クラシックCD聴き比べ ~ Classic CD Memos ~

演奏者への敬意を込めて、つたないメモを書いています。

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フィールド ピアノ協奏曲 第4番

2016.03.13 (Sun)
john-field.jpg
ジョン・フィールドのピアノ協奏曲第4番も今までのこの作曲家の音楽の延長である。
3楽章形式だが第2楽章が短く編成も小さい。
正妻と愛人問題に揺れていた時期に書かれた?音楽とは思えない端正さだ。
全編通して分かりやすくチャーミング。真剣に向き合うより気軽に接する音楽。

第1楽章は何とも優美な序奏で始まる。
この曲はそよ風さざ波のような音楽が続く。
ピアノは猛烈な自己主張をすることなく蝶のようにひらひらと舞う。

第2楽章はシチリアーノだがノクターンの雰囲気を持つ。
ほぼピアノ・ソロによる音楽。

終楽章のアレグレットも優美の極み。
愛らしく軽やかなメロディが頬を撫でる。

全曲を聴き終えて一体この曲は第何番だったのかと思うほど記憶に残らない、
しかし聴いているときは、ほのかに心地よい音楽。
不思議な作曲家だ。
私にとってはショパンのようにねっとりしていないのがありがたい。

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演奏はここでもオローク盤(1994)が綺麗だ。
オローク(p) バーメルト ロンドン・モーツァルト・プレイヤーズ
17:34  4:19  11:45   計 33:38

レスターニ全集
レスターニ盤(2007)は室内楽的な響きがしてゆったりきっちり。
レスターニ(p) グィダリーニ ニース・フィル
18:34  3:19  12:55   計 34:48

フリス24
フリス盤(1996)はピアノに少し繊細さが欲しくなる。
フリス(p)   ハスラム  ノーザン・シンフォニア
17:54  3:23  12:04   計 33:21

オコーナー全集
オコーナー盤(1982)は洗練さではオロークに一歩譲るが
真面目で好感が持てる。
オコーナー(p) フルスト ニューアイリッシュ室内管
16:38  3:52  11:14   計 31:44

フィールド ピアノ協奏曲 第3番

2016.02.29 (Mon)
field2.jpg
ジョン・フィールドのピアノ協奏曲第3番は2楽章で書かれている。
第1番のところであげた吉川絢子氏の研究論文にあるが、そもそも「協奏曲」が
3楽章制を採るということは当時のマストではなかったようだ。第7番も楽章が二つ。
その他の曲も緩徐楽章の比重はやたら軽い。
冒頭楽章と結尾楽章の箸休めのような位置づけだ。

フィールドのピアノ協奏曲における小節数は下記の通り(吉川氏論文より)
第1番  284  48  327
第2番  504  58  603
第3番  483  -  422
第4番  402  59  575
第5番  564  38  340
第6番  561  75  269
第7番  576  -  750

フィールドの緩徐楽章はノクターン風であり転用も多い。
彼自身「ピアノのためにアダージョを書くなんて馬鹿だ」と言ったという話もあり
軽んじていた。意味不明な発言だが事実ピアノ協奏曲においては軽視され、
並行して沢山書かれたノクターンが生まれた。
きっと協奏曲とピアノ独奏小品を分けて考えていたのだろう。

フィールドのピアノ協奏曲を聴いてみると前後楽章に技巧をひけらかすカデンツァ
というよりノクターン的要素の強いソロパートがちょくちょく登場するので
全体としては抒情不足はない。

ただ、そうはいっても習性として緩徐楽章が欲しくなる。
実際フィールドはこの第3番の演奏に際して、自身のノクターンにオケの伴奏を
付けたものを挿入していたというからその自覚はあったのだろう。
当方保有CD盤も適宜ノクターンを挟んでいるものが多い。

全体の楽想は、適度にメロディアス、適度にはつらつ。
堂々感は増しているが、ドカンと驚かすようなことがなく節度があるのが良い。

終楽章のロンドの主題など聴きおぼえがある。
そうショパンのピアノ協奏曲第1番の第3楽章だ。
後輩ショパンは完全にぱくっているな、とニヤリとする。
で、私はフィールドの方が好きだ。
ショパンのあのロマン派特有の鬱蒼とした重さはなく、ハイドンのような軽さだ。
そして品がある。そこが良いのだ。

当方保有盤は下記。
① 1982  オコーナー (p)   フルスト  ニューアイリッシュ室内管
オコーナー全集

② 1994  オローク(p)     バーメルト  ロンドン・モーツァルト・プレイヤーズ
オローク35

③ 1996  フリス(p)       ハスラム  ノーザン・シンフォニア
フリス13

④ 1998  シュタイアー(p)  スターン  コンチェルト・ケルン
シュタイアー23

⑤ 2007  レスターニ(p)   グィダリーニ  ニース・フィル
レスターニ全集

演奏は④のシュタイアー盤がピアノフォルテを使用したピリオド演奏。
この演奏は溌溂感が一番あり明るくハイドンを思わせる。
またこの盤は第2楽章としてノクターン第2番ハ短調を代用している。
ソロによる静かな気配は心を落ち着かせるばかりか次のロンド楽章を際立たせる。

⑤のレスターニ盤は同じくノクターンの第2番を採用しているが
こちらはモダン楽器による演奏。
全体にテンポがゆったりしているので38分ほどかかる
シュタイアーが30分そこそだから印象は異なる。
とてもロマンティックだが小編成なので重くなることはない。

一方、①オコーナー盤と②オローク盤はフィールド自身が実演で採用したと
言われえるノクターン第5番変ロ長調をオケの伴奏つき編曲で入れている。
これがまた非常に綺麗で効果がある。

①はリリシズムに富む演奏。終楽章は序奏をカットしていきなり始まる。
この全集は3枚に全7曲を詰め込んでいるので編集したのか?
②は相変わらず綺麗な仕上がり。

③フリス盤は潔く緩徐楽章を挿入せず2楽章のまま。
ピアノがころころ切れがあり爽快だ。

① 17:03  4:42  9:27    計 31:12
② 16:37  3:44  12:03   計 32:24
③ 17:52  -   13:06   計 30:58
④ 14:49  3:48  11:36   計 30:13
⑤ 18:31  5:04  14:19   計 37:54

フィールド ピアノ協奏曲 第2番

2016.02.28 (Sun)
John-Fleld.jpg
ジョン・フィールドの協奏曲第2番は彼の協奏曲の中で人気のある曲だそうだ。
作曲年は明確ではなく第3番とどちらが先なのかもわからないが、
ロシアに拠点を移し自由の身になってモテ期到来の時期の作品。

第1楽章冒頭で惹きこまれる。掴みが良い。
少し憂いを帯び切なくなるメロディがいきなり飛び出す。
モーツァルトのピアノ協奏曲第23番や第27番が好きな人なら気に入るはず。
ショパンと違って、それほど感傷に浸りきらないところがフィールドの軽やかさ。
途中でノクターンのような動きが見られたりと20分近いこの楽章は彷徨う。
ソナタ形式だが長丁場を乗り切るには散漫な感じがするが、
冒頭のメロディが時々帰ってくると嬉しくなる。

第2楽章はポコ・アダージョの短いがセレナーデ。
とつとつと歌うピアノを優しく包む弦が綺麗。

第3楽章は生き生きしたモデラート。
最終楽章だからと言って叩きつけるような劇性はない。
軽やかにチャーミングに走る。市井の幸せを感じさせてくれる。

当方保有盤は以下の通り。
① 1982  オコーナー(p)    フルスト指揮 ニューアイリッシュ室内管
オコーナー全集

② 1994  オローク(p)     バーメルト指揮 ロンドン・モーツァルト・プレイヤーズ
オローク12

③ 1996  フリス(p)       ハスラム指揮 ノーザン・シンフォニア
フリス24

④ 1998  シュタイアー(p)   スターン指揮 コンチェルト・ケルン
シュタイアー23

⑤ 2007  レスターニ(p)    グィダリーニ指揮 ニース・フィル
レスターニ全集

この中では④シュタイアー盤が1802年ジョン・ブロードウッド製のピアノフォルテによる演奏。
鄙びた音だが明快で図太い。コンチェルト・ケルンも速めのテンポでダイナミック。
フィールドというとメロウな印象を持つがそれを覆す様な明快な演奏。
一方、癒し系フィールドを求めるならば少しこれは元気が良すぎるかもしれない。

現代ピアノを使った演奏では
②オロークのシャンドス盤が一番豊饒でロマンティックだ。
極めてデリケートなピアノであり伴奏である。
また録音会場であるダブリン近郊のHowth城のシルキートーンも寄与している。
howth-castle.jpg
①オコーナーは爽やかで軽やか、
③フリスは地味だが着実、
⑤のグィダーリは小型で素朴感がある。
どの演奏も作品を味わうには過不足ないがやはり②が一つ抜けている。

① 19:29  3:58  11:43  計 35:10
② 19:18  4:20  11:40  計 35:18
③ 19:09  4:03  11:35  計 34:47
④ 17:12  3:43  10:29  計 31:24
⑤ 20:43  3:49  12:26  計 36:58

フィールド ピアノ協奏曲 第1番

2016.02.27 (Sat)
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ジョン・フィールド(1782~1832)は、
ハイドン(1732~1809)モーツァルト(1756~91)ベートーベン(1770~1827)より若いが
生きた時代は重なり、パガニーニ(1782~1840)とほぼ同時期の作曲家。
影響を与えたショパン(1810~49)より30歳近く先輩となる。

専ら「ノクターン」の創始者として知られるが彼の作った7つのピアノ協奏曲は
ロマン派初期の慎ましい佳品。
私はショパンのピアノ協奏曲より、フィールドのそれが(彼もピアノの名手であったが
全くそれを誇示することなく)ひっそり咲く花のようで好ましく感じる。
ピアノも管弦楽も押しつけがましくない。

裏を返せば、コンサートで映えるような華々しさがないので忘れられた存在になるのだろう。
しかし、今はパーソナルに音楽を愉しむことができる時代。ゆったり気分で流すにはよい。
たまたまネットで現在ピアニストの吉川絢子氏の素晴らしい学士取得論文
「ジョン・フィールドのピアノ協奏曲研究」を拝見したのでそれも参考に記してみたい。

<ジョン・フィールドの生涯>
上記論文によれば3期に分けられる。

1782年から1792年(幼少期):
アイルランドのダブリンで音楽家系に生まれ小さいときからピアノの特訓を受ける。

1793年から1802年(少年期):
ロンドンに一家が越し、そこで作曲家兼ピアノ販売者であったクレメンティ(1752~1832)のもとで
習いつつピアノセールスのためのデモ演奏を行う。

1803年~37年(青年期から晩年):
巡業先のロシアが拠点。20から30代はピアニスト兼作曲家として成功するも、
40から50半ばで亡くなるまでは、酒と直腸癌で不遇をかこった。

ピアノ協奏曲第1番を除く6曲は1810から1822ごろの人生の絶頂期に作曲された。
しかしこの時期は私生活も既に混乱していた。
1810年にピアノの弟子のペシュロン嬢と結婚するも衝突が絶えず、
1812年ころから妻の友人のシャルパンティエ嬢とも親密になり1815年に息子レオンができた。
一方、正妻との間にも1819年息子アドリアンが生まれた。
現在の倫理観からすればいかがなものかだが、当時は大らかだったのか。
彼の救いは晩年はそれぞれの息子に支えられたとのこと。めでたしめでたし。

<ピアノ協奏曲第1番>
少年期17歳のとき、クレメンティの配下にあった時に作曲・初演されて好評を博した。
3楽章形式で20分程度の小品。成人してからの第2番以降の作品に比べモーツァルト的。
若書きだが肩の力の抜けた魅力的な曲。
第1楽章はオケの少し堂々としかつ愛らしい提示部に続いてピアノが登場するのだが
なんだかサロンでお茶を飲んでいるような雰囲気。
第2楽章は当時流行ったスコッチ歌謡のメロディを採った親しみやすいもの。ほぼピアノ主体。
第3楽章は冒頭にバグパイプの音型がでてキャッチーだが、その後はカッコウのモチーフが随所に出てくる。

<私の保有盤>
録音順に

①1982  オコーナー(p)  フルスト指揮 ニューアイリッシュ室内管
オコーナー全集

②1994  オローク(p)   バーメルト指揮 ロンドン・モーツァルト・プレイヤーズ
オローク12

③1996  フリス(p)     ハスラム指揮 ノーザン・シンフォニア
フリス13

④2007  レスターニ(p)  グィダリーニ指揮 ニース・フィル
レスターニ全集

曲自体が愛らしいもので技巧的にも超絶的なものはどこにもないので
どの盤も楽しめる。それぞれの録音も相応であり問題ない。
あえて言えばアイルランドのピアニストである①オコーナー②オロークが好きかな。
④のレスターニはテンポをゆったりとっているのが特色。

① 8:44  6:44  4:58   計 20:26
② 9:08  6:07  4:54   計 20:09
③ 9:04  6:28  5:04   計 20:36
④ 9:46  6:57  5:10   計 21:53

J・アダムス ショート・ライド・イン・ア・ファスト・マシン  エルダー(02)

2015.01.06 (Tue)
アダムスBBC
エルダー/BBCウェールズ管弦楽団(94、BBC)はイギリスらしい演奏。
指揮者のエルダーは英国中堅指揮者。オケはロンドンではなくウェールズのオケ。
メジャーな演奏者ではないがブラスの活躍するこの曲は
バンドの国で定番になっていることを感じさせる。

録音はロンドンから南東250キロのウェールズの首都カーディフにある
セント・デイヴィットホールでのライブ。BBCの録音らしくライブながら全く問題ない。
但し、セッションとは違う放送局の録音なので細部や効果面ではほどほどだ。
距離がややある。

演奏はライブだが極めて音楽的で安定感がある。
スピードにもきちんと乗りパーカッションも効果も良い。
問題は録音がやや奥まっているため迫真の効果が薄いこと。
音量を上げて聴けばかなり良い演奏であることが分かる。

4:33
演奏  A   録音 89点
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