クラシックCD聴き比べ ~ Classic CD Memos ~

演奏者への敬意を込めて、つたないメモを書いています。

Mahler Sym6 の記事一覧

マーラー 交響曲第6番 レヴァイン(77)

2014.12.07 (Sun)
レヴァイン6
レヴァイン/ロンドン交響楽団(77,RCA)は元気の出る悲劇的。
いまどきここまで豪快に音を放出する指揮者はいるだろうか。
1970年代はまだマーラーの黎明期だ。マーラーの音響特性を優秀録音で徹底的に
周知せしめる意欲。そうした点では、「坂の上の雲」ではないが、開花期の訳もない
明るさを感じる。それは今となっては眩い。
音響ではショルティも凄かったが、これは煌びやかさにおいてそれを上回る。

レヴァインはRCA時代にマーラーの交響曲を2、8番を除いて録音しているが、
そのうち1、6番がロンドン響とのもの。オケの選択の理由はわからないが、
レヴァインの個性はどのオケでもくっきり。

録音はロンドン・ウォルサムストウホールでのアナログ・セッション。
ホール全体を巧く鳴らしながら細部まで捉えられた優秀録音。
遠近感があり低域のパワー漲る音でRCA録音陣は英国でも
よい仕事をしている。CDリマスターもよい。

第1楽章行進のテンポは中庸ながら全体的に華やいだ雰囲気。
最初はアメリカのオケと思った。金管・太鼓系、木管までの鳴りは底抜けにいい。
特に大太鼓の空気感がナイス。スコアを健康的に鳴らしまくる。爽快だ。
テンポは一定でバーンスタインのような溜めはない。
中間部音が潜まる部分も各種音がしっかり明快。
しかしそれもつかの間、凶暴な嵐が再現される場面で(15:42)
全ての音を無慈悲にかき消すような地響きパーカッション。
なんというカロリー。草食系などくそくらえ。
フレーズの第一音にいちいち強音を置くため力感が伝わる。

第2楽章のスケルツォも鋭角的な表情でアクセントを強く刻印する。
ここでも全楽器が総力を出すよう指示されている。

第3楽章のアンダンテはこの時のレヴァインにとって厄介だったはず。
マーラー屈指の耽美楽章をどのように料理するか。
ここで彼はザッハリッヒを選んだ。ここまでのやり方を変えられない。
スコアをきっちり明確に鳴らす。
故にここで酔いたい聴衆にはほかの演奏を選ぶしかない。
歌い回しは相当強引で、無神経というほどの強い音を出す場面が頻発。

終楽章冒頭の爆音からして聴いたことがない。
一貫して強固なアクセントは随所で継続。
優秀な録音、中庸テンポ、副次楽器のクローズアップ、これらでよく聴こえ
発見もあり楽しい。お待ちかねのハンマーは高域成分を含んだ張り裂け音。
ただ各楽器の鳴らし方があまりにあっけらかんとしているので
この音楽の持つ凄味はあまり感じない。
バス成分(低弦、トロンボーン、大太鼓など)がブリブリ・ゴリゴリ・バリバリ
お構いなく鳴るのでとにかく豪放感満載。
最後、弱音から突如立ちあがるフォルティッシシモは
この曲を初めて聴く人にとって凶器。

22:38  13:40  15:06  30:02   計 81:26
演奏  煌A   録音  91点

マーラー 交響曲第6番 カラヤン(77)

2012.12.08 (Sat)
カラヤン悲劇的
カラヤン/ベルリンフィル(75・77、DG)は絶頂期のカラヤン。
小手先でない問答無用の凄味。カラヤンは「綺麗なだけ、中身がない」と
昔いわれたことはあるが、この演奏を聴いているとそんな言葉こそが虚しい。
このような演奏のできるコンビがいかほどあるのか?

録音はベルリン、フィルハーモニー。
音は比較的近く拡散しがちなこのホールの録音の中でも良い。
CDのリマスターもよくマス&パーツがバランスよく再現される。
セッション録音の良さが出る。アナログ最終期の優秀録音。

第1楽章冒頭の弦の刻みは、こちらの期待通り。
鋼のようなしなやかなのに強靭なアタック。テンポも少し前傾で引き締まる。
楽器のバランスが見事で統率感が気持ちいい。
正面突破で行くぞという覚悟のある音。また、それができる技術。
表情を変えず黙ってあたりをなぎ倒すこの凄味。
終結のドスとパンチには痺れる。

第2楽章のスケルツォも低重心で迫る。アクセント・ピチカートなども力感あり。
しかもうるさくない。

第3楽章は包み込むような優しさ。これまでの音楽との対比が激しく効果的。
こうなると、やはりアンダンテは第3楽章に持ってきた方がよい、と思ってしまう。
しかし、ただ優しいだけでなく男性的な逞しさも併せ持つ。

終楽章も以前だったらもう少し芝居っ気を出してほしいと思ったかもしれないが、
今はこの整然と突き進むこの迫力に負ける。
わめき散らし絶叫するタイプの演奏とは一線を画す。
テンポは一直線ではなく音符の少ないところでは溜めている。
どんな場面でも弾力性ある弦が威力を発揮。ゆえにラッパが飛び出し感がなく
浮つかない。音はトランペットというよりラッパなのだが・・・。
最後の最後までゆるがせにしない。安定感ありすぎるかもしれない。
しかし、それが生ぬるくない。
私はマーラー=バーンスタイン世代。遅れてきたカラヤンを胡散臭いとも思った
ものだが、完全にその思いは払拭されている。

22:20  13:24  17:10  30:03   計 82:57
演奏  S   録音 91点

マーラー 交響曲第6番 アブラヴァネル(74)

2012.11.04 (Sun)
アブラヴァネル5&6
アブラヴァネル/ユタ交響楽団(74、VANGUARD)は軽い悲劇的。
いや非・劇的という方がいいかも。

録音はソルト・レイクのモルモン礼拝堂ホール。
ヴァンガードの平板な音をややラウドネスかけて再生。
低域が軽いので凄みはない。

第1楽章の冒頭はスキップするような軽さを帯びている。
さらさらした足取りだが弦になよなよしたヴィヴラートが出るなど
面白い表情を持つ。テンポの変動はあるがどうもオケがついていけてない部分も散見。
田舎のアマチュアオケか高校のブラスバンドみたいな響き。
提示部の反復省略により17分台で終える。

第2楽章はスケルツォ。ポンポン音のティンパニに導かれすたこらさっさ。
ユーモラスでかわいい音楽だ。

第3楽章は室内楽のよう。このオケの編成は小規模なのかしら?

第4楽章もここまで恐ろしくないのも珍しい。
薄い音で迫力はなく、テンポも小気味よいので迫ってくる感じはない。
ハンマーも?という感じ。
まったく重くも暗くもない。
わが道を行く、だがやはりオケの精度や厚みのなさは再現に限界をもたらしている。

17:35  11:42  13:48  27:20   計 70:25
演奏  B+   録音 86点

マーラー 交響曲第6番 フィッシャー(05)

2012.10.02 (Tue)
フィッシャー6
イヴァン・フィッシャー/ブダペスト祝祭管弦楽団(2005,channelclassics)は
高次元で均整のとれた演奏。
注意深く聴くと多彩な表情が織り込まれていること、そして風貌も含め
パーヴォ・ヤルヴィと似たものを感じる指揮者だ。
この演奏は彼のマーラー初録音だが実演を重ねて練り上げられたもののようだ。

またこの指揮者によって1983年に設立されたこのオケは2008年、イギリスの
「グラモフォン」誌の世界オーケストラ・ランキングで第8位となるなど
急成長している。確かにこのCDを聴いていても弦をはじめとして
欧州調の良いオケだと思う。

録音はブダペストのPalace of Artsでのセッション。
自然で適切な音場、距離感。対抗配置もよくわかる。

第1楽章は迫力と抒情性をうまくミックス。
テンポは標準的だが、17分あたりの歌う場面になると途端に美しいメロディに
たっぷり時間をかける。

第2楽章はアンダンテ。この指揮者はこうした楽章が巧いのだろう。
少し潤んだしなやかな音楽がトロトロ流れる。

第3楽章はスケルツォだが荒々しくならず繊細な意匠が凝らされている。
フレーズや各楽器の表情の一つ一つに指示がいきわたる。
これほどこのスケルツォを入念に演奏したものを知らない。

終楽章も最初は慎重な歩みだが徐々に力感と立体感が目立つようになる。
あからさまな仕掛けでなく、少しずつ細工を積み上げる。
左右の弦の美しい掛け合い、金管のちょっとした突出。
どんな時も決して安易に流さない。力まない。
ハンマーに至る過程も周到(2回)。
緩急の振幅はあるがその変更が極めて自然。

と全曲聴き終わって感心するのだが頭で聴いてしまっている自分がいた。

22:23  13:43  12:52  29:23   計 78:21
演奏  A   録音 93点

マーラー 交響曲第6番 コンドラシン(78)

2012.09.30 (Sun)
コンドラシン6
コンドラシン/レニングラードフィル(78、Melodia)は指揮者亡命直前の演奏。
よってメロディアに残された彼のマーラーとしては最後の記録。
剛直果敢な演奏ながら彼が西に亘ってもやっていける柔軟性もうかがえる演奏。

録音はレニングラードでのアナログ・セッション。
メロディア時代LPに比べればリマスターがうまくいっており良好な音質。
残響は少なく直截的な音だが荒れた感じや飽和感はない。

第1楽章は弾むように始まりどんどん前進する。
低弦も頑張っているので軽くはならず軍隊の駆け足行進のようだ。
速いテンポで一気に行くかと思うと弱音部ではぐっと落として揺らぐ。
テンポの格差が大きい。
反復は省略しタッタカタッタカ行くのであっけなく終わってしまう。
ドラマとしての悲劇性は強くない。

第2楽章のスケルッツォも紋切り型のスピード。ロシアのオケが要所要所で絶叫。
テンポの緩急はここでもかなりの落差だがオケは良くついて行っている。

第3楽章のアンダンテの美感はイマイチ。
ロシアのオケも60年代以前に比べると柔軟になってきたが、
引きつるような強引なメロディの歌わせ方は残る。

終楽章も前のめりな速さ。
この楽章だけでテンシュテットやバーンスタインやシノーポリより10分近く短い。
演奏の方向性がこれらとはまるで違うことは容易に想像できよう。
オケはこのテンポで良くやっているが、速すぎて凄味が出ない憾みがある。
ハンマーがどこで鳴ったかもわからず。
アクロバティックな面白さはあるが・・・。

16:20  11:43  12:40  24:40   計 65:23
演奏  速   録音 86点
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