クラシックCD聴き比べ ~ Classic CD Memos ~

クラシック音楽のCDを中心に演奏者への敬意を込めて、つたないメモを書いています。

Mahler Sym2 の記事一覧

マーラー 交響曲第2番 P・ヤルヴィ(09)

2013.01.13 (Sun)
ヤルヴィ復活
P・ヤルヴィ/フランクフルト放送交響楽団(09,Virgin)はセンスのよい積極さ。
この人の音楽づくりの特徴は肌理の細かい繊細さをベースにした自己主張。
それが嵐のようなこの「復活」に新鮮な表現をもたらしている。
完全に第3世代のマーラーを感じる。単に熱狂とかクールとかとはまた別次元。
また、どこにも手抜きがなく最初から最後まで指揮者の目が行き届く。
こうなると、ブーレーズが過去の人に見えてしまう。

録音はフランクフルト・アルテ・オパーでのセッション。
同時期に実演をやっているがライヴの表記はないし会場のノイズもない。
広い空間で柔らかい音響。むき出しのオンではなく少しヴェールを被る。
CDの音量レヴェルはやや小さい?

第1楽章は冒頭からキレはいいのに実に丁寧。
緩急自在の音楽を作るのに全く粗くならず、音楽をそっと包む慈愛に満ちる。
バーンスタインのような虚仮威しは全く見られない。
ゆったりした流れで穏やか。

第2楽章はここでも積極的な節回しが聞かれるが
それが丁寧にデリケートに扱われるのでうざくならない。

第3楽章もティンパニの弾け具合と弦の流麗さが猛烈な対比。
憎たらしいばかりの冷静な処理。

第4楽章のメゾーソプラノ(クート)もオペラティックな表現を控え、そっと歌う。

終楽章もこれまでの流れを踏襲。
しかし、前半はこの管理されたデリカシー旋風も破天荒なこの楽章の前で、
聴く側にやや戸惑いを感じさせる。
計算を度外視した命がけの燃焼が懐かしくなったり。
しかし後半は違う。
20:30からぐっとテンポを落として入る合唱の精度はもの凄い。
その中からアルトそしてソプラノが浮かび上がる場面は鳥肌。
どこまでも透明だ。
この楽章の前半で感じた不完全燃焼は後半は吹っ切れ透徹した美しさと
粘り強い巨大な音楽が浮かび上がる。
これまたヤルヴィにしてやられた。

23:17  10:07  10:50  5:34  35:23  計 85:11
演奏  繊A+   録音 93点

マーラー 交響曲第2番 ブーレーズ(05)

2012.12.18 (Tue)
ブーレーズ復活
ブーレーズ/ウィーンフィル(05、DG)は今までにない特殊な印象。
人のいい親父でも情熱家でもなければ学者でもない。眼光の鋭さがやたら目立つ。

録音はムジークフェライン大ホールでのセッション。この時期実演で何回か取り上げている。
あえてライブ録りしなかったことで驚くべき解像度でかつスケールもある優秀録音。
マイクセッティングに制約がなかったためだろう。
ブラスの抜けパーカッションの弱音が凄い。

第1楽章は冒頭の引き締まった弦は良い感じだが録音も含めて大げさではない。
その後の展開もすっきり爽やか系。しかし、何か異様な怜悧を感じる。
ブーレーズは96年に「葬送」をシカゴで録音しているが一層筋肉質で
テンポが速くなっている。録音の威力もあり切れ込みは激しくエッジが効いている。
終結に向かうに従って何か殺気立つ。
DGに行って保守化したといわれるこの指揮者だが、ここでは昔の怖さがある。

第2楽章も速めでスリム。そんな中にもウィーンの弦が醸し出す独自の表情。
少しひきつりながら必死に歌う。
この楽章には前楽章の衝撃を緩和する役割があるはずなのだが、
この演奏は緊張が持続している。

第3楽章も複雑な印象。速いテンポで説教されながら、背中を同時にくすぐられている。
要は多様な音が別の意味を持って現出。まさに、べリオ。
トロンボーンの強奏は聴いたことがないパーツが刺さる。心理的に脅迫される。

第4楽章は通常のテンポだが暗い雰囲気は持続。デヨングのメゾソプラノも真摯。
緩急はタップり。

終楽章は35分かけてじっくり取り組む。テンポのいかんにかかわらず、
どんな場面もピンと張りつめたものがある。
勢いに任せるところは微塵もなく全てがビシッと統率。
メロディーはしっかり歌うのだが、どことなく晴れやかさがなく、
「強制された歓喜」のショスタコの5番を思い出した。
怒涛の感動・熱狂をあえて回避して見せているところがこの指揮者なら。

20:55  9:17  9:27  5:36  35:21   計 80:36
演奏  鋭A   録音 94点

マーラー 交響曲第2番 アバド(76)

2012.11.11 (Sun)
アバド 復活
アバド/シカゴ交響楽団(76、DG)は均衡と熱気。
75年のメータ/VPOがスペクタクル、63年のバーンスタインが破滅志向というならば
ここではアバドの独特の個性が見て取れる。
それが優等生一辺倒で終わることもあるがこれは両立している。
このあと、アバドは92年、03年にこの曲を再録音している。
65年のザルツブルグで大評判になって以来この曲とは相性がいい。

録音はメディナ寺院で自然な感じ。同時期のDECCAの同じ場所の録音に比べると
落ち着いた音に聞こえる。しかし、スケール感など不足はない。

第1楽章の冒頭はこけおどしでないスムーズな入り。
その後も当時流行っていたぎらぎらした感じはなく清らかで丁寧。
しかし奈落の音楽あたりから異様に熱気を帯びてくる。
そして没我に陥る手前で正気に戻る。しかし、目は異様な光を湛える。

第2楽章は独特な歌を持つ。これはオペラ的というかイタリアの感触。
原曲の歌曲を彷彿。テンポは抑揚の中で揺れる。

第3楽章も前楽章と同様の印象。ユーモアのセンスが光る。

第4楽章のアルトのマリリン・ホーンは声量豊かな素直な歌。

終楽章はシカゴの金管の威力を見せ付けられる。輝かしくも壮麗。
間然とするとこがない。この音響の整然とした凄さ。
ただし、アバドは熱狂はしていない。ただ、第1楽章同様、
スタジオ録音だが中途から乗ってくる。
これはテンポ速まりと連動しているようだ。
そして終結はまた壮大なのだがクールな目が戻ってくる。
冷静と情熱の間を彷徨う演奏だ。

20:47  10:03  10:33  5:08  34:31   計 81:02
演奏  A  録音 91点

マーラー 交響曲第2番 ストコフスキー(74)

2012.04.24 (Tue)
ストコフスキー復活
ストコフスキー/ロンドン交響楽団(74、RCA)は当時指揮者92歳。
彼は1921年に「復活」をアメリカで演奏して以来、何度も演奏しており
ライブも含めて3種類(63、67)の録音が残されている。
おそらく「復活」については史上最長のベテラン。
(録音回数はクレンペラー)
指揮者の頭の中では完全に自家薬籠中の曲。但し、棒がやや危うい。
しかし、全くだれずにこの大曲を振り通した指揮者に感服。

録音はウォルサムストウ・タウンホールでもともとはクァドラフォニック、
つまり4ch録音だがCD化するにあたりドルビーサラウンド2chにリマスターされている。
録音は左右明瞭に分かれ生々しく4chにありがちなぼけた感じはない。
各楽器の粒立ち良好。残響は少なめ。

第1楽章はゆったりしたテンポを取りながらおおらかに展開する。
表情は朴訥淡々とした好々爺の語り口。アンサンブルもやや緩い。
劇性を無茶苦茶強調しない。この曲では物足りないと言えば物足りないだろう。
第2楽章はポルタメントたっぷりの弦の左右の掛け合いが聴き所。
やることはやってます。
第3楽章はやや駆け足。そのためオケが急展開の棒についていけずに
スリルをかもし出す。それでもそれぞれのパートを時に浮かせたり
しながら独自性を出す。
第4楽章へはアタッカで入りファスベンダーのメゾソプラノが始まる。
指揮のテンポは微妙に揺れるが、巧い。
終楽章は導入部は駆け足でぶっきら棒とも言える吹奏。
ティンパニが半拍遅れるような打ち方が続く。
かなりカオスあるがそれでも音楽はいつのまにか復活する!
ソプラノのM・プライスも張り切っている。
荒れた合唱もなんだかと思うが、92歳の終結のエナジーの放射にはただひれ伏す。

23:09  10:15  9:53  4:08  33:18   計 80:43
演奏  翁   録音 89点

マーラー 交響曲第2番 クーベリック(69)

2011.03.25 (Fri)
クーベリック2
クーベリック/バイエルン放送交響楽団(69、DG)はボヘミアン野武士。
虚飾を排した率直な音楽。
録音はヘルクレスザールでスケール感は無いが適度な音場で誇張のない音。

第1楽章冒頭を聴くとやはりアメリカ系の瞬発力あるオケとは違う響きが覆う。
木質の質朴ながら重い塊りのような音。浮ついた派手さの無い男らしいどっしりした音。
音楽の進行は速めのテンポを基調に若干の伸縮を繰り返す。
劇性への執着は無いためドラマとしてみると物足りない。溜めも音量の極大化もない。
第2楽章は田舎に着いた時ののどかな気分と感傷がさりげなく表現。
第3楽章は対抗配置による弦の掛け合いが面白い。諧謔性に富み躍動感もある。
補助楽章として扱われるこの楽章だが多様な表現を持ちこんでいる。
第4楽章原光は派手にならず好ましい。
終楽章は31分と最速だ。ことに前半は駆け足。
スリムにさっぱりでなく、素朴に力強く速い。
この楽章の後半は徐々に感動の布石が散りばめられ巨大な音楽で大団円だが
クーベリックは敢えてそうした芝居を排除した。
先行するバーンスタイン/NY盤などへのアンチテーゼのようなつくりだ。
コテコテのこの曲のつくりに愛想を尽かすこともある私でも、
いざ聴くとなるともっと熱いものが欲しくなった。

19:36  10:32  10:06  4:56  31:02   計 76:12
演奏  A-   録音 88点
 | HOME |  Next »