも品が良い。
終結のフォルティッシモも絶叫せず余力を残しており、美しさを保つ。

終楽章はシュターデの清潔な歌と歳を感じさせない初々しい声が
ほんとに素敵。ソプラノが出しゃばらない抑制がまた良い。
録音も含めて聴き終わったあと、とても気持ちよかった。

16:58  9:32  20:33  9:19   計 56:22
演奏  A+ 録音 94点

マーラー 交響曲第4番 シノーポリ(93)

2011.08.04 (Thu)
シノポリマーラー4
シノーポリ/フィルハーモニア管弦楽団(93、DG)は
後半2楽章をやりたかったのだろう。

録音はロンドンでのセッション。音場適度で安心して聴ける録音。

第1楽章はストレートに入る。流れを重視した音楽。
オケの音色自体はフィルハーモニアらしくドライ。
ここら辺がメルヘンの創出に不利。
弦の扱いなどはやはりバーンスタインの方が役者が上だ。
第2楽章も音の両端をくっきりさせアクセント明快な率直な音楽。
不気味なダンスと言うよりぶっきら棒な踊り。
第3楽章は恐ろしい音楽に仕上がっている。
一つ一つの表情に抉りが効いている。
この予兆は第2楽章の後半からあったが、
ここに来て深淵にはまってしまった。
フォルテではティンパニのロールを響かせながら悶絶する。
かと思えば、急に天空に昇る。
終楽章は前楽章との対比の上に成り立つ。
このすっとぼけた内容の歌詞がは一体なんだ?不条理の音楽。
グルベローヴァの歌は巧い。表情過多ともいえる。
天使の清らかさと悪魔的な表出はさすが。肉を食らう人の歌い方。
天上なのか地獄なのか。夢なのか現実なのか。
オケの部分は強引にドライブして見せる。最後の音は不気味。
シノーポリは結局この交響曲のはちゃめちゃさをむき出した。

16:18  10:08  21:52  9:49   計 58:07
演奏  後A   録音 91点
 | HOME |  Next »