クラシックCD聴き比べ ~ Classic CD Memos ~

クラシック音楽のCDを中心に演奏者への敬意を込めて、つたないメモを書いています。

Bruckner Sym7 の記事一覧

ブルックナー 交響曲第7番 ヴァント(99)

2012.12.27 (Thu)
ヴァント7BPO
ヴァント/ベルリンフィル(99、RCA)は悪かろうはずはない。
私はこの第7番は差が出にくい曲だと思う。
一定のオケでよい録音で録ればそこそこ上手くいく。
曲自体になかなか触りようがないからだ。
そこそこ、というのは後半2楽章は曲自体に限界があるから。
これは手の施しようがない。
しかし、思いきって言えば、ヴァントはこの曲に没入していない。
どこか冷めた目がある。前半2楽章にそれが出る。
しかし、終楽章はきっちり作り上げる。

録音はベルリン・フィルハーモニーでの3日間のライブから編集。
マスになりすぎず直接・間接音の塩梅は良い。

第1楽章はツボを押さえた演奏。ほとんど堂に入っている。
少し不満があるとすればまさに手慣れているところか?
心の初々しい高鳴りが感じられない。
ベルリンがインターナショナルな豪華な響き、というのもちょっぴり気になる。
カラヤンが日本でこの曲を振ったときほど
これ見よがしの派手さはないが。

第2楽章は旧録音よりテンポを速めに。表情はさっぱり。
手を抜いてる感はなく、ワンフレーズ毎に積み上げ前進する。
入念。でも、とてもクール。

第3楽章も流石にヴァントは能天気にしない。
落ち着いた展開でベルリンが余裕を持って鳴る。

終楽章は落ち着いたテンポで開始。
特に音符の少ない部分でテンポを落とし木管を中心に綺麗な音。
徐々に力感を強め金管がファンファーレ。
それに伴いテンポが上がり高揚感が増す。
上手くフィニッシュさせた。

21:06  21:44  10:33  13:14  計 66:37
演奏  A 録音 92点

ブルックナー 交響曲第7番 ハイティンク(07)

2012.12.09 (Sun)
ハイティンクブル7
ハイティンク/シカゴ交響楽団(07,CSO)はやはり素晴らしい。
オケがシカゴだからやや心配だったが、流石にハイティンクはしっかりコントロール。

録音はシカゴ・オーケストラホールでのライブ。鮮度の良いブレンド感のある音。
低域も十分だがライブの分だけ空間の音が吸収されている。

第1楽章の伸びやかでゆったりした運びはまさにハイティンク。
安心して聴いていられる。弦は目が詰んでおり金管も余裕の落ち着いた音。
しかし、この呼吸感は素晴らしいし、胸が高鳴る部分や寂しげになる部分の
表現の自然さ。コンセルトヘボウに比べるとやや明るめの色調だが、
弦など純朴さを持つ。

第2楽章もシカゴの弦が意外な女々しさを見せる。
これは歌と震えをハイティンクが要求しているから。
アムステルダムなら鬱蒼としたムードが自然に出るのだろうが、
シカゴでは出そうとしている。ここがこの盤の難しいところ。

第3楽章は浮つかず重厚な迫力をもつ。どっしりとした音響の美。
トリオはたっぷり歌う。

終楽章は流れは淀みないがスケールが大きい。もうほとんど堂に入った感じ。
この指揮者の貫禄が感じられる。この楽章で大事なブラスセクションも完璧。
終結にかけての高揚も素晴らしい。
ほとんど非の打ちどころのない演奏だが、音色の好みではいえばやはりACOかな。

21:33  22:26  10:30  13:01  計 67:30
演奏  A   録音 91点

ブルックナー 交響曲第7番 ヘレヴェッヘ(2004)

2012.11.19 (Mon)
ヘレヴェッヘ7
ヘレヴェッヘ/シャンゼリゼ管弦楽団(2004、harmonia mundi)のブルックナー第一弾。
ピリオド楽器団体が弦の活躍するこの曲を選んだのは分かる。
ある人にとっては肩すかし、ある人にとっては新発見のブルックナー。

録音はオランダ、ユトレヒト、フレデンブルグ音楽センターでのセッション。
焦点がぼけずに美しい響きを堪能させてくれる。ただ、金管がやや生硬に鳴る。

第1楽章冒頭はスーッと入り速めのテンポで抜けて行く。
ノンヴィヴラートでシルクのような音なのだが、もっとその美音に浸りたいという
欲求をさらりとかわす。少し味気ない。
第二主題が出るころにはテンポを遅めて弦と木管の絡みを綺麗に再現。
金管は明るい音色。しかし、総勢68人と編成が小さいこともあり軽量なのは否めない。
重くもたれる演奏はいいとは言えないが、奥行きの深さ表すにはもう一つ。

第2楽章もどちらかというと爽やか系。持ち前の弦の見せ場なのだが、
どうもフレーズに膨らみがなくのっぺりした感触。
演歌調にこぶしを回さないのは良いのだが、平坦。
この後の4番の録音ではそうしたことが改善されているのを知っているので、そう思う。
こうなると通常のオケの包容力が懐かしくなるが、この演奏そもそも方向性が違うのだ。
なお、ノヴァーク版によりながらクライマックスはシンバルは鳴らないのは見識。

第3楽章は軽やかで清々しい。カラヤンがベルリンフィルを使って度肝を抜いた
金管のファンファーレとは別の曲がここにある。

終楽章も平均的なテンポで流れるように進む。
ブラスの合奏も抑制されさらりとしたもの。アクセントもきつくない。
ここには交響曲のフィナーレを仰々しく飾らなければならないという気負いはない。
ある種洒脱なエスプリ感が漂う。
この楽章を苦心して大交響曲にしようとしてきた多くの指揮者にとっては、
このプーランクのような響きは目から鱗かもしれない。
力まない金管のハーモニーは美しい。
終結もためを作らずさらりとやってのける。
なるほどな。

ノヴァーク
18:14  20:19  9:15  11:51   計 59:39
演奏  妙A   録音 91点

ブルックナー 交響曲第7番 レーグナー(83)

2011.04.25 (Mon)
レーグナーブル7
レーグナー/ベルリン放送交響楽団(83、DS)はディスク上ではオーマンディに
次いで演奏時間が短い(このあと、演奏時間の短さではフランツやメストが続く)。
ただ、速いのだがこの人の場合、流麗さと意志がこもっているので充実感がある。
個々のパーツやフレーズを浮き上がらせるのでなくオケ一体の音楽が流れる。
録音はベルリン放送局大ホールは清涼系の美しい響き。

第1楽章はホールトーンも相まって滴るような美しさが絹のようにスルリとこぼれる。
プレートルも速いがこちらは一貫した流れの流麗さが
演奏時間に表れており不自然なところはない。
第2楽章はインテンポでさらさらと進む。18:47でかける。
シューリヒトの演奏と同じような感触。重ったるくない儚さ寂しさを感じさせる。
177小節目の打楽器追加もなく安心して聴ける。
第3楽章もド派手なことはなく一定の抑制を持つ。
終楽章もサクサク。最後はひと呼吸置いてこの曲を締める。

この第7番は「後半の耐えられない軽さ」が指揮者に立ちはだかる。
大交響曲として考えると前半に重点を置いて荘重にやりたくなるが
後半の軽さを考えるとレーグナーのようなバランスのとり方もある。
私は必要以上に大きく見せないこの指揮者のやり方をカッコいいと思う。

18:49  18:47  9:14  12:00  58:50
演奏  A   録音 89点

ブルックナー 交響曲第7番 プレートル(06)

2011.04.24 (Sun)
プレートルブル7
プレートル/ベルリン・ドイツ交響楽団(06、Weitblick)はやはり個性的。
このプレートルのやり方がブル7とどのようにマッチするのか否かが聴きどころ。
録音はベルリン・フィルハーモニーでのライブで放送用録音ぽい誇張のない素直な音。
金管が近いと感じるのはマイクのセッティングなのか演奏なのか?

第1楽章は18分を切るということで「猛スピード」と帯に書かれているが
聴感上はフレーズとフレーズの間が切り詰められていることによる
演奏時間の短さで全般のスピードが無茶苦茶に速いという印象ではない。
しかし、この間こそが従来のオルガン演奏を前提としたブルックナーの
演奏様式であったのだから、呼吸感の違うことに戸惑うことになる。
終結部のスタコラ加減には驚く。
第2楽章もアクセントを明確に置き前へ前へ進む健康的な音楽。
テンポの揺れもあり自由な表現だ。オケは分厚くそれを支えるので軽々しくならない。
しかしここまで深刻さに距離を置いた演奏は初めてだ。
後半のシンバルを伴う爆発も屈託ない。
第3楽章は元気に始まるが中間部ではテンポを落として濃密な歌。
非常な対比感。推進と爆発。第4楽章もリズミックな運動性がある。
ブラス群は頑張りオケに不足はない。終結も勢いに乗って終わる。

このCDはライブで拍手も収録されているがこれが面白い。
豪快に終わる場合は普通即座にブラヴォー嵐が来るものだが、
この演奏は拍手が始まるまで8秒くらいの間がある。
指揮者が最後のポーズを決めていたのかもしれないが、
聴衆もびっくりのうちに終わったからかもしれない。
私個人としては演奏の面白さは認めるが
深い感動に結び付かなかったことを記しておく。

17:51  21:44  9:19  11:07   計 60:01
演奏  個A-   録音 91点
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