クラシックCD聴き比べ ~ Classic CD Memos ~

クラシック音楽のCDを中心に演奏者への敬意を込めて、つたないメモを書いています。

Sibelius Vn con の記事一覧

シベリウス ヴァイオリン協奏曲 ハーン(2007)

2017.01.24 (Tue)
ハーンvncon
ハーン(Vn)/サロネン/スウェーデン放送交響楽団(2007、DG)は
安定した繊細。派手ではないが惹きこまれた。

ヒラリー・ハーン(1979~)
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はクールな雰囲気から線の細い演奏を想像したがそうではない。

この曲の半分を占める第1楽章がなんといっても聴きもの。
落ち着いたテンポで実に入念。正面から取り組みしっかり弾ききる。
奇抜なところはなく感情の表出は抑制的。それでいて惹きこまれるのはなぜか。
このヴァイオリンの音色に独自の魅力がある。
続く楽章も同じ印象。粘り気があるわけでなく安定している。

ハーンは、最初この協奏曲を理解できなかったと記している。
そしてコンサートで何回か演奏した後この人気曲といったん遠ざかったと。
20代後半になりようやくこの曲の
『精妙でノスタルジックな美しさに希望が絡み合っている』
ことに気づき見直しこの録音になった。
この客観化が没入的で心の震えを表出するのでなく、
もっと逞しい正面突破の演奏につながったのではないか。

なお、サロネンのバックも細やかかつ包容力があり素晴らしい。
見守り丁寧に支え、深みも見せる。こちらは大人の男だ。
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録音はスウェーデン放送のベルワルドホールでのセッション。
Berwald03.jpg
低域から高域まで癖のないしっかり安定した音。
量感、伸びなど申し分ない。
北欧のオケだからと言って寒々しい音ではない。 

17:19  8:35  7:16   計 33:10
演奏   A+    録音  95点

シベリウス ヴァイオリン協奏曲 ハーン(07)

2013.04.02 (Tue)
シベリウスvnハーン
ハーン/サロネン/スウェーデン放送交響楽団(07、DG)は恐れ入った。
極めてスケールの大きな堂々とした演奏。
北欧の寂しげな一ヴァイオリン協奏曲ではなく大曲仕立てだ。
ソロは若い女性なのに線の細さが微塵もない。
オケも単純なサポートではなく意志を持って引き立てる。
全体がまったく女々しくない。

しかし、これは個人的好みだが私はある程度女々しいのが好き。
折れそうな心、それに耐える。
そんな風情がこの曲には似合う、と思う。
この演奏は強い。女性は強い。

録音はストックホルム・ベルワルドホールでのセッション。
ソロが中心にオケが広く展開。
実演ではなかなか取れない最高のポジションで最高の演奏を聴く。

第1楽章は遅いテンポでヴァイオリンが歌い始める。
逞しい。王道を行くようだ。それを受けるオケも悠然と包む。
そして、ソロがまたじわっと歌う。間然とするとこがない。
オケがしっかりとしたアクセントで意味をつける。
カデンツァの表情の深さはハーンのこの曲への心酔をうかがわせる。
一瞬たりとも流さず入念濃厚。これが28歳とは恐れ入る。

第2楽章も太く進む。オケもここぞという時は力感が溢れる。
立派。立派すぎないか!

終楽章の死の舞踏も完璧にこなす。まったく苦しくも危なげもない。
安心して身を任す。なんと自信と力に満ちた音楽なのだ。
好みはともかく、聴き終ったあとの晴々しい充実感を味わえる。

17:19  8:35  7:16   計 33:10
演奏  A+   録音 94点

シベリウス ヴァイオリン協奏曲 クーレンカンプ(43)

2011.04.05 (Tue)
クーレンカンプs
クーレンカンプ/フルトヴェングラー/ベルリンフィル(43,EMI)はこのサイトを見た方から
お勧めのあったもの。珍しいフルトヴェングラーのシベリウス。
しかし、ここではクーレンカンプの凄さに惹かれた。
録音はベルリンでのライブ録音。43年ライブとしてはしっかりソロが捉えられ聴ける。
オケはさすがに平べったい。

第1楽章冒頭から豊かでロマンティックなヴァイオリンは聴かせる。
随所に現われるポルタメントも切ない思いを掻き立てる。
凛としたクールな音ではなく連綿とした感情が吐露される。あくまで主体はヴァイオリン。
しかし、オケもテンポを柔軟に動かし大きな柄。さすがフルトヴェングラー。
第2楽章もヴァイオリンに聴き入る。
音程が怪しい場面がないわけではないが情念の濃さは伝わる。
終楽章も独自のアクセントを駆使して非常に多彩な要素。
第1楽章とは違いこちらでのソロは男性的逞しさが印象的。
終結はオケの豪快なフォルテがベルリンらしい。
録音の古さは否めないし北欧的でもないが
ソロ、指揮者ともに今では絶えて廃れた貴重なロマン的演奏様式だ。
聴けてよかった。

15:13  7:52  7:24   計 30:29
演奏  貴   録音 73点

シベリウス ヴァイオリン協奏曲 ダーメン(52)

2011.01.16 (Sun)
ダーメンベイヌムシベvn
ダーメン/ベイヌム/ロンドンPO(52、DECCA)のソロはオランダ人で戦前ベルリンフィル、
戦後はコンセルトヘボウの主席だった人。ベイヌムとは近かったのだろうか。
このコンビの演奏は極めて特徴的。繊細さや北欧の抒情については別の演奏に任せている。
骨太で率直。粗いわけではない。
録音はキングスウエイホールでヴァイオリンが前面に出てオケが奥にある
典型的な以前の協奏曲録音。モノラルながら鮮明にソロが聴こえる。

第1楽章からソロ・指揮者の方向性が同じことが確認される。
速めのテンポで直裁、ここ一番では剛毅。この時代、もっとあまーく歌う人が多かったと
思うがダーメンは男っぽい。テクニックは申し分なく曖昧さはどこにもない。
またあいの手のオケがベイヌムのむち打ちよろしく豪快で潔い。
王道を堂々と進むヴィルトゥオーソ型演奏は気持ちいい。
第2楽章も流麗とは言い難いが何か迫ってくる音楽。
終楽章のオケは実にソフトでテンポは落ち着いている。
ヴァイオリンはひたすら真面目に音を出すが、オケは極力目立たないように進むが、
リズムは四角くドイツ風。第1楽章は豪快さもあったがこの楽章のヴァイオリンは
ひたすら誠実に音楽を紡ぐ。この姿が気持ちいい。

14:50  7:22  7:55   計 30:07
演奏  剛→誠   録音 77点


シベリウス ヴァイオリン協奏曲 コルサコフ(79)

2011.01.14 (Fri)
フェドセーエフシベ2
コルサルコフ/フェドセーエフ/チャイコフスキー交響楽団(79、Vista Vera)は
独自の濃厚表現。オケはこの曲では交響曲第2番のような爆演は期待できない。
録音の鮮度は良いのだが付帯ノイズやヘンテコ位相が微妙に付きまとう。
フォルテでダンゴ状態のライブ録音。

第1楽章のヴァイオリンソロは切れ味鋭く率直。音は太くヴィオラを聴いているような。
伴奏オケはもっさり時に爆発。
第2楽章もヴィヴラートかけまくりの図太いヴァイオリンにねっとりしたオケがかぶさる。
終楽章は速いテンポでもっこりしたオケのダンスが心地よい。
ヴァイオリンは実演らしく音が危なかったりするが独自の熱気を発する。
オケもヴァイオリンも自発性の塊りで巧く合わせようという感じでないが
それがスリルを生む。拍手はいまいち。

15:07  8:28  6:56   計 30:31
演奏  B   録音 84点
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