クラシックCD聴き比べ ~ Classic CD Memos ~

クラシック音楽のCDを中心に演奏者への敬意を込めて、つたないメモを書いています。

Sibelius Sym5 の記事一覧

シベリウス 交響曲第5番 ギブソン(82)

2017.01.16 (Mon)
gibson45.jpg
ギブソン/ロイヤル・スコティッシュナショナル管弦楽団(82、CHANDOS)は潔く率直。
如何にもこの指揮者の特質が表れた演奏。

ギブソン(Alexander Gibson CBE, 1926~95年)はスコットランド出身でシベリウス・メダルを
medaille-sibelius.jpg
獲得するなど英国でのシベリウス受容を継承する名指揮者。
シャンドスがデジタル初期にこの指揮者にシベリウスを託したのは正解。
ギブソン手兵とのこのシベリウス全集は代表作となった
(第5番に関しては1959年のLSOとのDECCA録音があったので再録音)。

テンポは全編速くそっけないくらいの29分。
しかし凍てつく寒さと意志が表れる。スパッと本質に切り込む潔い表現に男を感じる。
甘さやロマンをカットしているので大人向き。
gibson_20170115092016ca8.jpg

録音はグラスゴーの本拠地SNOセンターでのセッション。
拡がり感も十分でヒンヤリした空気感はこの曲に合致。

12:36  7:39  8:55   計 29:10
演奏   A+    録音  91点

シベリウス 交響曲第5番 N・ヤルヴィ(2002)

2016.01.07 (Thu)
Nヤルヴィシベリウス新盤
N・ヤルヴィ/エーテボリ交響楽団(2002、DG)は直截溌剌。
ネーメは全く老いを感じさせない。
音楽は若々しく円熟という言葉を使うのもどうかなと思う。
カムの奥深さや、ヴォルメルの幻想感はなく、はっきりくっきり。
新全集はBISの旧全集に比べてテンポが遅くなっているが、
この5番は僅かに速くなっているのが特徴的。

第1楽章は輝かしい音が漲り進行。テンポは慌てず騒がずのインテンポ。
弦の刻みが非常に克明なのが印象的。

第2楽章も音は立っており枯れていない。

終楽章も気持ち良い。ブラス群の切れ味がいい終結部では歌うのだが、
ネーメらしくトロトロにならず生硬な歌い回し。シャイなのだ。
最後はビシッと決める。
後に残るものが多いかといわれると疑問だが、
良い音でシャキッとした演奏を聴くのは気持ちいい。

録音はエーテボリ、コンセルトフセットでのセッション。
鮮度は流石に高くBIS旧盤を上回る。
この名ホールの適度な響きを纏うも明快な音が鳴り実に気持ちいい。
やや高域成分が多いが詰まりはなく伸びも申し分ない。

13:46  8:57  9:18   計 32:01
演奏   A+     録音  95点

シベリウス 交響曲第5番(初稿版) カム(2014)

2015.12.01 (Tue)
sibelius150.jpg
カム/ラハティ交響楽団(2014、classiclive)はCDではない。

カム/ラハティ交響楽団のシベリウス・サイクルの興奮冷めやらぬ、私にとって
驚くべき発見があったので、まだご覧でない方に紹介したい。

「sibelius 150」 と検索したら出てきたサイト
http://www.classiclive.com/sibelius

ここに2014シベリウス・フェスティバルや2015の公演がアップされている。
ほとんどが、カム/ラハティ交響楽団の演奏で無料で視聴できるのだが
この内容が凄い!

・交響曲第5番はオリジナル・ヴァージョン

・交響曲第3番の第2楽章は聴いたこともない版

・ヴァイオリン協奏曲は初稿

・フィンランディアは、原曲と合唱付き版
などなど20曲+アンコール。

このページ上には淡々と曲目が表記されているが
あけて”びっくりぽん”の連続。
とにかく(Orignal Version)のオンパレード。
まだ全部を見ていないのだが唖然とする。

異稿版の演奏は手探り感のある面もあるが、
聴きたいと願っていたカムの第5番オリジナルヴァージョンが
あったのが何より。
ヴァンスカのCDでしか聴いたことがなかったものが
別の演奏で聴けるのはありがたい。
演奏内容は、ホントにカムらしい・・・。

また、第3番の第2楽章の「ドラフト・ヴァージョン」は
その存在すら知らなかった!
これは、ヴァンスカの全集にも含まれていなかったはず。
突然チャイコフスキーメロディが乱入するような展開も。

このサイトがいつまでオープンになっているのか
分からないが、これは堪能したい。

シベリウス 交響曲第5番 ヴァンスカ(2011)

2015.11.29 (Sun)
ヴァンスカ25ミネソタ
ヴァンスカ/ミネソタ管弦楽団(2011、BIS)は充実の極み。
ヴァンスカに時にみられる特徴的な部分はなく、正攻法で極めて完成度が高い。
旧盤のラハティ響もよかったが新盤は録音が更によくスケールが大きくなった。
また、対向配置を採用しているので、第1ヴァイオリンの相槌をうつ第2バイオリンの
効果がよくわかるのも新たな発見(劇的な掛け合いや対抗することはないが)。

解釈にいじくりはなくヴァンスカらしいスピード感が輝かしさ付与する。
そうした意味ではカムとはまた違うが、カムの方が独自なのだと思う。
カムは「鶴のいる風景」が見えるがヴァンスカはピュアな音楽が聳える。

第1楽章冒頭の空気感に接すると旧盤やカム/ラハティ盤と違うことが分かる。
ホールとオケの差もあり豊饒な音。
アレグロ移行し楽章終結に向かう輝きにも安定感があ。

第2楽章の淀みないテンポ感の中で丁寧な歌。

終楽章の疾走、ラガメンテに入っての高揚言うことない。
弦楽部門の精緻な合奏能力に驚かされるし、解像度の高い録音の恩恵を感じる。
終結は感動だ。

録音はミネアポリス・オーケストラホールでのセッション。
ホールトーンは美しく拡がりがある。SACDの威力もあり空気感がよい。
それはクールではなく少し暖かい。
ヴァンスカのBIS録音もニールセンでは残念だったが
ここでは今聴きうる最高峰の音がある。
思えばミネソタ管弦楽団は大植英二の時にリファレンスレコーディングスの
HDCD技術で最高の録音の数々を残している。
BIS録音陣も同じホールを遣うのでそのベンチマークを越えようとしたに違いない。
MNOrchOrchHallHelgeson460_201511291217547f4.jpg
(↓独自の反響板をもつミネアポリス・ホール)
ミネアポリスホール

13:13  8:35  8:54   計 30:42
演奏  S    録音 97点

シベリウス 交響曲第5番 ストゥールゴールズ(2013)

2015.10.29 (Thu)
ストゥールゴールズ全集
ストゥールズゴールズ/BBCフィル(2013、CHANDOS)は力感溢れる独自の音響構造。
幻想性や情景描写ではなく一度音を客体化し積み重ねる。そして底流に力が漲る。

第1楽章はインテンポで無表情に進む。
7分も過ぎると徐々に金管にうねりが出る。弦の圧は強まりアレグロ・モデラートへと突入。
喜ばしく晴れやかに進行しながら徐々に鋼鉄の筋肉が現れ金管の重層的強奏の中閉じる。

第2楽章は単なるアンダンテではなく木霊に様に棒状の音型を積み上げる。
かなりの力感を示す。優しさよりも緊張感がある。

終楽章も意志的。
この楽章は弦の刻みが疾走するが、それぞれのパートが適宜隆起沈降を繰り返す。
そして強靭な終結はカムの行き方とまるで違うが、その壮大さは圧巻。
最後のティンパニは硬く決まる。

録音はサルフォード・メディアシティでのセッション。
やや無機的なクールトーンがこの演奏の特徴を助長。
各楽器はマルチマイクで捉えながらホールの響きも併せ持つ。芯のある音だ。

14:03  8:44  9:37   計 32:24
演奏   靭A    録音  93点
 | HOME |  Next »