クラシックCD聴き比べ ~ Classic CD Memos ~

クラシック音楽のCDを中心に演奏者への敬意を込めて、つたないメモを書いています。

Mahler Sym1 の記事一覧

マーラー 交響曲第1番 シモノフ(94)

2018.06.29 (Fri)
シモノフ巨人
シモノフ/ロイヤルフィル(94、RPO)はもっとも豪快。
ショルティなど足元にも及ばない。
ロイヤルPOの有名なブラスセクションとパーカッションが暴れまくる。
来るかなと思うところで期待を上回る威力で、来る。
tornados.jpg
第1楽章はまだいい。途中の木管もチャーミングな表情だ。
しかし終結は突っ込んでくる。

第2楽章は聴いたことがないほど暴力的。各楽器が好き放題に強奏。
そうかと思うと中間部はやたらにメロウ。

第3楽章はペットが入る辺りから怪しい雰囲気。

終楽章は・・・助けて耳が痛い。
開始しばらくは猛獣の格闘だ。途中ではペットとホルンが左右で言い合い。
ただ、この演奏の面白いのは弱音で冒頭の弦が戻ってくる場面。
各パートがしっかりディビジして、分裂した苦悩も表出している。

さて圧巻は終結部の突進。
2台のティンパニの掛け合いのなかどんどん加速。
普通は雄大さを演出するためテンポを遅くするが、この演奏は逆。
ばっさばっさと切り倒して終わる。巨大なトルネードによる破壊!
デリカシーがないだの言ってみても馬耳東風&暖簾に腕押し。

指揮者シモノフ(1941~)は逞しい音楽づくりでは定評がある。
Yuri_Simonov_-_3.jpg
そしてなんといってもこの演奏の立役者はロイヤルフィルだ。
このオケは一人だけ飛び出すのはよくないというルールがある。
ならばみんなで目立てばよい、となる(普通は逆ではないか?)。
とにかく通常聴こえない音が全部飛び出る。
その中でも際立つのがJ・ブライアント率いるホルンセクションだ。
(↓ドヤ顔の5人
  John Bimson, Hugh Seenan, Robert McIntosh, James Warburton, Jeff Bryant)
rpo-horns_20180628214438429.jpg
あなたたち、一体どうしたの?と聞きたくなる。
多分彼らは耳栓をしながら吹いているのではないだろうか。

以上、文句を言っているようなコメントになったが、大好きな演奏。
中途半端はよくない。

録音はロンドンのC.T.Sスタジオ。
音場の広さはそこそこだが、RPOシリーズは例によって切れが良い。
細部の音もよく聞こえる。

16:48  8:36  11:43  19:45   計 56:52
演奏   爆S    録音  94点

マーラー 交響曲第1番 小澤(87)

2018.06.28 (Thu)
ozawa 1 87
小沢征爾/ボストン交響楽団(87,PHILIPS)は小澤らしく端的端正。
表現に誇張や無駄な粘りが無い。

但し、フィリップスの録音のせいもあろうが全体が夢の中のような。
繊細な美しさは流石だが、ハリや現実的な力が弱くなった。
特に終結部のたぎるような情熱が少し薄れてしまった気がする。
旧盤の直裁な若武者が嵐の中に突っ込んでいく演奏が懐かしい。

なお、旧盤で収録されていた「花の章」は再録音の本盤では無い。

録音はボストン・シンフォニーホールでのセッション。
77年盤と同じ場所だがこちらはデジタル収録。
レーベルの音作りの差もありこちらの方がソフトフォーカス。

15:51  7:22  10:33  19:56   計 53:42
演奏 A-    録音  91点

マーラー 交響曲第1番 小澤(77)

2018.06.27 (Wed)
小澤1
小沢征爾/ボストン交響楽団(77、DG)はキラキラ清涼。私の好きな演奏。
小沢の資質はこの曲によくあっているのではないだろうか。

どんな時も爽やか。まったく癖がなく変なためやよどみがない。
繊細な歌心は表出されるが、胸を焦がすようなドロドロの表現は奥に仕舞われる。
そうした意味では全編青春の芳しさが覆う。
ただ優しさだけではない、青春の爆発も最後に用意されている。
終楽章の終結部のボストンのブラスの咆号は一世一代の大勝負。
この頃の小澤は良かったな、などと思ってしまう。
小澤1977

なお、ボストン交響楽団の充実も特筆だ。
弦の音色、全体のバランスなど当時北米ナンバー1ではないだろうか。

更に、この演奏には第2楽章として花の章がついているのが貴重。
初期のマーラーらしい歌謡性豊かなこの楽章は聴く価値がある。
但し、この交響曲の最終稿では削除されているので
参考として付録的に前後に置くほうが妥当なのかもしれない。

なお、このコンビは10年後に再録音しておりそれもよいが
若者らしいエナジーのあるこのDG盤の方が好み。

録音はボストン・シンフォニーでのセッション。
BSO hall
アナログだが完成期でリマスターもよく素晴らしい音。
低域を無理にとっていないのでトーンコントロールをいじれば
量感は増す。このホールの良さを感じさせてくれる音。

15:48   7:31  11:11  19:53  計 54:23+花の章5:53
演奏   A+   録音  90点

マーラー 交響曲第1番 レヴァイン (74)

2013.02.27 (Wed)
レヴァイン巨人
レヴァイン/ロンドン交響楽団(74、RCA)の若き日の記録。
今演奏するとどうなるのだろうか?
同じアメリカの指揮者でもバーンスタインとは全く違う音楽資質。

録音は、響きが適度でスッキリ明快。
演奏の方向性と同じなので受ける印象が増幅されるかもしれない。
リマスターはアナログのヒスを取り除くよりも鮮烈さを優先させている。

第1楽章冒頭の弦のフラジオレットは強い音で導入される。
その後の木管による囀りも明晰。陰りのなく隅々まで明るく
陽の光によって照らされている。音量が大きいと眩しすぎるくらいだ。

第2楽章は最初からその勢いに驚かされる。鋭角的に入る弦。
あいの手の金管も鋭い。レヴァインの唸りが炸裂する。
なんでこの楽章でこんなに力が入らなくてはいけないのか?
こんなに元気よくやれる潔さは、ある意味感心する。

第3楽章も冒頭からしっかりした足取り。
ティンパニをはじめとしたリズムセクションは強い音で刻み、
そこにメロディーラインがしっかり絡み乗る。
ステレオタイプの分かりやすさ。

終楽章も切れ味が良い。アクセントはとがったまま打ちこまれる。
ホルンの音の切り方も潔い。パーカッションも思い切り、短強打する。
しかし20分のこの楽章はそれだけではもてあます。
元気なはっきりさが、やはり音楽を単調にしたきらいは否めない。
最後はいけいけの加速で盛大な終結。

16:43  7:41  11:25  19:27   計 55:16
演奏  喧   録音 88点

マーラー 交響曲第1番 ナヌット(87)

2012.12.23 (Sun)
ナヌット15
ナヌット/リュプリャーナ放送交響楽団(87、PILZ)は田舎の巨人。
オケがこじんまりし、洗練されず。ローカル地方のコンサート。
しかし、期待値も高くないし、これ見よがしのところもなく好感は持てる。
そもそも若き日のマーラーはこのリュブリャーナで指揮をしていたというから、
この作曲家の頭にあった音はこのようなものであったかもしれない。
少なくともベルリンやシカゴのような強力なオケの音は知らなかったのだ。
廉価盤でお目にかかるこのCD(ウラジミール・ペトロショフ/フィルハーモニック・
フェスティバル・オーケストラとして売られているのも同じ演奏)は
中古なら100円か200円で買える。

録音は弱音時は不満はないが全奏時は平板な印象。音場はこじんまり。
帯域も狭い。

第1楽章はゆったりしたテンポで一貫し長閑な雰囲気。鳥の声もしっかり。

第2楽章は一転速めのテンポで素朴な弦が歌う。

第3楽章も鬱蒼とした盛りの雰囲気はないが、ストレートな表出。

終楽章はオケの非力さが流石に目立つ。
トランペットは音は落ちるわ、長い音は苦しそうだわ、ご愛嬌。
メジャーレーベルでは絶対耳にできない。
しかし、演奏自体は手抜きでなく共感を持っている。頑張っている。
最後の最後までスケールはでかくない。
なんだか学生オケを応援しているような気分になった。

16:31  7:10  10:02  19:29   計 53:12
演奏  B+   録音 86点
 | HOME |  Next »