クラシックCD聴き比べ ~ Classic CD Memos ~

演奏者への敬意を込めて、つたないメモを書いています。

Mahler Sym1 の記事一覧

マーラー 交響曲第1番 レヴァイン (74)

2013.02.27 (Wed)
レヴァイン巨人
レヴァイン/ロンドン交響楽団(74、RCA)の若き日の記録。
今演奏するとどうなるのだろうか?
同じアメリカの指揮者でもバーンスタインとは全く違う音楽資質。

録音は、響きが適度でスッキリ明快。
演奏の方向性と同じなので受ける印象が増幅されるかもしれない。
リマスターはアナログのヒスを取り除くよりも鮮烈さを優先させている。

第1楽章冒頭の弦のフラジオレットは強い音で導入される。
その後の木管による囀りも明晰。陰りのなく隅々まで明るく
陽の光によって照らされている。音量が大きいと眩しすぎるくらいだ。

第2楽章は最初からその勢いに驚かされる。鋭角的に入る弦。
あいの手の金管も鋭い。レヴァインの唸りが炸裂する。
なんでこの楽章でこんなに力が入らなくてはいけないのか?
こんなに元気よくやれる潔さは、ある意味感心する。

第3楽章も冒頭からしっかりした足取り。
ティンパニをはじめとしたリズムセクションは強い音で刻み、
そこにメロディーラインがしっかり絡み乗る。
ステレオタイプの分かりやすさ。

終楽章も切れ味が良い。アクセントはとがったまま打ちこまれる。
ホルンの音の切り方も潔い。パーカッションも思い切り、短強打する。
しかし20分のこの楽章はそれだけではもてあます。
元気なはっきりさが、やはり音楽を単調にしたきらいは否めない。
最後はいけいけの加速で盛大な終結。

16:43  7:41  11:25  19:27   計 55:16
演奏  喧   録音 88点

マーラー 交響曲第1番 ナヌット(87)

2012.12.23 (Sun)
ナヌット15
ナヌット/リュプリャーナ放送交響楽団(87、PILZ)は田舎の巨人。
オケがこじんまりし、洗練されず。ローカル地方のコンサート。
しかし、期待値も高くないし、これ見よがしのところもなく好感は持てる。
そもそも若き日のマーラーはこのリュブリャーナで指揮をしていたというから、
この作曲家の頭にあった音はこのようなものであったかもしれない。
少なくともベルリンやシカゴのような強力なオケの音は知らなかったのだ。
廉価盤でお目にかかるこのCD(ウラジミール・ペトロショフ/フィルハーモニック・
フェスティバル・オーケストラとして売られているのも同じ演奏)は
中古なら100円か200円で買える。

録音は弱音時は不満はないが全奏時は平板な印象。音場はこじんまり。
帯域も狭い。

第1楽章はゆったりしたテンポで一貫し長閑な雰囲気。鳥の声もしっかり。

第2楽章は一転速めのテンポで素朴な弦が歌う。

第3楽章も鬱蒼とした盛りの雰囲気はないが、ストレートな表出。

終楽章はオケの非力さが流石に目立つ。
トランペットは音は落ちるわ、長い音は苦しそうだわ、ご愛嬌。
メジャーレーベルでは絶対耳にできない。
しかし、演奏自体は手抜きでなく共感を持っている。頑張っている。
最後の最後までスケールはでかくない。
なんだか学生オケを応援しているような気分になった。

16:31  7:10  10:02  19:29   計 53:12
演奏  B+   録音 86点

マーラー 交響曲第1番 ムーティ(84)

2012.10.01 (Mon)
ムーティ巨人
ムーティ/フィラデルフィア管弦楽団(84、EMI)は予想通りこのオケの豪華な音を鳴らした演奏。
爽やかというよりオペラ系。
ムーティはマーラーをあまり振らないようだが南国のマーラー。

録音はフィラデルフィアのメモリアルホールでのデジタル・セッション。
この録音会場について解説では以下のように書かれている。
『かのチェリビダッケもその才能を認めた若き日のムーティには、
引退を考えていたオーマンディも惚れ込み、名門フィラデルフィア管弦楽団の
音楽監督というポストを継いでもらうだけでなく、録音会場として、
それまでよりもさらに美しい響きを獲得すべく、
市内のフェアマウント公園のバスケットボール・コートを、
レコーディング用の施設として使用できるよう私財を投げ打って
改装してもいました。その「メモリアル・ホール」から生まれた代表作が、
名高いレスピーギの『ローマ三部作』ですが、その9ヶ月前に
レコーディングされたのがこのマーラーの交響曲第1番となります。』
確かに、狭く詰まることなく華やかなサウンドに仕上がっている。

第1楽章の出だしから冷気に包まれた森の朝というより陽光降り注ぐ
暖かい芝生の公園という感じ。

第2楽章は弦が太く力強い。ゴージャス。

第3楽章あたりからやたら表情が濃厚になってくる。テンポがゆれる。

終楽章は最初の嵐が収まり静かになって歌い始める(3:28)あたりから
テンポを極端に落とし抑揚をつけながらねっとりと謳う。
青春の音楽というよりやや濃厚感あり。大見栄も切る。
おどろおどろしいまでの音作りだが深刻さはない。
大団円もこれでもか状態のドハデさ。
音の大洪水!まさにイタリアのグランドオペラを聴いているよう。

ムーティのマーラーはこれ以外にあるのだろうか?
もっと聴かせてほしい気がする。
16:29  7:20  11:44  20:42   計 56:15
演奏  燦A   録音 89点

マーラー 交響曲第1番 ドホナーニ(89)

2012.09.19 (Wed)
ドホナーニ巨人
ドホナーニ/クリーヴランド管弦楽団(89.DECCA)は純粋音響としての美。
この指揮者は巨人を得意としており演奏会でもよく取り上げる。
全体は端整淡白で爽やかさの表出に成功。
なお、この演奏の聴きどころは粒立つティンパニである。

録音はマソニック・オーディトリウムで強調や肥大化のないストレートな音作り。

第1楽章は凛とし抑制の効いた室内楽的響きで開始。音の純度が滅法高い。
各木管の絡みなど丁寧だ。弦の歌は杓子定規でなく清潔に歌う。
終結部など硬いバチでくっきり強打させていて爽快だ。
彼はクリーブランドOとの演奏では(ドボルザークの交響曲も同様)
ティンパニを粒立ち歯切れよく強打させるので音楽が引き締まる。

第2楽章はシンフォニックな再現。土着性はなく、推進力がある。
トリオもスキッと爽快。

第3楽章の葬送行進のティンパニは鼻に詰まったような音を出している。
これは92年の新校訂版の「消音して」を先取りしているかのようだ
(04のライブでは消音しているようには聴こえない)。
中間部のさすらう若人の歌ではテンポを落とし抑えながら歌っている。
弱音がビシッと決まる。

終楽章はこのオケの超然たる名技を味わう。
全く興奮していないのも、どうかと思うが余裕の演奏。歌も没我しない。
破綻のない均整。
最後は2台のティンパニの抜群の粒立ちを鑑賞しながら終結。

16:21  6:51  10:53  20:32   計 54:37
演奏  A   録音 91点

マーラー 交響曲第1番 ノイマン(79)

2012.09.04 (Tue)
ノイマン巨人旧
ノイマン/チェコフィル(79、SUPRAPHON)はボヘミアの自然と民謡交響曲。
この交響曲のもつ民族的な側面を醸し出す。
都会のオケとまるで音楽の表情が違うのだ。作って作れるものでない。
チェコフィルはこのころまだ、こんなにも独自だったのだと感じさせる。

録音はプラハ・芸術家の家ドヴォルザークホールでアナログ最終期の優秀録音。
広がりのあるホールをいっぱいに使い柔らかく抜けのいい音を出す。

第1楽章は朝の森の空気を大きく吸い込む。
東欧のホルンの響きがまどろみを表す。
膨らみある木管が起こすもビロードの弦がまだまだと応える。
トランペットはいい加減に起きろと催促。
11分過ぎにようやく起きた。
その瞬間から今度はしゃきっと。眩しく太陽は上っていた。

第2楽章、第3楽章はボヘミアの民謡であり踊りだ。
表情は自信に満ち独自のアクセントをもつ。
懐かしさを感じるのはなぜだろう。

終楽章冒頭は迫力があるが決してヒステリックに聴こえない。
一段落した後の弦の歌は素朴な表情をのぞかせる。
音色、しゃくりあげ・・・総体が独自のムードを醸し出す。
スケールは大きくなく心にしみじみとした苦さや酸っぱさを感じさせる。
最後も追い詰めずおおらかな賛歌。

12:57   8:25   10:37   18:25   計 50:24
演奏  民A   録音 91点
 | HOME |  Next »